教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第4章 帝都アウシルバード編

66 皇宮の食事会③

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 僕たちのところに猛然と近づいてきたルナ皇女が、リオンに口を尖らせて抗議をしている。

「悪い悪い。ルナは今日レンと会えるのを楽しみにしてたもんな。レン、こいつは妹のルナだ。俺たちの2歳下になる。ルナは――」
「もう、兄上! 私が話すことが少なくなるじゃないの! 私に話させてよ!」
「分かったよ。ほらどうぞ」

 ルナ皇女がこちらを向いてお辞儀をする。きれいな青い髪からライオンの耳がぴょこんと出てる可愛らしい女の子だ。

「私はルナ。レン様に会えるのを楽しみにしていたの! ハンターギルドではレン様の話で持ちきりなのよ。どんな人なのか、どれだけの強さなのかとか、色々とね。……やっとお会いできた!」

 ルナ皇女がすごく興奮した様子で僕に話しかけてきたんだけど、ハンターギルド? 一体、なんでハンターギルドの噂をルナ皇女が聞きつけたんだろう?

「確かにハンター登録をしてから素材の引き取りで目立ってしまったみたいで、ハンターギルドで噂になっていることは聞いています。でもなぜルナ皇女がご存知なのですか?」

 僕はストレートに疑問をぶつける。

「私もハンターなの。それでギルドに顔を出したらみんながレン様の話をしていたの。そうしたらお父様が今日の食事会に招待してると言われるものだから、もう会えるのが楽しみで楽しみで。
 一目見て分かった。レン様は只者じゃないって。ルシア様も、もちろんフライヤ様もすごいお方だと分かるけど、人族のレン様が秘めている実力を想像したら、もうたまらなくなっちゃって」

 ルナ皇女の興奮がすごいな。そんな熱量で語られると恥ずかしいんですけど……。そんなルナ皇女の横にフライヤがやってきた。

「ハハッ! ルナは8歳でハンター登録をして、たくさんの魔物を狩ってきた戦闘大好き娘だ。しかし単なる戦い好きじゃなくて、その才能は本物だぞ。ハンターになって2年も経たないうちにDランクに上がっている。レオーネの戦いの才能を一番受け継いでいるのはルナだろう。ルナはレンのことが気になるだろうと思っていたが、予想以上だったな! リオンだけじゃなく、ルナとも仲良くしてやってくれ」

 Dランクハンター? ランクも年数もハンターの先輩じゃん。確かにフライヤが言うように強いな。ルナ皇女の魔力の流れはとてもスムーズだし、気配からも強いことが伝わってくる。

「皇女はハンターをされていたのですね。納得いたしました。しかも僕の先輩に……」
「先輩なんかじゃない! ハンターにも年数だけで先輩風を吹かす人もいるけど、私はそんなの嫌。私はレン様と戦いたいの」
「えっ? 戦いたいですか?」
「そうよ! 私は先輩なんかじゃなくて、レン様に稽古を付けて欲しいの!」

 ははっ……本当に戦いが好きなんだな。レオーネ皇帝の血を間違いなく受け継いでるよ……。

「それと、さっきから気になってるんだけど、皇女なんて呼ばないで。兄上みたいにルナと呼んで欲しいし、敬語なんていらない。私はレン様と仲良くなりたいの!」

 真正面から仲良くなりたいと言われるとちょっと恥ずかしい気もするけど、慕ってもらえてるようなのは喜ばしいことだよね。

「分かったよ。話し方は変えるけど、僕のことはレン様っておかしくない? ルナと呼ぶのならレンでよくない?」
「レン様はレン様なの! 一目見たときからレン様って思っちゃったからレン様で決まり!」

 よく分からない説明だけど、説得しても意味が無さそうだから、まあいいかな……。

「ワハハハ! レンは随分とルナに気に入られたな。誰に似たのか強い者にしか興味を持たん。お転婆な娘だが根は素直なやつだ。仲良くしてやってくれ」

 いやいや、誰に似たのかってあなたに似たんですよ、陛下。



 立食形式の食事会はとても盛り上がり、ルシアは大満足な様子で、そんなルシアを見ていたフライヤも満足そうだった。
 僕はレイア皇女やラルフ皇子とも話をしたんだけど、レイア皇女はルナとは違ってお姫様って感じでとても所作が綺麗な人だった。来年、成人になられるそうだ。
 ラルフ皇子は話してみるとわんぱく盛りの男の子だった。年齢は5歳ということで、リルの一つ下になる。5歳とは思えないほど肉を頬張ってバクバク食べてたから、きっとロンジン隊長みたいに大きくなるんだろうな。

 レイア皇女もラルフ皇子もすごく好意的に話してくれたのがすごく有り難かったね。レオーネ陛下のご家族全員が僕に好意的だったのは、フライヤいわく「獣人族は強い者が好きだからな」ということらしい。
 それに陛下が「ヴァン様が友だち付き合いを望むほどの人族の少年」とご家族に話してたのが決め手のようだった。

 風龍様が友だちになりたいなんて、サンネイシス帝国ではとんでもない人物だと思われるよね?
 いやいや、僕はそんなすごい人なんかじゃないから。すごいのは火龍様や風龍様に尊敬されているルシアだから。

 僕は誤解が解けるように話してみたんだけど、陛下からは「ある程度の力を持つ者であればレンの実力を見抜けると思うぞ。別にヴァン様やルシア殿と親しいからお前を気に入ったわけではないぞ」と笑顔で返されてしまった。
 そんなに言ってもらえて嬉しいし、光栄なんだけど、自分では過大評価過ぎると思うんだよね……。

 そんな楽しい食事会も終わり、今、僕はどこにいるかというと、皇宮内にある訓練室だ。
 そう。ルナが僕に稽古を付けて欲しいと言った件だけど、僕は上手く逃げるつもりでいたんだよね。そうしたら、

「フライヤ殿! 今日は私に稽古を付けてくれるはずですぞ!」

 とロンジン隊長がフライヤにお願いをしていて、

「あ~。そういう約束をしたんだったな。分かったよ。食事会の1時間後、訓練室集合にしよう。そういえば、レンとルナも稽古をするんだろ? 同じ時間に集合だな」

 とかフライヤが言っちゃうもんだから、ルナは大喜び。僕は逃げることができなくなって訓練室にいるというわけ。

「レン様と戦えるなんて、すっごく嬉しい! この部屋は特別な方法で頑丈に作られてるから、魔法もドンドン使ってね!」

 ルナのテンションが高いよ……。

『実戦形式の訓練には良い場所だな。万が一、損害が出そうになったら我がサポートしてやろう』

 見学に来たルシアも乗り気だし。まあ、僕もルナの強さには興味があるから意外と楽しみなんだけどね。それではやるとしますか!
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