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第23話
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「さっきの在香……あれ絶対テンションじゃなくて“覚悟”だよな。なんか決めてた顔だったし。」
「パラッパー! パラッパー! トゥルルル!」
存子の魔導電話のコール音だ。
ほんとこれ、存子が口で言ってるんだよな。
これ外で鳴ったら俺、ガチで変な趣味のヤツだろ。頼むからやめてくれ。
「是明さまー! エリザでございます」
俺はそのまま切った。
ああ、なんで知ってんだ?ありえねぇだろ。
「パラッパー! パラッパー! トゥルルル!」
今度はなんだ?
『販売課』
ん? そんな課あったか?
――いや、ねぇよ。
「是明さまー! 切るなんてひどすぎますぅー」
偽装か? おいおい マジで偽装なのか?
「なんだよ?」
「お話していただけるのでございますね。拙者まるで天に上る気持ちで」
「マジなげぇーよ」
「申し訳ございません。今回は先に、お耳に入れておきたく存じまして」
「なんだ?」
「14区を侵攻している勇者の一部が、是明さまのところへ向かうと」
「なんでだよ」
「是明さまが一部の者の退職代行をされたとお聞きして、
勇者たちも是明さまに“辞めさせてもらえないか”と」
「勇者って、深淵の女神直属だろ? あいつら辞めるとか言ったらマジで雷落とされるぞ」
「そこで、対応して大きな貸しにしてみてはどうでしょう? メスの勇者は粒ぞろいでございます」
「いや、ちょっと待て。まさかお前か? この話振ったの?」
「いえ、振ってはおりません。私の情報網にかかったのを開示いたしました」
「マジか」
やべぇな、なんだエリザの情報能力。
ありえねぇぐらいの精度なんだが。
勇者どもがきて、俺になんのメリットがあるんだ?
対応したらしたで、かなりの貸しになりそうだな。
たしかセレスは、手伝いって名目で居座ってるよな。
俺またあの女に会うのか、うわーマジでめんどくせぇ。
◇
徴税局の応接室
「どうしてお前がここにいる?」
普通は厳重な身分確認が必要な場所だ。
徴税局の応接室になぜかエリザと勇者が二名。
しかもあの魔導通信からわずか一時間後という離れ業だ。
ってか。すでに向かっている途中でかけたんじゃねぇのかこいつ。
「是明さま、お目にかかれて光栄に存じます」
「ぜ、ぜ、ぜみゃう。是明さまっ!」
「是明さまっ!」
そんな目をキラキラさせないでくれよ。
あの時の1階の連中と同じ目をしてやがる。
「それで? 勇者辞めたらその力がなくなるぞ?」
「ええ、ゼロからやり直します」
「はい。私もです」
あろうがなかろうが俺は知らんがな。
「魔力すら残らねぇかもしれねぇよ?」
「それでも構いません」
「同じくです」
マジで言っているなら、頭お花畑どころかクソの海だぞ。
「わりぃ。余計なことだけどな。魔力なしでどうやって生きていくんだ?」
「身に着けた武術でやりくりします」
「私もです」
おいおい、冗談だろ?
