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第一章 辺境の町
第27話 壁で囲まれた町
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この世界に来てから四日目でようやくたどり着いた町が今、目の前にある。
そこは想像していたより大きな町だった。
町をぐるりと取り囲む壁も見上げるほどの高さがあって立派で、これなら魔物からもしっかり守ってくれそうな安心感があるね。
お昼前ということもあり、この時間、大きな鐘の付いた門前には誰も並んでない。
割りと気さくな門番さんに軽く挨拶し、通行税の銅貨1枚を支払うと特になにも聞かずにすぐ通してくれる。
フードを目深に被った怪しい姿だったにも関わらず、拍子抜けするぐらいあっさりと中に入ることができたよ。
……なにも調べずこんな簡単に通しちゃっていいのかなとはちょっと思った。私的には詳しく聞かれなくて助かったんだけど、ね。
――さて、町に入る事も出来たし、さっそく冒険者ギルドへ行きますか!
場所はさっき門番さんに聞いてきた。町のメイン通りにあるらしい。
私は北門から入ったらしく、そこから南に伸びる大通りをまっすぐ行けばいいとの事だったので、教えてもらった通りに町中を進む。
途中、あちこちの物価を確認してみると、『異世界知識』と比べて平均的か、物によってはそれより少し安いくらいだった。町にも活気があるし、暮らしやすいのかもしれない。
――屋台もいっぱいあって賑やかだ。
どうやら肉料理が一番量が多くて安く、次に果物、野菜入りの肉スープの順で、一番高いのがパンと他の穀物みたいだね。
この世界では異常に成長の速い森を切り開いて町を作っている所が多いから、肉は狩猟で手に入りやすいけど、畑を作る土地を確保するのは大変ってことなんだろうな、この値段設定だと。
あ、パエリアみたいなのも売ってる! お米がさっそくあったのは嬉しいし食べてみたいけど……高いっ、当分無理だね。
パンの実も売ってるよ! 森に生ってた実とは随分形が違うけど安い。パンの実二個と果実水付きで銅貨1枚とか。百円でこれだけ食べれるのはお金のない私には助かるけど……。
――ねえちょっと待って。
この屋台の隣に植えてある街路樹って……これ、パンの樹じゃない?
熟れてる実も少しなってるけど、何か皆勝手にもいで持ってってるよ。大丈夫なの? 無料なのこれ?
売り物のとは形も色味や大きさも違うけど、隣でタダで手に入るのがあるのに、わざわざ買ってくれる人とかいるのかなぁ……?
「ここにあるのは領主様からのギフトさ。この町にいる人なら住民に限らず誰でも取って食べていいんだ。ただ、際限なく採っていい訳じゃない。自分の食べる分だけ頂いたら、残りは必ず教会に納めに行くんだよ」
――思わずじっと見てたら屋台のおじさんが教えてくれた。
ボトルゴードの町を造るとき、何かあった時のための救済植物にと、領主様が街路樹にパンの木を植えた。
備蓄に適した品種で味も見た目もそんなに良くないが、とても丈夫で年2回、大量の実が採れる。
実際、過去には魔物が押し寄せて来て、町に籠城することがあったらしく、その時とても助かったらしい。
「中には領主様の好意を無碍にして、独り占めや転売するような奴もいるからな。こうして俺たちが、木の下に店を出して見張ってるんだ」
なるほど、そうゆうことなのか。
ここの領主様は住民を大切にしているから、住民にとっても愛されてるんだね。そしてこの町の住民は、そんな町とそこに住む自分達にとっても誇りをもってるんだ。いい関係性だなぁ。人族以外の種族にも寛容だといいんだけど。
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