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本章 ――魔導騎士団の見習い団員――
16、訓練あるのみ
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入団から数日、 ルイスの父であり現王の弟である外交官のリーベルタスに付いて隣国へ旅立つ兄へ事情を説明する手紙を星獣に届けてもらう事にした。出発する日に届くように持っていかせたので、兄が押しかけてくる事はまずないだろう。
――ヒュー兄様は、責任感の塊だからねっ
――その責任感のお蔭で、あたしは構い倒してもらえたんだけどねっ
手紙を持たせた星獣には、兄に付いている獅子宮のレオにも言伝をお願いした。
――リーベルおじ様も……レオもいっしょだもんね……大丈夫だよね…
帰国した後に怒る兄の顔が目に浮かぶが、隣国へ行っている間がいい冷却期間になってくれることを期待しつつ、兄達がいる地へも繋がっている青い空を見上げた。まだ薄暗い空にはうっすらと星々が見えている。
――ヒュー兄様も頑張ってるだろうし、
――あたしも…、頑張らないとねっ
連日の訓練に、体が重いながらもやっと慣れたきたセレナ。
朝陽が挿し込む小さなベランダに先日購入したお気に入りのプランターが鎮座している。蒔いた種が、そろそろ芽吹く様子が見て取れた。 生活にも幾分慣れてきた。
先日、いつまでも同じ部屋で過ごすルイスに寝るときは部屋に帰るように促した。初めは何でだと不機嫌な顔をしていたルイスだが、大丈夫だからと寂しくないからと、呼んだらすぐ来てねっと、頼りにしてるっ!! と言ったら渋々だが頷いてくれた。
――どうしたって年頃の男女がいつまでも同じ部屋で過ごすわけにはいかないのに…
――ル―ってホント子供だなっ
それまでの事を棚上げし、ルイスが知れば余裕の笑みで仕返しをされそうな事を考え乍ら、寝固まった背筋を伸ばしセレナはカーテンを開ける。爽やかな朝を迎えている。
「うん、今日もいい天気っ」
――大体、ルーと一緒に寝てたって兄様にばれたら大変よね…
――3年前のルーの家出騒動の時でも、発火するんじゃないかってほど顔真っ赤にして怒ってたもんね…
――って、 もうこんな時間っ
そろそろ部屋が賑やかになってくる頃だ。そう思ったと同時に、玄関とは違う扉から耳慣れた声がする。
「レナー、起きてるかー?」
ノックもなしにルイスは部屋入ってくる。もちろん玄関の扉は施錠してある。セレナに部屋で寝る様に促され、ルイスは一々廊下に出るのは面倒くさいと、隣部屋ということで直で行き来できるように壁に穴を開けたのだ。穴だけで終わらずしっかりと壁が取り払われ、2つの部屋のリビングが1つの大きなリビングになるのに、そう日はかからなかった。
――これもヒュー兄様が知ったら、怒るかしら?
――でも、これくらいいいよね…?
きっと自分に優しい兄ならしょうがないと言ってくれるだろう。それに、部屋を繋げたおかげでルイスはすんなり部屋に戻って寝るようになったとも言えるのだ。
なにより壁を挟んで背中合わせでそれぞれの部屋にあった簡易キッチンを取り払い、大きな一つのキッチンを作ることが出来たのだ。これで大抵のものは部屋で作れるようになったのは、素直にうれしい事だった。
「おはよっルー」
「はよ……腹減った」
じゃぁすぐ用意しようとセレナがキッチンに向かえば、その隣でルイスが珈琲を淹れる。恋人を飛び越えてまるで夫婦のようだが、そこに何かが足りない。――色気が欠けている。ついでに言えば、ルイスの珈琲を淹れる腕もまだまだ足りていない。
――これで、どっちかに恋人とかできたらどうするのかしら?
――壁直すのって……、地属性の魔法でいけるのかな…?
――木…植物かなぁ?
