結婚させられたくないので魔導騎士団に入団しますっ!

モー子

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序章

9-3

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 駅の出入り口付近まで来て、ラジットはひょいっと体を翻しセレナに耳打ちした。

「まずは、自力で魔導騎士団まで行ってみようか」
「……え?」
「魔導騎士団の詰め所は、城の門番に言えば教えてくれるからね」
「あ、はいっ」
「今日はもう遅いから、中に入れるのは明日になるかもしれないけど、1人で宿に泊まれる?」
「あ……えとぉ」
「お勧めはね、城門近くの”ヤドリ木亭”」
「やどりぎてい?」
「そう。女将はいい人だし、ご飯もおいしい」
「はあ」
「あぁそれと、宿屋に行く前に一度城門で面会の申請をしておいた方がいい」
「! はいっ」

 セレナのいい返事にラジットは金色の頭をポンポンと撫でニヤリと笑った後、身を屈めた。

「このマントは一度あずかろうか」
「はい」
「詰所に着いたらあそこに見える魔導騎士団のマントを纏っている男が、テストしてくれるだろうから」
「え?」

 どんどんと一方的に話を進めるラジットを見上げ、セレナは目を白黒させながら頷いていた。魔導騎士団のマントを返してラジットが指差す方に吊られて瑠璃色の目を向けると、確かにルイスが纏い自分も先程まで纏わされていたマントと同じものを羽織った人物が何やら待ち構えている。

「わたしは、今から君の父上と母上に会ってくるから……また会おう」

 白いマントの男らしき人を目視するとその瞬間、背後の気配が消えた。

「えっ!? お小父様っ!?」

 突如消えてしまったラジットの姿を慌ててあたりを見渡すがその姿は無い。唖然としながら再び前方を確認した。

 前方では何やら待ち構えていたらしい白のマントを纏った人物。マントのフードからオレンジ色の髪を覗かせた長身の男のようだ。その男が、素早く魔具を取り出しルイスに向けて発動させた。背の高い城マントの男を認識してビクリと肩を揺らしたルイスの足がその場に縫い付けられてしまった様に止まった。

「のわぁっ!?」
「ルイスッ!! お前抜け出しやがってっ! どこ行ってやがった」
「ッ…アレク…うるせえなっ ラジットと一緒だったんだっ!」
「寝ぼけた事言うなっ 団長はお前に構ってられないほど忙しいんだぞ」
「嘘は言ってねえし」
「そんなはずないだろう……今日、団長はたまった書類を片付ける約束を……っ」
「じゃあ、それさぼったんだろっ いつもそうじゃねぇかっ」
「くっ…そうかとは思っていたんだ、やけに静かだったし……じゃぁなんで、今一緒じゃないんだ!?」
「ああ?  知らねぇよ……アレクが来たから逃げたんじゃねえの?」
「はぁ……いいからお前は強制連行だ」

 魔導具によって拘束されるルイス。言い争う声がセレナのところまで聞こえてくる。その様子に慌てて駆け寄ろうとしたが、あいにくと人が多い。――間に合わなかったようだ。背の高い男がまた別の魔具を起動させた。
 
「なっ!? リーッ……」

 ルイスは目の前の男に凭れ掛かる様に崩れ落ちた。意識を失ってアレクと呼ばれた魔導騎士団のマントに身を包んだ男に抱え上げられたルイスは、連れていかれてしまった。

 セレナは、言葉も出せず固まっていた。王都の人ごみにまみれ、気が付いたらルイスもラジットもいないのである。ボー然とするセレナ。

 
 ――ど……どうしよう?


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