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しおりを挟む「うーわ。ガキくさ」
壁に貼ってあったポスターを睨みつけているガキくさい大人が叫んだ。
「お前って、昔から、趣味、謎だよな」
「悪かったな。誰かさんと違ってわかりやすかないんだよ」
「じゃーん! クッキー!」
母親が、お盆の上に麦茶の入ったグラスとお菓子を乗せて持ってきた。
「……スイカは?」
俺は彼女に尋ねる。
「ああ、けんくん、ありがとうね。あれ、冷蔵庫につっこみました。冷えてなかったから」
俺はじっと井宮の顔を睨んだ。ほらみろ。お前、冷やしたのもってくるって言ったくせに。
「すぐに冷えると思う。そしたら、切ってもってこようか?」
「ああ、いいですよ。ね?」
「うん、後ででいいです」
「まあ、そうなの? じゃ、ごゆっくり」
「はーい」
にこにこと笑顔を絶やさない井宮である。ぱたんと扉が閉まり、母親の足音が小さくなって行く。
「なんかさ」
井宮が、俺を向いた。
「お前と、いると、高校のときに戻った気がする」
蝉の音が聞こえた。
じわじわと泣き叫んでいる。
「で? 何?」
俺は、井宮を見た。
短く切った髪の下に、仔犬みたいな相貌がのぞいている。
「若返らなくても、お前は幼そうだが」
「いやみ! なんといやみなやつなんだ、たける!」
「そういうお前が、なんか、危なっかしいからだろ」
「そうやって、ぼくをつついて何が面白いというんだい」
「そうやって、くねくねしながら、しゃべるのやめんか!」
「やー、だって、ぶりっこしてたら、可愛いって褒められるかと」
「もうそうやって褒められる年齢じゃねーだろ」
「何歳?」
「二十五」
「年取ったねえ」
「お前もだろ。同い年」
「俺は永遠の十七歳」
「……といっても通じてしまいそうで、怖いな」
「えっ!? いや、そこ、そう納得されても困るんだけど!」
ノリは昔のままだ。
だけど――。
俺はじっと彼を見た。
細い身体の上にしっとりとついた筋肉。手足が長くて、少年のようなシルエットをした体つき。
彼を見ていると、まるであのときから時間なんて経っていないかのような錯覚に陥る。
そして、俺は――こいつに欲情していた。
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