頭の片隅でそう思うものの、都合悪くなるような事は起こらないような気がするのだ。
「いっただきますっ」
「…いただきます」
簡単な卵料理とトーストと作り置きの野菜。ルイスが入れてくれた珈琲にミルクを加えて、二人は簡単に朝食をとる。その脇でそこにいる星獣達も食卓を囲む。
そして、魔導騎士団の紋章を左右肩に掲げた白いマントを身に纏う。
「そろそろ、行くぞっ」
「だねっ……行きますかっ」
揃って共同の部屋から廊下へ出て訓練場へ向かう。 訓練の間セレナの聖獣達は、姿を消して見守り隊に撤している。
魔導騎士団の訓練は、基本的に魔法の訓練が主で仲間同士の連携を考えたり、その実験をしたりしている。魔法メインと言っても騎士は騎士なので、それぞれ体は鍛えているし、剣をメインで使うスタイルの者もいるが、それは大体自主練か班や隊での訓練に行われる事が多い。なので朝の合同訓練では汗だくになって、筋肉痛がすごくて――という事はない。はずなのだが、セレナに関しては基本的な体力不足が問題で、基礎体力づくりと筋トレが主だった訓練になっている。セレナ自身も体力向上が急務だと感じていたので、渡りに船だった。
「じゃあ、走り込み行ってきまーすっ」
「ってら」
セレナの元気な声が訓練場に響く。その声に魔導騎士団の小父様達がデレデレの顔で手を振って送り出してくれる。体力づくりの一環として、王城を囲む城壁の上をランニングするのがセレナの日課になった。
――ヒュー兄様は、責任感の塊だからねっ
――その責任感のお蔭で、あたしは構い倒してもらえたんだけどねっ
手紙を持たせた星獣には、兄に付いている獅子宮のレオにも言伝をお願いした。
――リーベルおじ様も……レオもいっしょだもんね……大丈夫だよね…
帰国した後に怒る兄の顔が目に浮かぶが、隣国へ行っている間がいい冷却期間になってくれることを期待しつつ、兄達がいる地へも繋がっている青い空を見上げた。まだ薄暗い空にはうっすらと星々が見えている。
――ヒュー兄様も頑張ってるだろうし、
――あたしも…、頑張らないとねっ
連日の訓練に、体が重いながらもやっと慣れたきたセレナ。
朝陽が挿し込む小さなベランダに先日購入したお気に入りのプランターが鎮座している。蒔いた種が、そろそろ芽吹く様子が見て取れた。 生活にも幾分慣れてきた。
先日、いつまでも同じ部屋で過ごすルイスに寝るときは部屋に帰るように促した。初めは何でだと不機嫌な顔をしていたルイスだが、大丈夫だからと寂しくないからと、呼んだらすぐ来てねっと、頼りにしてるっ!! と言ったら渋々だが頷いてくれた。
――どうしたって年頃の男女がいつまでも同じ部屋で過ごすわけにはいかないのに…
――ル―ってホント子供だなっ
それまでの事を棚上げし、ルイスが知れば余裕の笑みで仕返しをされそうな事を考え乍ら、寝固まった背筋を伸ばしセレナはカーテンを開ける。爽やかな朝を迎えている。
「うん、今日もいい天気っ」
――大体、ルーと一緒に寝てたって兄様にばれたら大変よね…
――3年前のルーの家出騒動の時でも、発火するんじゃないかってほど顔真っ赤にして怒ってたもんね…
――って、 もうこんな時間っ
そろそろ部屋が賑やかになってくる頃だ。そう思ったと同時に、玄関とは違う扉から耳慣れた声がする。
「レナー、起きてるかー?」
ノックもなしにルイスは部屋入ってくる。もちろん玄関の扉は施錠してある。セレナに部屋で寝る様に促され、ルイスは一々廊下に出るのは面倒くさいと、隣部屋ということで直で行き来できるように壁に穴を開けたのだ。穴だけで終わらずしっかりと壁が取り払われ、2つの部屋のリビングが1つの大きなリビングになるのに、そう日はかからなかった。
――これもヒュー兄様が知ったら、怒るかしら?
――でも、これくらいいいよね…?
きっと自分に優しい兄ならしょうがないと言ってくれるだろう。それに、部屋を繋げたおかげでルイスはすんなり部屋に戻って寝るようになったとも言えるのだ。
なにより壁を挟んで背中合わせでそれぞれの部屋にあった簡易キッチンを取り払い、大きな一つのキッチンを作ることが出来たのだ。これで大抵のものは部屋で作れるようになったのは、素直にうれしい事だった。
「おはよっルー」
「はよ……腹減った」
じゃぁすぐ用意しようとセレナがキッチンに向かえば、その隣でルイスが珈琲を淹れる。恋人を飛び越えてまるで夫婦のようだが、そこに何かが足りない。――色気が欠けている。ついでに言えば、ルイスの珈琲を淹れる腕もまだまだ足りていない。
――これで、どっちかに恋人とかできたらどうするのかしら?
――壁直すのって……、地属性の魔法でいけるのかな…?
――木…植物かなぁ?
頭の片隅でそう思うものの、都合悪くなるような事は起こらないような気がするのだ。
「いっただきますっ」
「…いただきます」
簡単な卵料理とトーストと作り置きの野菜。ルイスが入れてくれた珈琲にミルクを加えて、二人は簡単に朝食をとる。その脇でそこにいる星獣達も食卓を囲む。
そして、魔導騎士団の紋章を左右肩に掲げた白いマントを身に纏う。
「そろそろ、行くぞっ」
「だねっ……行きますかっ」
揃って共同の部屋から廊下へ出て訓練場へ向かう。 訓練の間セレナの聖獣達は、姿を消して見守り隊に撤している。
魔導騎士団の訓練は、基本的に魔法の訓練が主で仲間同士の連携を考えたり、その実験をしたりしている。魔法メインと言っても騎士は騎士なので、それぞれ体は鍛えているし、剣をメインで使うスタイルの者もいるが、それは大体自主練か班や隊での訓練に行われる事が多い。なので朝の合同訓練では汗だくになって、筋肉痛がすごくて――という事はない。はずなのだが、セレナに関しては基本的な体力不足が問題で、基礎体力づくりと筋トレが主だった訓練になっている。セレナ自身も体力向上が急務だと感じていたので、渡りに船だった。
「じゃあ、走り込み行ってきまーすっ」
「ってら」
セレナの元気な声が訓練場に響く。その声に魔導騎士団の小父様達がデレデレの顔で手を振って送り出してくれる。体力づくりの一環として、王城を囲む城壁の上をランニングするのがセレナの日課になった。
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