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第一章 辺境の町
第232話 あと一息
しおりを挟む強い人達が蔓状の魔樹に掛かりきりになっているので、その間、私やリノと同じようにスキルレベルや武器レベルが足りず、触手が切れない者達で魔物の討伐を担当する事になっている。
事前の取り決め通り、数人ずつ組んで向かって行く。
草藪や蔓などを刈り込んだこともあって、今はある程度広がって戦える場所が出来ていた。
到着した時には、前に進めないほどの鬱蒼とした藪で覆われ、見通しも利かず足場も悪かった事を考えると、随分戦いやすくなっている。
私達二人は、いつものように前衛と後衛に別れ、リノが前に出て短剣を使い接近戦を、私が後ろから魔法を使い遠距離攻撃を担当する。連携は上手くいき、一体ずつ着実に数を減らしていった。
大人数での即席チームにしては連携も取れてたし、各個撃破も落ち着いて出来ていた。
単調な戦闘が続き、集中力が切れそうになってきたその時……。
ようやく周囲から戦闘音が消えた。
――終わった……の?
見渡すと、周囲に襲いかかってくる魔物はいない。蔓状の魔樹も怯んだのか、徐々に奥へと引っ込んでいき、表面上は大人しくなって動いていない。うん、大丈夫そうだ。
それに皆も、大きな怪我はしていないっ。
よかった。まずは第一陣の撃退、成功だね!
そうして戦闘の波を何回か対処している内に、両方面で行われていた戦闘が無事に終了。
ちょっとした怪我人は出たけど、私の聖魔法で治せる範囲だったのでレベル2の『治療』を使いすぐに治した。血の匂いは魔物を引き寄せるからすぐ対応しないといけないからね。
その間にも手分けして、色々と散らばっているものを落とし穴に片付け、その辺に捨てられず素手でも触れない例の危険な触手は、専用の手袋と革袋を使って拾い集めていく。
念のため、最後に辺り一面を聖魔法で『浄化』し、拾い残しがないかもチェックを済ませておいた。うん、大丈夫そう。
それからはまた、蔓状の魔樹の魔核がある本体部分に近づくために、立ち塞がる絡まった蔓や生い茂る草などを刈り取る作業に戻っていった。
時折また、魔物や魔樹の反撃に遭いながらも地道にちまちまと前に進んでいると……。
突然、ポッカリと拓けた明るい空間に出た。
そこだけは突如として生命活動を辞めたかのように枯れ果てた空き地になっている。今は追い込んだ蔓状の触手の一部が不気味に蠢いているだけ……。
これは、蔓状の魔樹が周辺の樹や草に巻き付いたりして養分を奪い、枯らせた為に起きた現象。
――見つけたっ。
ここが探していた場所だ。地中に本体の潜んでいるところ。
ようやく終盤まで辿り着けたよ。どうやら私達の班が一番乗りみたいだね。
でも人海戦術ってすごいなぁ。三人だけじゃどうしようもなかった、人を通さないジャングルが綺麗に薙ぎ払われ、道ができている。たった半日で見違えるようになった。
本当、一体倒すのに手間をかけさせるよね。自在に動き回ることも出来るし地上の動植物や大気中からでも魔力や魔素を吸い取れ、おまけに土の中に潜り土から養分を吸収する事も出来るという、なんとも自由自在で無敵で迷惑なトレント。でもあともう一息で倒せるところまで来たっ。
別動隊が追い立てている触手が一ヶ所に集まってから、まとめて一気に燃やすことになる。
今は皆が揃うのを待たなきゃね。再生能力が高い蔓状の魔樹は、そうしないと押さえ込めないから。
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