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本章 ―大好きだけどちょっと面倒な人―
23、セレナ拉致られる!?
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魔導騎士団に無事入団し、訓練にも馴れてきた今日この頃。
長期の任務から先日帰ってきたメンバーも加わり、魔導騎士団の詰め所は前以上に賑やかだ。驚愕の出会いをしたミネルバとは、少ない同年代の同性という事もあり仲良くなった。急に抱き締められる事も、大分少なくなってきた。いや馴れて驚かなくなっただけかもしれない。
賑やかな日々は、屋敷で数少ない人との触れ合いしかなかったセレナからすると、新鮮で楽しくて仕方ないのだ。
そろそろ各隊長の元に隊員として配属されるのも近いかもしれない。そして、明らかに足りなかった体力強化にまだまだ勤しむ日々をおくっているセレナ。それを見守る星獣達と、ルイス。それを見守るミネルバ達。若い世代を見守る小父さん達――。
――そろそろお祭りの季節だって言ってたしなぁ
――だからミニー達も王都の戻ってきたみたいだし
――お祭り、行ってみたいなぁ
――ほっといてもルーは一緒に行ってくれるだろうけど…
――ミニーともお出かけしたいなっ
まだ先の事に思いをはせるセレナ。だが、未来への漠然とした不安は拭えない。それに、平穏すぎて何か忘れている気がしないでもないこの頃なのだ。
――そう、それは突然の事だった――
*
セレナの見習い期間が終わった。
昨夜、魔導騎士団団長のラジットがどこかの仕事から詰所内の執務室に戻ってきたからと、セレナは呼び出された。ラジットの執務室のドアをセレナは叩く。
“コンコン”
なぜかルイスがついてきているが、まあいいかとセレナは気にした様子なく声をかけた。
「セレナ……と、おまけのルイスです」
「ゴホッ……入れ」
中から聞こえてきた声に従い、セレナはドアノブを回した。当たり前の様にルイスはセレナと肩を並べて執務室に入った。そして目の前のよく知る中年の黒い目を、眉間に皺をよせねめつけ口を開いた。
「こんな時間に……何の用だ?」
「ルー、眠いなら部屋で寝てていいんだよ?」
「お前は呼んでないんだが……まぁ、来るか…来るよな…来てもいいけどなぁ」
「……」
ラジットとアレクサンドロはどこか遠い目をしながらルイスを一瞥した。別に彼らもわざわざ夜にセレナを呼び出した訳ではない。今しか時間がとれなかっただけだ。
キョトンとしていたセレナは、真朱色のつり目を細めて自分を呼びだした大人たちを睨め付けるルイスに、呆れを浮かべながらチョップをくらわした。
「テイッ」
「痛っ…!?」
最近ルイス以外の団員とも仲良くなってきたセレナ。ルイスは、セレナの周りにいる者へとその目を向ける事があるのだ。そしてセレナにチョップされて諌められるのもいつもの事となっている。
「テイッ! テイッ! 呼ばれたのはあたしなんだから、ルーは黙って 無駄に喧嘩売らないっ」
「…痛てぇって」
プクッと頬を膨らませ瑠璃色の大きな目をつり上げたセレナが、ルイスの真朱色の目に映る。意外と痛いセレナのチョップ。痛めた朱色の頭を自分の手で撫で、ほんのわずか唇をつきだしながらルイスは黙った。
「クククッ 聞いていた以上の手懐け具合だな……まぁ、話を進めるぞ?」
「でしょう? 狂犬が飼い犬になりましたという具合ですね」
大人二人が、優しい目でセレナとルイスのやり取りを眺めている。つまらない話は興味が無いと星獣達は部屋で待っているので、茶々も入らないのだ。
「で? 用事というのは…?」
「あぁ………」
ラジットからの話というのは、セレナの魔導騎士団の見習い期間が終了した旨の通達だった。まだ先だがルイスと共にアレクサンドロが隊長をしている王都勤務の1番隊に配属されることになるらしい。
見習いから正規の魔導騎士団員となったセレナは、ルイスの付き添いがなくても一人で出歩ける許可がでたのだ。よく頑張ったと、アレクサンドロが笑っている。
「よかったな…」
「は、…はい」
――え……ちょっとまって…っ!!
――今まで、ル―がベッタリだったのって…
――あたしが、見習い団員だから!? ただの付き添いだったの!?
――しっ知らなかった……
はじめて聞く内容に、瑠璃色の大きな目はパチパチと瞬きを繰り返している。唖然とするセレナ。とりあえず見習い期間とは言われていたが、行動が制限されているとは知らなかったのだ。しかもルイスがセレナの付き添いをしていたことも知らされていなかった。セレナは傍らのルイスを見上げるが、その真朱色のつり目は自分には関係ないとでも言っているようだ。
――これ、見習いの付き添いとか気にしてなかったんだろうな…
――ただ普通に一緒にいたら付き添いになってたっととこかな?
――って事は、
「……一緒にいるぞ?」
「まぁ、そうだろうね」
そうだそうだ納得と、すました顔で頷くセレナ。そのセレナの様子にルイスもすました顔でセレナを見返した。
「ヤなのかっ」
「ヤなわけないじゃん 嬉しいよっ」
にこりと笑うと、ルイスのつり目が優しく細まり弧を描く。
――相変わらずの寂しがりやだなぁ
――ルーとは一緒にいれるだけ、一緒にいてあげたいし…その方があたしも嬉しい
――逆に今後は他の人とも組むことがあるんだろうな…
――ルー、留守番できるかな……大丈夫、かな?