……こいつら、ほんとに辞める気満々だな。
「なんで俺がここまで気にしているかっていうとな、俺がお前らを消滅させる時がくるんじゃねぇかって」
「どういうことですか?」
「納税だ」
「納税ですか?」
「ああ、そうだ。納税できないヤツは俺が消滅させている」
「それって死ぬってことですか?」
「あたりまえだろ? 俺の手で殺されないでくれよ? な」
「助けて殺すって、わけわかんねぇだろ?」
沈黙すんな。マジで。
「なあ、これ食ってみな」
「これは?」
「いいから食え。両方食ったら食レポな?」
「は、はい」
「こっこれは!」
「わっ! 何これ!」
こいつら適性あるかもな。
「すごく旨いです。どちらもうまいです」
「私もこんなおいしいお肉初めてです」
「なら、大丈夫かもな」
「え? 何がですか?」
「ああ、仮に魔力失っても、その肉食ってりゃ再生するかも、ってやつだ」
「そんなことが」
「嬉しいです」
「ちなみにな、そっちの肉は“天使銘柄”の魔獣。
こっちは“神銘柄”の同じく魔獣の高級肉な。俺たちには日常食」
「ゲッ! そんな高級肉を?」
「わわわ 討伐ポイントなんて0ですぅ」
戸惑いながらも、フォークは止まっていない。
まあ人によっちゃ禁断の味だからな。
マジでやべぇヤツはこれ食って狂う。
そのぐらいヤベェ。
「驚いてもその味、もう忘れられねぇだろ?」
「はい」
……こいつら、本気か。
「……よし。なら教えてやるよ。本気でやるならな」
「まずは肉をまるまる1か月、毎日食えるぐらい稼いでおけ」
「はい」
「次に、女神が勇者の証を消してから少しタイムラグがある。
その間に体を慣らせ。つまり戦え。
天使の堕天使団でも神族の外法神でも戦って、回収課に渡せ。ポイントもらえ」
「最後に完全に証が消えて1日たったら、毎日食え。天使でも神銘柄でもどっちでもいい」
「そんで1か月後、何かが変わったはずだ。うまくいきゃ肉食って能力が開花する」
「勇者辞めようが何しようが俺の範疇じゃねぇけどな」
「はい。ありがとうございます」
「ふふ、是明さまは、何だかんだと言いながら、しっかり助言するところ、私は好きでございます」
「エリザお前、きめぇよ」
「名前を呼んで罵倒されるなど恐悦至極。いますぐにでも昇天しそうでございます」
「そんで対価は?」
また沈黙かよ。
はぁっ?
勇者二人が土下座する。
「何している?」
「私をこき使ってください」
「いやいやダメだろそれ?」
「なぜです?」
「安易すぎだろ? 貸しな? いつか必ず返してもらう。できなければお前らの存在証明引き抜いて消えてもらう」
「是明さま。ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「是明さまは、やはりお優しゅうございますね」
「うるせぇよクソエリザ」
なんか流れでここまで言っちまったけどな。
ああ、まいったな。
ポコポコ助けた時と一緒じゃねぇか。
俺ってなんでこうなんだ。
思わず頭をがりがりとかく。
「それじゃ、お前らの存在証明あずかるぞ」
「お願いします」
「是零掌」
俺は引き抜き白紙の存在証明と入れ替える。
もう一人も同じだ。
「なんも変わらねぇだろ? 今は」
「はい。最初はびっくりしましたけど。何ともないです」
「私も驚きました」
「なぁ、一応聞かせてくれ。なんで辞めたいんだ? 止めるつもりはねぇけどな」
「はい私は……選ばれたのに、全く幸せじゃなかった」
なるほどな。
まあ、よくある話だろう。
選ばれたなりの苦労ってやつか。
「まあ気にすんな。俺はとめねぇよ。すでに証明書もあるからな」
「お願いします」
「1週間だ。多分な。
だから1週間後、ここにきてくれ。そうだな今と同じ時間な?」
「わかりました。何卒よろしくお願い申し上げます」
「なあ、言っておくが『貸し』って対価はたけぇぞ?」
「かまいません」
「肉奴隷にされてもか?」
「むしろ是明さま相手なら望むところです」
「はあ、その目やめてくれ……。ほら行った行った。解散」
珍しくこのままエリザも引き下がる。
なんだ? ねばるかと思ったぞ。
ニヤリとエリザは俺を見る。
「なんだぁ?」
「いえいえ、正式なアポイントがとれたと思いまして」
「はぁわかったよ。1週間後な」
「心待ちにしております」
どうして俺の周りには……。
まあ、今に始まったわけでもねぇ。
俺にも問題はあるな。
なんでか見捨てられない瞬間があるんだよな。
俺ってつくづく甘いって思うぜ。
まあ、それでも動くのが俺ってやつだ。
俺も応接室から出て、執務室にもどり腰掛ける。
「今は依頼はねぇ、と。そしたら深淵の女神の神殿へ行くか」
ああ、ちょっとめんどくせぇな。
やり始めちまった以上、やらねぇとな。
存在証明を深淵の女神に触れてもらって解除。
それで完了だ。
後はこれをもとに戻せば終わる。
こんな簡単なことだけど、セレスに会う可能性がでかい。
セレスか……。
まいったなぁ。
女神もひと癖二癖あるしよ。
気にしてもしゃーねぇー。
ルート確認すっか。
局内の転移である程度はいけるか。
あとは、適当に向かうとして。
是贋だな。
あれがねぇと存在証明バカ食いする技しかもっていねぇからな。
省エネするには是贋しかねぇ。
そろそろ修理終わっているか聞いてみっか。
俺は自室にもどり、ポコポコが占拠している部屋にむかった。
「パラッパー! パラッパー! トゥルルル!」
存子の魔導電話のコール音だ。
ほんとこれ、存子が口で言ってるんだよな。
これ外で鳴ったら俺、ガチで変な趣味のヤツだろ。頼むからやめてくれ。
「是明さまー! エリザでございます」
俺はそのまま切った。
ああ、なんで知ってんだ?ありえねぇだろ。
「パラッパー! パラッパー! トゥルルル!」
今度はなんだ?
