気づいたら異世界ライフ、始まっちゃってました!? 

飛鳥井 真理

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第一章 辺境の町

第183話 歓迎会

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 ラグナードが最初に目に留めたのは、初めての休日にリノが町で見つけてきた美味しいお菓子。

「私のお薦めで、ローザも気に入っている『ロカの店』の新作クッキーと甘茶です。よろしければ召し上がってみてください!」

「おおっ、やはり新作か! さっそくいただこうっ」

 店名を聞いた途端、耳がピンっと立って目が期待に満ちたようにキランっと輝いた。

 メインの肉料理とかよりも真っ先にクッキーに手を伸ばすと、美味しそうにバリバリと食べ始める。
 尻尾もブンブンと嬉しげに揺れ出したんですけどすごく気に入ってくださったってことでいいですか? めちゃくちゃ分かりやすいですっ。


「ラグナードさんって……甘いもの、お好きなんですね?」

「うぅっ。まあ、そうだ。ああゆう店はほら、いつも人族の若い女性で溢れているだろ? 中々敷居が高くてな、買いに行けなかったというか」

「確かに男の人一人だと入りにくいかもしれませんよね。私が行ったときも店内は女性ばかりでしたし」

「だろ? それに商品がなくなり次第閉店するから、夕方にはほぼ閉まってる。買いたくても中々買えないんだよな」

「分かりますっ、早過ぎですよね。それだけ人気があるってことでしょうし、仕方がないんですけど。それにこの新作は特に人気で、販売直後に売り切れてしまうらしくて余計に大変でした。なのでこれを見つけた時は嬉しくってまとめ買いしちゃいましたよ!」

「へぇ、そんなに人気のお店なんだ。美味しいもんね」

「そうなんですよ」
 
 リノはともかく、ラグナードも甘味屋さんの情報に詳しいのは意外だったけど、そのおかげですぐ打ち解けられたしこれなら上手くやっていけそう。よかった。



 それから三人で食事をしながら、大食漢が多い獣人族よりもよく食べるリノの食欲にラグナードが驚いたり、ラグナードお薦めのお手頃価格で美味しいお店を教えて貰ったリノが歓声を上げたり、二人から私の料理の腕前を誉められたりして盛り上がった。話題が尽きない楽しい歓迎会になったよ。

 時間とともに十分すぎるほどの量があった料理も粗方リノの胃袋へと消えていき、食後に甘茶を飲みながら、討伐した魔物の事、お互いのスキルの事などパーティー戦に必要な情報も交換していく。



 その後は、せっかくだからと冒険者になった経緯なんかも順番に話す事に……。

「俺は成人の儀式の一環として修行の旅をしている。冒険者になったのは、人族の町から町へと移動するのに都合がいいからだな。故郷では見つからなかった番も探したいし、いずれはこの町も出ていくつもりだ」

 と、ラグナード。そっか、パーティー組めるのも一時的なものになるかも知れないんだね。

「私は自分で稼いだお金で、お腹一杯美味しいものを食べたかったからですね。あとは家族に仕送りをしたいっていうのもあります」

 うんうん、リノはそうだったよね。

「……ローザが冒険者になった経緯って何ですか? 私それ、聞いてなかったかも?」

 う~ん、別に話したくないわけじゃないんだけどね? 異世界から来たとかの、一部不都合な情報があって、それを隠して話すとどうしても誤解を生むからさ。私の精神安定の為にも、話さなかったんだけど……。




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