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本章 ――魔導騎士団の見習い団員――
22-2
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お土産のクッキーを片手に持ち、楽し気に話しながらセレナとルイスは食堂にたどり着いた。朝食はビュッフェスタイルで各自好きなものをとって席に着くので、セレナはお目当てのパンコーナーへと向かう。欲張って皿に山盛りのパンをのせるセレナを横目にルイスは適当におかずを皿に取ってテーブルに置くと、セレナの分も飲み物をとりに行く。
まだ朝訓練の時間の為、食堂には一日休みの団員がちらほらいるだけだ。何人かの人が、チラチラとセレナとルイスのやり取りに視線を送ってくるが、別段話しかけてくる様子はない。シリウスとは仲良くなっていても、まだセレナと言葉を交わした事のある団員の方が少ないのだ。
――ふむ…観察されてる…かな?
――珍獣扱いっふふっ
入団テストやその後の事で注目だけは浴びているセレナであった。それにアレクサンドロの説明によれば、現状はセレナと常に一緒にいるルイスは、元々向こう見ずな問題児な上、誰ともつるまない一匹狼らしかった。常に機嫌が悪く、何処かを睨んだような目つきに無口だとも聞かされていた。
――それって全然ルーじゃあない
――思春期かなっ……フフフッ
ついつい山の様に盛ってしまった皿からパンを落とさない様に、慎重に席に向かうセレナはこっそりと周りを見回していた。
――後でルーに聞いたら、仲良くなって連携とかとらされるのが面倒だって言ってたなぁ…
――でもっ、あたしとは組んでもいいってっ ふふっ
――ルーって優秀な魔導士だしっ
――ルーの身内特別扱いって、極端だからちょっと優越感かな?
飲み物やスープを運んできたルイスと共に窓に近いテーブル席に着いた。食堂の中が良く見渡せる位置だ。あたりを見渡すとひそひそとこっちを見て話す様子がうかがえる。その表情はどこか驚愕や、呆れや、哀れみが…
「レナ……持ってき過ぎだろ…」
「……え…えへ?」
ルイスからも呆れの視線を受ける。確かに目の前の皿にのるのは、2人で食べるにしても大量のパンだ。
――だから、見られてるの!?
――はっ恥ずかしい
楽しみにしていたオレンジを混ぜ込んだクロワッサンを慌てて、口に運び乍らふと思う。目の前の幼馴染は無口で黙々と食事を始めている。部屋にいる時とはうって変わった静かで寡黙な様子だ。これでセレナが近くにいなければ、不機嫌そうな様子が加わるのだ。その上、人のいう事を聞かない。
――ん? まてよ、ルーって問題児? …あれ?
――ルーってば、アレクさん以外で仲良い人いないのかな…
――あたし……大丈夫かな!?
まあいいかと食事にありついたセレナ。ルイスが空になったオレンジジュースが入っていたコップに、水を注いでくれる。ありがとと微笑み合いながら、この後どうするか相談しようとした時だ。食堂の入り口がガヤガヤと煩くなってきた。朝の訓練を終えた隊が食堂に戻ってきたのだろう。席はたくさんあるが、団員全員座るには足りないはずだ。早々に出た方がいいかもしれない。
「レナ、早く食っていこう」
「んっ うん」
席を譲る事など気にしなそうなルイスがどうしたのかと首をかしげると、真朱色のつり目が見開いた。慌てたように両手を伸ばしてくる。何だろうと思っているとどうやら、セレナの後ろから誰かがこちらに来るらしかった。
振り向いたセレナの目には、黒髪で長身のきれいな女性が微笑んでいるのが見える。そのまま女性は歩いてきて、つまずいた。転びそうになりながらなんとか持ちこたえた。そして何でもないような顔を作っているつもりだろうが、耳を真っ赤にし目を潤ませている。
――なにっ!?
――きれいな人なのに、かわいいかもっ
俄然興味が湧いてしまった。ルイスの方からは大きなため息が聞こえる。男らしくなってきたセレナよりも大きな手を自身の額に当てている。
黒髪の女性はつまづいた事など無かった事にして、セレナの目の前までやったきた。
「あなたがセレナさん? 私はミネルバ。そこのルイスの従姉にあたります。新しく女性の仲間が増えたと聞いて、挨拶に…」
「え…はい……セレナです よろしくおねがいします」
――従姉!? え?
――えっと、とりあえず落ち着けあたしっ
セレナは余所行きの顔で、にっこりと微笑んだ。食堂の大きな窓から差す朝陽が、ちょうどよくセレナを照らしそよ風がふわりとセレナの金糸と髪留めのリボンを揺らした。
それをじっと見つめていたミネルバと名のったその人は、ペールラベンダーの目をパチパチと瞬きさせセレナに向かって一歩前に出た。
「レナッ!!」
慌てたルイスの声が食堂に響く。テーブルを挟んだ位置から先程空を切った手を再び伸ばすが、その手がセレナを捉えることはできなかった。一瞬の差で、セレナは捕まってしまったのだ。
「かっかわいいっ 可愛い生き物がいるっ!!!!」
「っ!? ふえぇl!?」
ルイスの叫び声が耳に届いた時には、セレナはぽにょんと暖かく柔らかいモノに顔を挟まれていた。
「もごっ!?」
そして冒頭に戻るのだ。
まだ朝訓練の時間の為、食堂には一日休みの団員がちらほらいるだけだ。何人かの人が、チラチラとセレナとルイスのやり取りに視線を送ってくるが、別段話しかけてくる様子はない。シリウスとは仲良くなっていても、まだセレナと言葉を交わした事のある団員の方が少ないのだ。
――ふむ…観察されてる…かな?
