夏の出口

木偶舞屋🌷

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「いいじゃん! 二人で一緒のほうが!」
 その理論がよくわからないのだが。とりあえず、綿あめを一個返して、ブルーハワイのかき氷を貰う。
「あ! 射的! ほら、たけ、行くよ!」
 彼がぐいっと俺の手を握った。
「待て! さすがに食べてからにしろ!!」
「えーっ。……甘」
 綿あめをひとくち食べてから彼がつぶやいた。
「なんか想像以上に甘くね?」
「いや、甘いだろ。それがわかってなくて買ったのか?」
「いんや、知ってる、味。昔、こうやってお前と一緒に食べたじゃんか」
「まあ、そうだけど。なんで嫌そうな顔するんだよ」
「なんか、べたべたする」
「そういう食べ物だからな!」
「かき氷たべるからいい。……っ!」
 頭を押さえた彼に、俺はため息をついた。
「一気にかきこむと、そうなるのはあたりまえというかなんというか」
「知ってたし! うう!」
「じゃあなんでそうするんだ! ばかかよ!」
「ひど! じゃあ、お前のもらう!」
「は!? なんでそうなる! つか、人の食うな!」
「うわー、ブルーハワイって味がする。っていうか、ブルーハワイってなにから出来てんだろ。いちごとかメロンとかって元ネタは果物じゃんか。でもブルーハワイって謎」
「知るか!」
「じゃ、射的でも行こうか!」
「待って、ほんと、お前、マイペースなのかわってないな」
 むっとしてそう言ったら、彼はえっへんと胸を張った。
「そんな俺に振り回されてる、たけもたけのままだ」
「……褒めているつもりではないのだが」
「じゃ、行くぞー!」
 人の話を聞け。



「ばーん」
 彼がそう言いながら引き金を引いた。
 玉は妙な方向へと飛んで行った。
「あのさ、井宮くん」
「なに?」
 俺は隣であまりにもへたくそな彼の腕前を眺めていて、どうしても我慢できなくなった。
「あのさ、へやすぎやしないか?」
「うっせえ! 知ってるはずだろ!」
「知ってた、知ってたけど、これはない」
「ひど!」
 俺は、荷物を置かせてもらってもいいか、店主にお願いして、綿あめとかき氷とさらばした。身軽になったあと、彼の後ろに回りこむ。
「えっ! 何、すんだよ」
「いや……ほら、ちゃんと前、見て」
「う……」
 胸に、井宮の背中があたる。
 小さい。
 彼の身体は、俺の身体にすっぽりと包まれてしまっている。
「まっすぐ見て」
「え、あ、はい」
「こうやって、ちゃんと狙うの」
 標準を定めるために、俺はより彼に密着した。ふわっと井宮の匂いがする。
 変なことは考えるな。
 必死で、狙いを定める。
「よし、引け」
 俺のことばどおりに、彼は引き金を引いた。
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