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・屋敷編

Wed-11

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 今宵の趣旨はそういうものらしい。
 校則され、吊るされ、後蕾に注入された興奮剤によって、身もだえるだけの肉体を鑑賞させ、それをさかなにして客たちに楽しんでもらうことを目的とした幕開けイントロ。客たちの眼前に引き出された彼らには、刺激は一切与えられない。それが、もどかしくて、吐息を吐き、はだを紅潮させ、腰を揺らす。薬で強制的に発情させられたまま、何も与えられない苦痛に、むせび泣きながら、身体をくねらせる。その痴態こそがこの場を盛り上げるためのひとつの舞台装置だ。
 ――と、気がついている。気がついていたはずだったのだが、すぐに火照った身体の熱に思考が溶かされていく。
 前が大きく張り詰め、ぽたぽたと激しく先走りの蜜を垂らし始める。床に落ち、小さな水たまりを作る。脈までくっきりと赤く充血して立ち上がった花茎は、ぷるぷると震えながら、涙をこぼして、悦を待ちわびる。
 とにかく、なんでもいい。
 なんでもいいから、楽になりたい。
 こらえていたはずなのに、唇が何かの言葉を形作って、荒い呼吸のさなかに、叫んでいた。自分では意識する前に叫んでいたその言葉に、青年は自分で自分を追い詰める。
「可愛い子たちばかりじゃないか」
「ああ、今日もお屋敷に上がれて、嬉しいよ」
 中級の着飾った花々が次々と会場に現れて、客たちの間をゆったりとさまよい、ある者は床に手をつき、ある者は既に我慢できなくなった客たちの手で、各々散り始める。
 嬌声が鳴り始める。空気が小さく振動するかのように。当てられて余計に興奮していくのがわかる。
 とにかく、何か――触れたい、触れたい、擦りたい。
 ヒリヒリと内側がうずく、このうずきがとれるまで、中につっこんで、そのまま――。
 喘ぐ唇が閉じられなくなって、たまった唾液が顎を濡らした。膚は汗ばんで来て、太ももが痙攣しだす。
 限界だ、なんでもいい、何かにこすりつけて、そのまま――。
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