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冥界に一番近い山──楽園と地獄の釜
ろく。『チルちゃんのスキル【薬学】【調合】の効果スニャイムジュースの意味がやっと判りました』──様々な素材を吸収して薬剤を作り出す能力でした
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🐝
チルちゃんの技能【薬学】【調合】の効果──スニャイムジュースを扱える──の意味がやっと判った。
様々な素材を吸収して、お薬や栄養剤などを作り出す、薬師みたいな能力なんだ。
キールさんに凄く感謝されたけど、そもそも、私が寝た子を起こすように隠れていた毒蜂を呼び起こしたから怪我をしたのにと思うと、ちょっといたたまれない感じがして居心地が悪い。
私が手をついた椰子のような木以外にも、水苔のようなフサフサが着生しているところはあって、どうやら、どれにも毒蜂は住んでいるようだった。
「何を言うんだ。メンバーで冒険中の事故は、よほどの過失がない限り、みんなで背負うものだよ。
たまたま、コハクちゃんの触った木、不注意でむやみに触ったわけじゃなくて、たまたま転びかけたのを手をついたら、蜂の巣だった。
その蜂からコハクちゃんを護ろうとして、私が攻撃を避けきれず刺された。これは、普通に冒険中の事故だから、君が気に病むことはないよ」
もちろん、これがアレフ達でも、同じように責めたりはしないと思う。
エドガーは鈍くさいだの落ち着きがないだの文句を言う時もあるけど、それでも基本、お前は足手まといでしかないとか、お前のせいで怪我をしたとかは言わない。
似た場面で怪我をした時は「お前に心配される謂れはない。俺の力不足だっただけだ。間に合うと思ったのだ」としか言わなかった。
私の癒しの杖も、ただ黙って受けてた。
だから、それはわかってるんだけど、それでもやはり私が手をつかなければと思ってしまう。
「でも良かったじゃない? その子達の技能の使い方が解らなかったんでしょ? 偶然だけど、試せたじゃないの」
「素材を吸収して増強剤や回復薬を作れるなんて、今は技能レベル低いかもしれないけど、経験を積んでいけば、無限の可能性を秘めてるじゃないか。色々試してみるといいよ」
アネッタさんもギレウォッタさんも、すっかりチルちゃんのスニャイムジュースの力を受け入れて、更に先を期待している。
「こういうのも、怪我の功名って言うのかもね? ちょっと違うかもしれないけど、私が刺された事でスニャイムの技能が判明した。ね?」
キールさんは、自身が半妖精で森人の集落で育ったから、最初からチルちゃん達に好意的だ。
「何を摂取したら何を作れるのか、色々試して、メモしておくといいよ」
「いざという時、役に立つわよ」
「私は、自分がハーフエルフで精霊術を嗜むので、妖精は精霊力に影響されるし物質体を持ったがために制限があって、精霊よりも下位の存在だと思ってたが、君とその子達やジャック・フロストなんかを見ていたら、見下した驕った考えだったと思わされたよ。今回、冒険に参加して良かったと思う」
ハーフエルフのほっそりとした美貌で、ダーレンさんが目を細めて微笑んでくれた。
「さ、山頂まであと少し、頑張って登ろう」
野生動物は殆ど見ることなく、妖魔や魔属植物性の魔物が多く、裾野で感じた冷気にも似た冥の気は、ますます濃くなっていた。
チルちゃんの技能【薬学】【調合】の効果──スニャイムジュースを扱える──の意味がやっと判った。
様々な素材を吸収して、お薬や栄養剤などを作り出す、薬師みたいな能力なんだ。
キールさんに凄く感謝されたけど、そもそも、私が寝た子を起こすように隠れていた毒蜂を呼び起こしたから怪我をしたのにと思うと、ちょっといたたまれない感じがして居心地が悪い。
私が手をついた椰子のような木以外にも、水苔のようなフサフサが着生しているところはあって、どうやら、どれにも毒蜂は住んでいるようだった。
「何を言うんだ。メンバーで冒険中の事故は、よほどの過失がない限り、みんなで背負うものだよ。
たまたま、コハクちゃんの触った木、不注意でむやみに触ったわけじゃなくて、たまたま転びかけたのを手をついたら、蜂の巣だった。
その蜂からコハクちゃんを護ろうとして、私が攻撃を避けきれず刺された。これは、普通に冒険中の事故だから、君が気に病むことはないよ」
もちろん、これがアレフ達でも、同じように責めたりはしないと思う。
エドガーは鈍くさいだの落ち着きがないだの文句を言う時もあるけど、それでも基本、お前は足手まといでしかないとか、お前のせいで怪我をしたとかは言わない。
似た場面で怪我をした時は「お前に心配される謂れはない。俺の力不足だっただけだ。間に合うと思ったのだ」としか言わなかった。
私の癒しの杖も、ただ黙って受けてた。
だから、それはわかってるんだけど、それでもやはり私が手をつかなければと思ってしまう。
「でも良かったじゃない? その子達の技能の使い方が解らなかったんでしょ? 偶然だけど、試せたじゃないの」
「素材を吸収して増強剤や回復薬を作れるなんて、今は技能レベル低いかもしれないけど、経験を積んでいけば、無限の可能性を秘めてるじゃないか。色々試してみるといいよ」
アネッタさんもギレウォッタさんも、すっかりチルちゃんのスニャイムジュースの力を受け入れて、更に先を期待している。
「こういうのも、怪我の功名って言うのかもね? ちょっと違うかもしれないけど、私が刺された事でスニャイムの技能が判明した。ね?」
キールさんは、自身が半妖精で森人の集落で育ったから、最初からチルちゃん達に好意的だ。
「何を摂取したら何を作れるのか、色々試して、メモしておくといいよ」
「いざという時、役に立つわよ」
「私は、自分がハーフエルフで精霊術を嗜むので、妖精は精霊力に影響されるし物質体を持ったがために制限があって、精霊よりも下位の存在だと思ってたが、君とその子達やジャック・フロストなんかを見ていたら、見下した驕った考えだったと思わされたよ。今回、冒険に参加して良かったと思う」
ハーフエルフのほっそりとした美貌で、ダーレンさんが目を細めて微笑んでくれた。
「さ、山頂まであと少し、頑張って登ろう」
野生動物は殆ど見ることなく、妖魔や魔属植物性の魔物が多く、裾野で感じた冷気にも似た冥の気は、ますます濃くなっていた。
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