『販売課』
ん? そんな課あったか?
――いや、ねぇよ。
「是明さまー! 切るなんてひどすぎますぅー」
偽装か? おいおい マジで偽装なのか?
「なんだよ?」
「お話していただけるのでございますね。拙者まるで天に上る気持ちで」
「マジなげぇーよ」
「申し訳ございません。今回は先に、お耳に入れておきたく存じまして」
「なんだ?」
「14区を侵攻している勇者の一部が、是明さまのところへ向かうと」
「なんでだよ」
「是明さまが一部の者の退職代行をされたとお聞きして、
勇者たちも是明さまに“辞めさせてもらえないか”と」
「勇者って、深淵の女神直属だろ? あいつら辞めるとか言ったらマジで雷落とされるぞ」
「そこで、対応して大きな貸しにしてみてはどうでしょう? メスの勇者は粒ぞろいでございます」
「いや、ちょっと待て。まさかお前か? この話振ったの?」
「いえ、振ってはおりません。私の情報網にかかったのを開示いたしました」
「マジか」
やべぇな、なんだエリザの情報能力。
ありえねぇぐらいの精度なんだが。
勇者どもがきて、俺になんのメリットがあるんだ?
対応したらしたで、かなりの貸しになりそうだな。
たしかセレスは、手伝いって名目で居座ってるよな。
俺またあの女に会うのか、うわーマジでめんどくせぇ。
◇
徴税局の応接室
「どうしてお前がここにいる?」
普通は厳重な身分確認が必要な場所だ。
徴税局の応接室になぜかエリザと勇者が二名。
しかもあの魔導通信からわずか一時間後という離れ業だ。
ってか。すでに向かっている途中でかけたんじゃねぇのかこいつ。
「是明さま、お目にかかれて光栄に存じます」
「ぜ、ぜ、ぜみゃう。是明さまっ!」
「是明さまっ!」
そんな目をキラキラさせないでくれよ。
あの時の1階の連中と同じ目をしてやがる。
「それで? 勇者辞めたらその力がなくなるぞ?」
「ええ、ゼロからやり直します」
「はい。私もです」
あろうがなかろうが俺は知らんがな。
「魔力すら残らねぇかもしれねぇよ?」
「それでも構いません」
「同じくです」
マジで言っているなら、頭お花畑どころかクソの海だぞ。
「わりぃ。余計なことだけどな。魔力なしでどうやって生きていくんだ?」
「身に着けた武術でやりくりします」
「私もです」
おいおい、冗談だろ?
……こいつら、ほんとに辞める気満々だな。
「なんで俺がここまで気にしているかっていうとな、俺がお前らを消滅させる時がくるんじゃねぇかって」
「どういうことですか?」
「納税だ」
「納税ですか?」
「ああ、そうだ。納税できないヤツは俺が消滅させている」
「それって死ぬってことですか?」
「あたりまえだろ? 俺の手で殺されないでくれよ? な」
「助けて殺すって、わけわかんねぇだろ?」
沈黙すんな。マジで。
「なあ、これ食ってみな」
「これは?」
「いいから食え。両方食ったら食レポな?」
「は、はい」
「こっこれは!」
「わっ! 何これ!」
こいつら適性あるかもな。
「すごく旨いです。どちらもうまいです」
「私もこんなおいしいお肉初めてです」
「なら、大丈夫かもな」
「え? 何がですか?」
「ああ、仮に魔力失っても、その肉食ってりゃ再生するかも、ってやつだ」
「そんなことが」
「嬉しいです」
「ちなみにな、そっちの肉は“天使銘柄”の魔獣。
こっちは“神銘柄”の同じく魔獣の高級肉な。俺たちには日常食」
「ゲッ! そんな高級肉を?」
「わわわ 討伐ポイントなんて0ですぅ」
戸惑いながらも、フォークは止まっていない。
まあ人によっちゃ禁断の味だからな。
マジでやべぇヤツはこれ食って狂う。
そのぐらいヤベェ。
「驚いてもその味、もう忘れられねぇだろ?」
「はい」
……こいつら、本気か。
「……よし。なら教えてやるよ。本気でやるならな」
「まずは肉をまるまる1か月、毎日食えるぐらい稼いでおけ」
「はい」
「次に、女神が勇者の証を消してから少しタイムラグがある。
その間に体を慣らせ。つまり戦え。
天使の堕天使団でも神族の外法神でも戦って、回収課に渡せ。ポイントもらえ」
「最後に完全に証が消えて1日たったら、毎日食え。天使でも神銘柄でもどっちでもいい」
「そんで1か月後、何かが変わったはずだ。うまくいきゃ肉食って能力が開花する」
「勇者辞めようが何しようが俺の範疇じゃねぇけどな」
「はい。ありがとうございます」
「ふふ、是明さまは、何だかんだと言いながら、しっかり助言するところ、私は好きでございます」
「エリザお前、きめぇよ」
「名前を呼んで罵倒されるなど恐悦至極。いますぐにでも昇天しそうでございます」
「そんで対価は?」
また沈黙かよ。
はぁっ?
