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・屋敷編
Mon-2
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「あれ? どうしたんだろう?」
不思議がる芹那の隣で、弥助は大声の罵声を聞いて、おもわず立ち上がった。
「おい、何してるんだよ」
ひとだかりをおしのけて、彼は現場へと赴いた。そこには、ふたりの着物の美少年がからまりあって睨みを聞かせていた。両方とも、顔に殴られた跡が赤くついている。
どうやら、殴り合いのけんかでもしていたらしい。それも、商売関係の――。
「お前が、俺の客を奪うからだろ!」
「なに言ってんだよ! お前の休みの代わりに僕がでてやったら、それで、その客があんたなんかより僕のほうがよっぽどいいって」
次の句はつなげなかった。右ストレートをくらわされて、うめき声が響き渡る。
ひと垣が、まるで格闘技のリングのように四方にはられていたが、だれひとりとして止めるものはいなかった。
「はいはい、ふたりとも」
そんななか、彼が進み出た。
身構えあうふたりの間に自身の身をすべりこませて、両方をにらむ。
「こんなところで何をしているんだよ」
万年下級のみすぼらしいなりの青年があらわれて、ふたりともあっけにとられていたが、その憎悪の対象を青年にかえて、睨みをきかせてきた。
「そこをどけよ! その泥棒猫にあの客は俺のだってわからせねえと、こっちだって商売あがったりだってのによ!」
「は? 商売? てめーのごますりのどこが!」
「んだと!!」
弥助を間にはさんで彼らの憤りはヒートアップしていく。ふたりがこれ以上拳で解決しないように、弥助は彼らの仲裁――に入ろうとしたときだった。
不思議がる芹那の隣で、弥助は大声の罵声を聞いて、おもわず立ち上がった。
「おい、何してるんだよ」
ひとだかりをおしのけて、彼は現場へと赴いた。そこには、ふたりの着物の美少年がからまりあって睨みを聞かせていた。両方とも、顔に殴られた跡が赤くついている。
どうやら、殴り合いのけんかでもしていたらしい。それも、商売関係の――。
「お前が、俺の客を奪うからだろ!」
「なに言ってんだよ! お前の休みの代わりに僕がでてやったら、それで、その客があんたなんかより僕のほうがよっぽどいいって」
次の句はつなげなかった。右ストレートをくらわされて、うめき声が響き渡る。
ひと垣が、まるで格闘技のリングのように四方にはられていたが、だれひとりとして止めるものはいなかった。
「はいはい、ふたりとも」
そんななか、彼が進み出た。
身構えあうふたりの間に自身の身をすべりこませて、両方をにらむ。
「こんなところで何をしているんだよ」
万年下級のみすぼらしいなりの青年があらわれて、ふたりともあっけにとられていたが、その憎悪の対象を青年にかえて、睨みをきかせてきた。
「そこをどけよ! その泥棒猫にあの客は俺のだってわからせねえと、こっちだって商売あがったりだってのによ!」
「は? 商売? てめーのごますりのどこが!」
「んだと!!」
弥助を間にはさんで彼らの憤りはヒートアップしていく。ふたりがこれ以上拳で解決しないように、弥助は彼らの仲裁――に入ろうとしたときだった。
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