異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました

ピコっぴ

文字の大きさ
256 / 294
Ⅲ.女神の祝福を持つ少女たち

94.収穫祭④祝

しおりを挟む

 食事も済み準備を整えてカインハウザー様と屋外へ出ると、素晴らしい景色が広がっていた。

「わあ⋯⋯」
「壮観だろう?」
「はい!!」

 冬が近い秋とはいえ、もうすっかり太陽は顔を出していて、秋特有の高く済んだ空は、見た事もないくらい綺麗な薄空色で、光の精霊や光霊達が一面に飛びまわり、キラキラしていて、カインハウザー様の青銀せいぎんの瞳のようだった。

 空が抜けるように冴え渡って、光の精霊達が踊って祝福してて、色味も優しさも、まるでカインハウザー様に温かく見守られてるみたい⋯⋯

「褒め過ぎかな?  わたしはそんなに出来た優しい人間ではないよ」
「えっ? あ、いえ、そんなことないです! カインハウザー様の保護とお心遣いがあってこそ、私は今生きていられますから」

 恥ずかしい。口に出してたのね。それとも、これだけ精霊も妖精もたくさんいるから、いたずらっ子が、カインハウザー様に聴かせたのかしら。

「これから一週間、次の聖の日まで、そのかしこに精霊と妖精が溢れているから、いたずらには気をつけるようにね」
「はい」

 やっぱりそうなのね。
 今も、誰かが、せっかくセットしてもらった髪を引っ張ってるの。

「ああ、ほら、言ってるそばから⋯⋯ 君達、申し訳ないけど、今日はシオリは成人儀礼の主役なので、髪には潜るだけで引くのは遠慮してもらえるかな?」

 優しくお願いヽヽヽして、いたずらピクシーを払うと、困った子を見る目で微笑み、妖精達の引っ張って曲がった髪飾りを直してくれる。

「たった二週間会わなかっただけなのに、すっかり娘らしくなったね」

 子供の成長を見守るお父さん──いや、妹を見守るお兄さんかな──みたいな目をして髪をなでて整えてくれ、滑り降りた手が頰に添えられる。

 ものっすごく居たたまれませんが!!

 大人になったみたいに見えるのは、華奢なレースの飾り襟付きのワンピースと、ハーフアップの髪と、宝石(イミテーションだよね!?)のついた髪飾りと、薄化粧のせいですから!

 頰っぺ熱いし、絶対真っ赤になってる! ここは他の地にくらべて精霊も多い街で、カインハウザー様の館だもの、思慕の精霊もいるかもしれない。バレちゃう!! 動揺してるの、伝わっちゃうよ!

 くすくすと、笑みをこぼして頰に添えられた手を離すカインハウザー様。

「そんなに緊張しなくても、他の新成人達と一緒に祝ってもらうだけだよ。何かしろとか、祝辞への答辞を返せとか言わないよ」

 そういうの、苦手だろう? そう言って微笑むカインハウザー様に手を引かれて、街への坂を下り始める。

《おめでとう》
《あなたが無事、そのままあなたのままで大人になってくれて嬉しいわ》
《これからも、この街とセルティックを、花を樹を、世界をよろしくね》
《あなたの行く手が素晴らしい光と共にあることを》
《花が咲き綻ぶように、あなたも愛を夢を花咲かせますように》

 行く先々で、精霊達が妖精達が、歓びを伝えてくる。

 なんだか、歩いてるのにふわふわと浮いてるような気がする。
 ダンスなんか出来ないのに、このまま踊れそうな気すらする。

 北と南の城門近くで祝砲の代わりの精霊達が打ち上げられ、その精霊たちが、街中に祝福を振りまいていく。

「シオリがいてくれるおかげで、いつもより精霊達の機嫌がいいね。君の言うキラキラが、例年になくたくさん降り注いでいるよ」
「いつもこうじゃないんですか?」
「もちろん、わたしもそこそこ精霊に好かれているからね、だいたいこんな感じだけど、彼らの歓びが、いつもより大きい。今年は、まだまだ彼らの祝福が増えるんじゃないかな」

 私がいることで、精霊達が活性化して、街が潤うなら、私がこの街にいる意味はある?

「そうだね。どこにも行かないで、たとえお嫁に行っても、ずっとそばに⋯⋯この街にいてくれるかい?」



しおりを挟む
感想 113

あなたにおすすめの小説

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜
ファンタジー
この世界は「アステルシア」。 魔法と魔物、そして“従魔契約”という特殊な力が存在する世界。代々、強大な魔力と優れた従魔を持つ“英雄の血筋”。 でも、生まれたばかりの私は、そんな期待を知らず、ただ両親と兄姉の愛に包まれて育っていった。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

処理中です...