死んだ日の朝に巻き戻りしました  ら、溺愛生活がリスタート?

ピコっぴ

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1 諦めた私

1‑5 家族の肖像

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     👪

 王族の使う馬車は、とても座り心地はよいもので、リビングで高級ソファに座っているようだった。
 ただし、居心地は良くない。

 だって、隣に王家の男性が、第二王子殿下がぴったりとくっつくように座っているのだ。

 ──普通、家族でもない男女なら、少しでも隙間を空けるように気を使わないかな?

 魔法士学校の生徒代表委員の長をされていて、ご自身も強い魔法を使え、人を教えることは入念な下調べなど復習と予習とを以て学びでもあると、下級生向けに講義を持つほどの魔法に対する才能ゆえに、一部の臣下には、王太子よりも人気があるとか。

 私は、これまであまり接点を持たずに来たので、それ以上のことは詳しくは知らない。

 こうして隣に座っているだけでも感じるほどに魔力を帯びた白金の髪プラチナブロンドと、精霊が好きそうな宝石のように透きとおる薄藤色アメシストの瞳。
 王妃に似て優しい感じの面差しは、王太子よりも令嬢達には人気がある。王子妃や婚約者がいないのも拍車をかけているだろう。
 みな、あわよくばと思っているらしく、生徒代表委員会に参加したがる。けどその殆どは第二王子目当てで、学園生活をよくしたいという意欲に燃えてのことではないので、誰も役員になることは適っていないらしい。

 まだ18歳だ。成人まで間があるし、彼の妃になる令嬢ひとは、王宮の方で吟味しているのかもしれない。選考委員会などもありそうだ。
 第三王子には既に婚約者がいて、王太子は昨年結婚したばかり。第二王子をすっとばして、第三王子が先に王子妃を決めているのは政治的事情というやつだろうか?

 18歳の第二王子──エリオス殿下は、学校でも誰に対しても紳士的で公平。6年生として学ぶ一方、1年目で基礎を学びある程度魔法を使える2~3年生に教えながら研究もしている、教員室の並ぶ学習棟に研究室を持つ講師兼研究生でもある。

 そんな方が、私の隣で、私の肩を抱き寄せるようにくっついて座っているのだ。
 緊張するなと言うのが無理だし、恩人でもあるし、肩を抱き寄せているからと言って、下心があるとかいやらしい雰囲気があるとがでもなく、海に落ちて死にかけて、這い上がった風穴から脱出できずにいた心細かったであろう私を力づけるためだと判るから、放せと突っぱねる訳にもいかない。

 それに、そもそも死のうと思った事情と、海に落ちて凍えかけた直後であることから、人の温かみが触れているのが安心するのは事実なのだ。



「クレディオスのせい?」

 ビクッ 肩が跳ねる。肩を抱き寄せるようにされていたので反応してしまったのを誤魔化せない。

「ご存知だったのですか?」
「詳しくは知らない。が、婚約者である君といる姿を最近はあまり見かけない。しかも、貴族の婚姻は契約でもあるというのに、婚約解消の手立てを探していると聞いたから一応諌めておいたが、その様子だと、考え直してはいないようだな」

 そう。私が海に身を投げる気になった理由。

 それは、家族ヽヽからの裏切り。

 公爵家の跡取り娘として、厳しく育てられたこと自体は文句はない。感謝もしている。
 奔放に爛漫に育った妹を見ていると、貴族としてのマナーや教養を叩き込まれたのは当然だと思っているし、それでよかったのだと実感する。

 ただ、家族にとって、私は、家名を背負い、次代に繋ぐためのはらでしかなかったのだ。

 教養として、慈善事業の一環で公爵家で投資している劇団の視察として、伝統的な古典文学が原典の公演を婚約者と観劇したり、当主を継ぐにあたっての社交の場を設けるために、夜会を開いたり他家の夜会に婚約者と参加したり、令嬢達の茶会に参加したり。
 それらは定期的に行っているものの、妹と家族での娯楽のための観劇や食事会に同行させてもらったことはない。

 誕生日や各種祝いのおりに、付き合いのある貴族家や王族から祝いの品が届くけれど、妹のように家族からもらったことはない。
 長女の私は、王家からも高価な品をもらえるのだからいいだろうと言うが、そういう問題ではないとは言えなかった。

 私は、十四歳で社交デビューするまで、父と食事の席に座ることは許されなかった。初めて同席する緊張に身を縮めていると、妹を伴って父が食堂に来た。義母も一緒だ。妹は離乳食の時から一緒だったと知ったときの衝撃は、言葉に出来ないほどだ。

 いわく、後継ぎの私は、次期当主として貴族らしい習慣に則り、マナーを学び自発行為への責任能力が認められる大人になるまでは同席は許されないが、早い内に政略結婚で家を出される妹とは今のうちしか共にいられないからだという。

 そういうものかと、納得はいかなかったものの異議を唱えることはしなかった。
 しても無駄なのだと、この十数年で嫌というほど身に染みたからだ。

 ──そして、婚約者のクレディオス




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