勇者二人が土下座する。
「何している?」
「私をこき使ってください」
「いやいやダメだろそれ?」
「なぜです?」
「安易すぎだろ? 貸しな? いつか必ず返してもらう。できなければお前らの存在証明引き抜いて消えてもらう」
「是明さま。ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「是明さまは、やはりお優しゅうございますね」
「うるせぇよクソエリザ」
なんか流れでここまで言っちまったけどな。
ああ、まいったな。
ポコポコ助けた時と一緒じゃねぇか。
俺ってなんでこうなんだ。
思わず頭をがりがりとかく。
「それじゃ、お前らの存在証明あずかるぞ」
「お願いします」
「是零掌」
俺は引き抜き白紙の存在証明と入れ替える。
もう一人も同じだ。
「なんも変わらねぇだろ? 今は」
「はい。最初はびっくりしましたけど。何ともないです」
「私も驚きました」
「なぁ、一応聞かせてくれ。なんで辞めたいんだ? 止めるつもりはねぇけどな」
「はい私は……選ばれたのに、全く幸せじゃなかった」
なるほどな。
まあ、よくある話だろう。
選ばれたなりの苦労ってやつか。
「まあ気にすんな。俺はとめねぇよ。すでに証明書もあるからな」
「お願いします」
「1週間だ。多分な。
だから1週間後、ここにきてくれ。そうだな今と同じ時間な?」
「わかりました。何卒よろしくお願い申し上げます」
「なあ、言っておくが『貸し』って対価はたけぇぞ?」
「かまいません」
「肉奴隷にされてもか?」
「むしろ是明さま相手なら望むところです」
「はあ、その目やめてくれ……。ほら行った行った。解散」
珍しくこのままエリザも引き下がる。
なんだ? ねばるかと思ったぞ。
ニヤリとエリザは俺を見る。
「なんだぁ?」
「いえいえ、正式なアポイントがとれたと思いまして」
「はぁわかったよ。1週間後な」
「心待ちにしております」
どうして俺の周りには……。
まあ、今に始まったわけでもねぇ。
俺にも問題はあるな。
なんでか見捨てられない瞬間があるんだよな。
俺ってつくづく甘いって思うぜ。
まあ、それでも動くのが俺ってやつだ。
俺も応接室から出て、執務室にもどり腰掛ける。
「今は依頼はねぇ、と。そしたら深淵の女神の神殿へ行くか」
ああ、ちょっとめんどくせぇな。
やり始めちまった以上、やらねぇとな。
存在証明を深淵の女神に触れてもらって解除。
それで完了だ。
後はこれをもとに戻せば終わる。
こんな簡単なことだけど、セレスに会う可能性がでかい。
セレスか……。
まいったなぁ。
女神もひと癖二癖あるしよ。
気にしてもしゃーねぇー。
ルート確認すっか。
局内の転移である程度はいけるか。
あとは、適当に向かうとして。
是贋だな。
あれがねぇと存在証明バカ食いする技しかもっていねぇからな。
省エネするには是贋しかねぇ。
そろそろ修理終わっているか聞いてみっか。
俺は自室にもどり、ポコポコが占拠している部屋にむかった。
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