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第一章 辺境の町
第151話 再び奴らと遭遇しました
しおりを挟む支援魔法が切れるタイミングで休憩を取ってはまた進みを繰り返し、果樹園に段々と近づいてきた。
すると、前方に黄色とピンクのファンシーな色合いがチラチラと見えてきた。『索敵』の範囲外だったけど、どうやらこの先にスモール・ワームの群れがいるらしい。
今までは果樹に群がっている場面にしか出会ってなかったけど、今回は地面にいるみたいだ。何を食べているのかが気になる。
「多分、茸を食べてるんじゃないかなぁと思うんだけど。マジックキノコだったらもったいないし。この距離だと分からないなぁ……」
「そうですよね。近づいて確認してみますか?」
「……まだ、向こうは気づいてないよね。一回、この樹に登って見てみてもいい? ハズレだったら迂回したい」
「分かりました」
まだお昼にもなっていないのに、今日も討伐回数が多くなっているんだよ。安全の為に魔力も温存したいからね。
一度、樹の上から『鑑定』してみる。木々や草藪に隠れて見えにくかったけど、何とか視界が通った。
あ、水玉茸だっ。やったぁ!
「個数は不明だけど、水玉茸があったよ」
「何だか、美味しい素材の先にはいつも、奴らがいますね」
「……そういえばウルルの実の時もいたね」
「今回も負けられませんっ」
「そうね」
気合いの入ったリノと相談した結果、このままスモール・ワームの討伐と水玉茸の採取の二つを同時にやってしまう事に……。
気づかれないように出来るだけ近くまで行って見ると、水玉茸の群生地にスモール・ワームが二十匹ほど群がっていた。
うむむっ、これは……ちょっと難しいかも。
スモール・ワームはバラバラに散らばっているから、下手にこの場所で魔法を使ってしまうと茸に当たって繊細な水玉模様が消えてしまう。
かといって剣などの物理で攻撃しても、一体にかける時間は魔法攻撃より長い上に、一撃で倒さないと暴れてせっかくのマジックキノコが駄目になってしまうかもしれない。
「どっかへ行ってくれないかなぁ」
「……っ! それですよっ」
「んん? ……あっ、そっか!」
魔法と物理、どちらの攻撃でも損害が出るなら、一度マジックキノコの上からスモール・ワームを退かしてしまえばいい。その上で討伐した方が損傷が少なくてすむ。
注意するのは噛みつき攻撃と体当たりだけだし、速度は遅いし行けるはずっ。
――と言うわけで、さっそく作戦決行!
魔物は何故か人を見たら襲いかかってくるので、リノが派手に音を立てて飛び出し、囮になって注意を惹き付け私のいる方へ誘導する。
黄色にピンクのシマシマのモフモフが転がるように、続々と魔法攻撃の範囲内に入ってきたっ。
今回は水玉茸を優先して、スモール・ワームの素材は捨ててもいいと決めたので……。
『火炎噴射』!
私の最大火力である火魔法を連打し、来た順に削っていく。やっぱりポイズンラットやホーンラビットに比べて動きが遅くて狙いがつけやすい。あっという間に片付いたよっ。よかった。
飛び火もないし、上手くいった。後は二人でスモール・ワームを一ヶ所に集め魔石を取り出してから『火炎噴射』で燃やして『消火』で消しておく。
――スモール・ワームの甘い体液の匂いが辺りに充満する中、後始末が終わった。
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