その辺の事は、傍らの真朱色のつり目からは何も窺えない。セレナは正面にいるラジットとアレクサンドロに視線を戻した。
「相変わらず、仲良いねぇ君たちは」
「まぁ、その方が都合いいですけどね…」
長期の任務から先日帰ってきたメンバーも加わり、魔導騎士団の詰め所は前以上に賑やかだ。驚愕の出会いをしたミネルバとは、少ない同年代の同性という事もあり仲良くなった。急に抱き締められる事も、大分少なくなってきた。いや馴れて驚かなくなっただけかもしれない。
賑やかな日々は、屋敷で数少ない人との触れ合いしかなかったセレナからすると、新鮮で楽しくて仕方ないのだ。
そろそろ各隊長の元に隊員として配属されるのも近いかもしれない。そして、明らかに足りなかった体力強化にまだまだ勤しむ日々をおくっているセレナ。それを見守る星獣達と、ルイス。それを見守るミネルバ達。若い世代を見守る小父さん達――。
――そろそろお祭りの季節だって言ってたしなぁ
――だからミニー達も王都の戻ってきたみたいだし
――お祭り、行ってみたいなぁ
――ほっといてもルーは一緒に行ってくれるだろうけど…
――ミニーともお出かけしたいなっ
まだ先の事に思いをはせるセレナ。だが、未来への漠然とした不安は拭えない。それに、平穏すぎて何か忘れている気がしないでもないこの頃なのだ。
――そう、それは突然の事だった――
*
セレナの見習い期間が終わった。
昨夜、魔導騎士団団長のラジットがどこかの仕事から詰所内の執務室に戻ってきたからと、セレナは呼び出された。ラジットの執務室のドアをセレナは叩く。
“コンコン”
なぜかルイスがついてきているが、まあいいかとセレナは気にした様子なく声をかけた。
「セレナ……と、おまけのルイスです」
「ゴホッ……入れ」
中から聞こえてきた声に従い、セレナはドアノブを回した。当たり前の様にルイスはセレナと肩を並べて執務室に入った。そして目の前のよく知る中年の黒い目を、眉間に皺をよせねめつけ口を開いた。
「こんな時間に……何の用だ?」
「ルー、眠いなら部屋で寝てていいんだよ?」
「お前は呼んでないんだが……まぁ、来るか…来るよな…来てもいいけどなぁ」
「……」
ラジットとアレクサンドロはどこか遠い目をしながらルイスを一瞥した。別に彼らもわざわざ夜にセレナを呼び出した訳ではない。今しか時間がとれなかっただけだ。
キョトンとしていたセレナは、真朱色のつり目を細めて自分を呼びだした大人たちを睨め付けるルイスに、呆れを浮かべながらチョップをくらわした。
「テイッ」
「痛っ…!?」
最近ルイス以外の団員とも仲良くなってきたセレナ。ルイスは、セレナの周りにいる者へとその目を向ける事があるのだ。そしてセレナにチョップされて諌められるのもいつもの事となっている。
「テイッ! テイッ! 呼ばれたのはあたしなんだから、ルーは黙って 無駄に喧嘩売らないっ」
「…痛てぇって」
プクッと頬を膨らませ瑠璃色の大きな目をつり上げたセレナが、ルイスの真朱色の目に映る。意外と痛いセレナのチョップ。痛めた朱色の頭を自分の手で撫で、ほんのわずか唇をつきだしながらルイスは黙った。
「クククッ 聞いていた以上の手懐け具合だな……まぁ、話を進めるぞ?」
「でしょう? 狂犬が飼い犬になりましたという具合ですね」
大人二人が、優しい目でセレナとルイスのやり取りを眺めている。つまらない話は興味が無いと星獣達は部屋で待っているので、茶々も入らないのだ。
「で? 用事というのは…?」
「あぁ………」
ラジットからの話というのは、セレナの魔導騎士団の見習い期間が終了した旨の通達だった。まだ先だがルイスと共にアレクサンドロが隊長をしている王都勤務の1番隊に配属されることになるらしい。
見習いから正規の魔導騎士団員となったセレナは、ルイスの付き添いがなくても一人で出歩ける許可がでたのだ。よく頑張ったと、アレクサンドロが笑っている。
「よかったな…」
「は、…はい」
――え……ちょっとまって…っ!!
――今まで、ル―がベッタリだったのって…
――あたしが、見習い団員だから!? ただの付き添いだったの!?
――しっ知らなかった……
はじめて聞く内容に、瑠璃色の大きな目はパチパチと瞬きを繰り返している。唖然とするセレナ。とりあえず見習い期間とは言われていたが、行動が制限されているとは知らなかったのだ。しかもルイスがセレナの付き添いをしていたことも知らされていなかった。セレナは傍らのルイスを見上げるが、その真朱色のつり目は自分には関係ないとでも言っているようだ。
――これ、見習いの付き添いとか気にしてなかったんだろうな…
――ただ普通に一緒にいたら付き添いになってたっととこかな?
――って事は、
「……一緒にいるぞ?」
「まぁ、そうだろうね」
そうだそうだ納得と、すました顔で頷くセレナ。そのセレナの様子にルイスもすました顔でセレナを見返した。
「ヤなのかっ」
「ヤなわけないじゃん 嬉しいよっ」
にこりと笑うと、ルイスのつり目が優しく細まり弧を描く。
――相変わらずの寂しがりやだなぁ
――ルーとは一緒にいれるだけ、一緒にいてあげたいし…その方があたしも嬉しい
――逆に今後は他の人とも組むことがあるんだろうな…
――ルー、留守番できるかな……大丈夫、かな?
その辺の事は、傍らの真朱色のつり目からは何も窺えない。セレナは正面にいるラジットとアレクサンドロに視線を戻した。
「相変わらず、仲良いねぇ君たちは」
「まぁ、その方が都合いいですけどね…」
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