150 / 308
第一章 辺境の町
第150話 食用茸ならあるんだけど……
しおりを挟むいつもより始動時間が遅いのと、競争相手がいない町から遠い巨木群の近くで採取したいというのもあって、そこまでは安全な街道を行くことにした。
目的地までは、北門を出て10km以上あるので鍛練がわりに軽く流して走っていく。
目印となる巨木群がはっきり見える距離まで来たら、今度は街道からそれて森の中へと入っていくんだけど、当然ながら町の近くの手入れされた森と違ってほとんど人が入らないので見通しが悪く、危険も多いんだよね。
一人では何回も来ていて『マップ作成』に詳しく表示されるようになった場所だけど、リノを連れては初めてなのでいつもより慎重に行こうと思う。
採取中心にいく予定でいても、ここでは魔物との戦闘は避けられない。少しでも遭遇を減らす為に『索敵』スキルを発動させ、近くに危険な気配がないかを探っていく。
森の奥へと入り込まないように注意しながら、リノにも『嗅覚強化』スキルを使ってもらい、お目当ての茸を探してゆっくり進んでいった。
巨木群から果樹園の方に向かっているんだけど、やはりと言うか水光茸に関しては影も形もない。昨日はあれだけあったのに、本当に一日で全部消えちゃうんだね。
水白茸はポツポツと見つかるものの買取価格も安いし、街道沿いにも生えているので自分達が食べる分だけ帰り道で採ればいいと今は素通りしている。
この辺りで一番よく目につく茸は、虹色茸かな。雨の後は白い茸のほぼ全部が色付き採取可能になるというだけあって、あっちにもこっちにもカラフルな五色の固まりがある。
ここは虹色の樹の近くなので、なおさらよく繁殖しているんだろう。
マジックキノコではない普通の食用茸だけど、滋養強壮作用があって美味しいので人気はある。
ただこの茸も、十個で1シクルと買取価格が安く、採取場所も町から離れているので常設依頼なのに納品が少ないみたいで、前に少し採っていっただけでエドさんがすごく喜んでくれたんだよね。
……今日もちょっと採っていくか。いつもお役立ち情報をもらってお世話になっていることだし。
多いと一ヶ所で五十個ほどは苦もなく集められるため、時間もそんなに掛からない。二人でやれば、すぐに一袋分がいっぱいになった。
茸狩りをしている間もやっぱり魔物との戦闘は避けれないので、冷静に淡々とこなしていく。
『索敵』で事前にどの魔物がどれくらい来るか、分かっているからこそ出来る事なんだけどね。
ポイズンラットにホーンラビット、時々ゴブリンやスライムなんかにも出くわすけど、何度も対峙してきた弱い魔物ばかり。
なので今日もラストアタックを彼女に任せる余裕がある。私は後方から魔法で援護していくいつものスタイルを貫いた。
連携も上手くなってきて順調なんだけど、肝心のマジックキノコがね……中々見つからないです。普通の食用茸なら色々生えてるんだけどなぁ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
924
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる