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序章
10-4
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少しだけ厳しい口調の主の言葉に、ビクリと肩を揺らしたシリウスは素早く従った。座った瞬間意図せず、人の姿から獣の姿に戻ってしまう。ベッドが2台置いてあり食事ができる部屋の半分を占める大きさの犬は、尻尾をだらりと垂れ下げ、平時はピンと立っているはずの耳もぺたりた折れている。そして、伺うような視線をセレナに向けた。
『主?』
シリウスの前に座っている渋い顔をしたままのセレナは、瑠璃色の大きな目でまっすぐと菫色の目を覗き込んだ。
「……まずは、ありがとう お世話を焼いてくれて…」
『主の為なら我が力の限り』
シリウスの返答に、セレナは眉間にしわを寄せた。
「でもねっ あたしは、守られてるだけじゃダメなのっ」
『……?』
眉間に皺を寄せたまま、目じりを下げるセレナ。シリウスの元々丸い菫色の目がさらに丸くなった。心底セレナの云っている意味が解らないようだ。
「これからは、何だって1人で出来る様になりたいの」
『なぜ…我々は、邪魔なのか…?』
菫色の目がわずかに曇り、その顔は地面を向いてしまった。
――そういう事じゃなくってぇ
「もっもちろん、これからだって手伝ってもらう事はあるよっ!! けど…あたし1人でやれる事だってあるはずだからっ」
『……主は、まだ子供ぞ? 』
視線をセレナに戻して、銀色の大きな犬は首をかしげる。その菫色の目は、少しの嬉気が混じっている。
「確かに立派な大人って胸張って言えないけど、…子供じゃないもん」
『……主は、まだまだ尻も胸もペッタンコだぞ?』
「ぐ…これからスタイルだってよくなるのよっ!! それに、年齢的には成人よっ! 大体、子供にだって出来る事はあるもんっ 何より……あんた達はあたしの友達で、従者や侍女じゃないでしょっ」
捲くし立てる可愛らしい主の姿に、菫色の目は嬉しそうに細められた。捲くし立てた事で、肩で息をするセレナはシリウスの様子にムムッと唇の端を噛んだ。
『そう言うところが、まだまだ子供だな主。成長しようとする我が主は、ますます愛らしい』
「あのねぇ…あんた達と比べれば、お祖父様だって子供なんでしょっ。何事も経験なのっ あたしだって成長するのっ」
『…女将との交渉は自分でしたかったと言うことか?』
「それだけじゃないけど………うんまぁ、今回はそう」
段々と話し半分にしか聞いてもらえていないような気が、セレナにはしてきていた。毒気が抜かれていく。シリウスの目は慈愛に満ちていて、主であるセレナをただ慕っているのだ。
『そういえば……子供にお使いをさせてやるのは大人の仕事の1つだったな』
「…………はぁ」
お説教するはずが、なぜかセレナの方がまごついてしまう。こちらが必死に説明しても、シリウスだけでなく星獣達は、星が産まれたときが存在すると言われている。人間なぞすべて、子供なのだ。
――解せぬ…
わかってくれたのか、くれないのか、子供の癇癪だと流されたのか分からないが、話しはしたので次からはセレナが主導で交渉ごとが出来るはずだ。それでいいだろう。彼等と付き合っていくには多少の諦めが必要だ。
“コンコン”
ノックと共に運ばれてきた食事は、 野菜がたっぷり入ったトマトのチキン煮と、 お店で焼いているのであろう焼きたてのバケット、カリカリに焼いたベーコンとチーズをたっぷりのせたサラダだった。食事の時だけ人の姿に戻ったシリウスと一先ず食事にした。どれも空腹に染みた以上に、とても美味しかった。
食べた食器を片づけ部屋に戻って来ると、2つのベッドを並べて占領している銀色の毛むくじゃら。
『 主、夜は冷えるぞ』
フサフサの銀色の尻尾が、 セレナの体をふわりと掴むとその身に抱き寄せた。完全に子供扱いだが、これはこれで嬉しい事だった。楽しそうにシリウスの毛皮に潜り込むセレナ。
――ふふふっ
――あったかくて気持ちいいんだよねっ
シリウスのふわふわの毛を堪能しながらその体をベッドに、セレナはあっという間に眠りについた。その傍らに金の鱗粉の様なキラキラが舞う。
『……やはり、主は、まだまだ子供だ…』
『あんまり子ども扱いすると、意地張って頼ってもらえなくなるわよ?』
街を見回って戻ってきたスピカが呆れた顔をシリウスに向けた。
『それはつまらぬ』
『でしょ?』
セレナの傍らに舞い降りたスピカは、半透明の羽を消してセレナの少し幼い寝顔を眺めて優しく笑った。
翌朝、爽やかな風が吹きその風に撫でられる様に、セレナはさっそうと風に金色の髪をなびかせ王城を目指し足を運ぶ。朝一番の時間なので、門番は昨日のやさしい壮年の騎士だろう。今日は、城門の中へもすんなり入れてくれるはずだ。訪ね先は城ではなく魔導騎士団なのだ。紹介状もあるので、足止めもされないだろう。
不安と緊張に、セレナの胸がドキドキと騒ぐ。
――頑張りますかっ
晴れた青い空を見上げて、セレナは一歩一歩足を進めたのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
序章はこれにて終了です。
やっとこ本章に入りますっ!! 第一章は、魔導騎士団編となります。