――珍獣扱いっふふっ
入団テストやその後の事で注目だけは浴びているセレナであった。それにアレクサンドロの説明によれば、現状はセレナと常に一緒にいるルイスは、元々向こう見ずな問題児な上、誰ともつるまない一匹狼らしかった。常に機嫌が悪く、何処かを睨んだような目つきに無口だとも聞かされていた。
――それって全然ルーじゃあない
――思春期かなっ……フフフッ
ついつい山の様に盛ってしまった皿からパンを落とさない様に、慎重に席に向かうセレナはこっそりと周りを見回していた。
――後でルーに聞いたら、仲良くなって連携とかとらされるのが面倒だって言ってたなぁ…
――でもっ、あたしとは組んでもいいってっ ふふっ
――ルーって優秀な魔導士だしっ
――ルーの身内特別扱いって、極端だからちょっと優越感かな?
飲み物やスープを運んできたルイスと共に窓に近いテーブル席に着いた。食堂の中が良く見渡せる位置だ。あたりを見渡すとひそひそとこっちを見て話す様子がうかがえる。その表情はどこか驚愕や、呆れや、哀れみが…
「レナ……持ってき過ぎだろ…」
「……え…えへ?」
ルイスからも呆れの視線を受ける。確かに目の前の皿にのるのは、2人で食べるにしても大量のパンだ。
――だから、見られてるの!?
――はっ恥ずかしい
楽しみにしていたオレンジを混ぜ込んだクロワッサンを慌てて、口に運び乍らふと思う。目の前の幼馴染は無口で黙々と食事を始めている。部屋にいる時とはうって変わった静かで寡黙な様子だ。これでセレナが近くにいなければ、不機嫌そうな様子が加わるのだ。その上、人のいう事を聞かない。
――ん? まてよ、ルーって問題児? …あれ?
――ルーってば、アレクさん以外で仲良い人いないのかな…
――あたし……大丈夫かな!?
まあいいかと食事にありついたセレナ。ルイスが空になったオレンジジュースが入っていたコップに、水を注いでくれる。ありがとと微笑み合いながら、この後どうするか相談しようとした時だ。食堂の入り口がガヤガヤと煩くなってきた。朝の訓練を終えた隊が食堂に戻ってきたのだろう。席はたくさんあるが、団員全員座るには足りないはずだ。早々に出た方がいいかもしれない。
「レナ、早く食っていこう」
「んっ うん」
席を譲る事など気にしなそうなルイスがどうしたのかと首をかしげると、真朱色のつり目が見開いた。慌てたように両手を伸ばしてくる。何だろうと思っているとどうやら、セレナの後ろから誰かがこちらに来るらしかった。
振り向いたセレナの目には、黒髪で長身のきれいな女性が微笑んでいるのが見える。そのまま女性は歩いてきて、つまずいた。転びそうになりながらなんとか持ちこたえた。そして何でもないような顔を作っているつもりだろうが、耳を真っ赤にし目を潤ませている。
――なにっ!?
――きれいな人なのに、かわいいかもっ
俄然興味が湧いてしまった。ルイスの方からは大きなため息が聞こえる。男らしくなってきたセレナよりも大きな手を自身の額に当てている。
黒髪の女性はつまづいた事など無かった事にして、セレナの目の前までやったきた。
「あなたがセレナさん? 私はミネルバ。そこのルイスの従姉にあたります。新しく女性の仲間が増えたと聞いて、挨拶に…」
「え…はい……セレナです よろしくおねがいします」
――従姉!? え?
――えっと、とりあえず落ち着けあたしっ
セレナは余所行きの顔で、にっこりと微笑んだ。食堂の大きな窓から差す朝陽が、ちょうどよくセレナを照らしそよ風がふわりとセレナの金糸と髪留めのリボンを揺らした。
それをじっと見つめていたミネルバと名のったその人は、ペールラベンダーの目をパチパチと瞬きさせセレナに向かって一歩前に出た。
「レナッ!!」
慌てたルイスの声が食堂に響く。テーブルを挟んだ位置から先程空を切った手を再び伸ばすが、その手がセレナを捉えることはできなかった。一瞬の差で、セレナは捕まってしまったのだ。
「かっかわいいっ 可愛い生き物がいるっ!!!!」
「っ!? ふえぇl!?」
ルイスの叫び声が耳に届いた時には、セレナはぽにょんと暖かく柔らかいモノに顔を挟まれていた。
「もごっ!?」
そして冒頭に戻るのだ。
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