細々とプロットしてるんですが、まだ大半が形になっていないのでお時間をいただくかもです。
気長にお待ちください。
そして、ありがたい事に思いの外たくさんのブクマをいただきまして、何かお礼をと思い閑話を設けたいと思います。
次章が始まるまで、不定期で更新しますので、よろしくお願いします。 モー子
『主?』
シリウスの前に座っている渋い顔をしたままのセレナは、瑠璃色の大きな目でまっすぐと菫色の目を覗き込んだ。
「……まずは、ありがとう お世話を焼いてくれて…」
『主の為なら我が力の限り』
シリウスの返答に、セレナは眉間にしわを寄せた。
「でもねっ あたしは、守られてるだけじゃダメなのっ」
『……?』
眉間に皺を寄せたまま、目じりを下げるセレナ。シリウスの元々丸い菫色の目がさらに丸くなった。心底セレナの云っている意味が解らないようだ。
「これからは、何だって1人で出来る様になりたいの」
『なぜ…我々は、邪魔なのか…?』
菫色の目がわずかに曇り、その顔は地面を向いてしまった。
――そういう事じゃなくってぇ
「もっもちろん、これからだって手伝ってもらう事はあるよっ!! けど…あたし1人でやれる事だってあるはずだからっ」
『……主は、まだ子供ぞ? 』
視線をセレナに戻して、銀色の大きな犬は首をかしげる。その菫色の目は、少しの嬉気が混じっている。
「確かに立派な大人って胸張って言えないけど、…子供じゃないもん」
『……主は、まだまだ尻も胸もペッタンコだぞ?』
「ぐ…これからスタイルだってよくなるのよっ!! それに、年齢的には成人よっ! 大体、子供にだって出来る事はあるもんっ 何より……あんた達はあたしの友達で、従者や侍女じゃないでしょっ」
捲くし立てる可愛らしい主の姿に、菫色の目は嬉しそうに細められた。捲くし立てた事で、肩で息をするセレナはシリウスの様子にムムッと唇の端を噛んだ。
『そう言うところが、まだまだ子供だな主。成長しようとする我が主は、ますます愛らしい』
「あのねぇ…あんた達と比べれば、お祖父様だって子供なんでしょっ。何事も経験なのっ あたしだって成長するのっ」
『…女将との交渉は自分でしたかったと言うことか?』
「それだけじゃないけど………うんまぁ、今回はそう」
段々と話し半分にしか聞いてもらえていないような気が、セレナにはしてきていた。毒気が抜かれていく。シリウスの目は慈愛に満ちていて、主であるセレナをただ慕っているのだ。
『そういえば……子供にお使いをさせてやるのは大人の仕事の1つだったな』
「…………はぁ」
お説教するはずが、なぜかセレナの方がまごついてしまう。こちらが必死に説明しても、シリウスだけでなく星獣達は、星が産まれたときが存在すると言われている。人間なぞすべて、子供なのだ。
――解せぬ…
わかってくれたのか、くれないのか、子供の癇癪だと流されたのか分からないが、話しはしたので次からはセレナが主導で交渉ごとが出来るはずだ。それでいいだろう。彼等と付き合っていくには多少の諦めが必要だ。
“コンコン”
ノックと共に運ばれてきた食事は、 野菜がたっぷり入ったトマトのチキン煮と、 お店で焼いているのであろう焼きたてのバケット、カリカリに焼いたベーコンとチーズをたっぷりのせたサラダだった。食事の時だけ人の姿に戻ったシリウスと一先ず食事にした。どれも空腹に染みた以上に、とても美味しかった。
食べた食器を片づけ部屋に戻って来ると、2つのベッドを並べて占領している銀色の毛むくじゃら。
『 主、夜は冷えるぞ』
フサフサの銀色の尻尾が、 セレナの体をふわりと掴むとその身に抱き寄せた。完全に子供扱いだが、これはこれで嬉しい事だった。楽しそうにシリウスの毛皮に潜り込むセレナ。
――ふふふっ
――あったかくて気持ちいいんだよねっ
シリウスのふわふわの毛を堪能しながらその体をベッドに、セレナはあっという間に眠りについた。その傍らに金の鱗粉の様なキラキラが舞う。
『……やはり、主は、まだまだ子供だ…』
『あんまり子ども扱いすると、意地張って頼ってもらえなくなるわよ?』
街を見回って戻ってきたスピカが呆れた顔をシリウスに向けた。
『それはつまらぬ』
『でしょ?』
セレナの傍らに舞い降りたスピカは、半透明の羽を消してセレナの少し幼い寝顔を眺めて優しく笑った。
翌朝、爽やかな風が吹きその風に撫でられる様に、セレナはさっそうと風に金色の髪をなびかせ王城を目指し足を運ぶ。朝一番の時間なので、門番は昨日のやさしい壮年の騎士だろう。今日は、城門の中へもすんなり入れてくれるはずだ。訪ね先は城ではなく魔導騎士団なのだ。紹介状もあるので、足止めもされないだろう。
不安と緊張に、セレナの胸がドキドキと騒ぐ。
――頑張りますかっ
晴れた青い空を見上げて、セレナは一歩一歩足を進めたのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
序章はこれにて終了です。
やっとこ本章に入りますっ!! 第一章は、魔導騎士団編となります。
細々とプロットしてるんですが、まだ大半が形になっていないのでお時間をいただくかもです。
気長にお待ちください。
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