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第24話
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「よぉ、アレ直ったか?」
「もう直ってるんだよバーカ」
「そっか、助かる」
ポコポコから『是贋』を受け取る。
ん? いつまでニヤニヤしてるんだ?
「すぐ調子悪くするしぃ。ヘタクソめ」
「まあ事実だな」
構ってほしいのか、コイツは。
「ねえ是明、あんた魔導具に好かれてない自覚ある?
ねぇ? ある?」
「まぁ、感情があればそうだろうな」
装着した感じ悪くねぇな。
さすが腕前だけはばっちりだな。
「ねぇ? お礼とかないの?」
服の裾をひっぱってくる。
クイクイッと何度もだ。
「何がいいんだ?」
「すごいヤツ」
「すごいってなんだよ」
「えっと……胸がぎゅんってなるヤツ!」
ん~。すごくて、胸がぎゅんといったら、アレしかねぇな。
「結婚とかか?」
「ぶへっ! あわわわわ。そそそれ」
「んじゃしばらく出るな。深淵の女神の神殿にいってくらぁ」
ん? また口パクパクして見上げてるな。
変わらず、ひな鳥か?お前は。
ホレっ。
苦チョコを口に放り込んでやる。
純度100だ。ガツンとくるごっついぜ?
「ギャー!」
俺の背後で叫びが聞こえるが気にしない。
部屋を出て執務室を覗くと在香がいた。
何やらファイルに目を落としている。
まぁがんばれや。
「よぉ、深淵の女神の神殿に行ってくる」
「なにそれ、私もいくわ」
「いや、今回は無理だ」
「なんでよ? 相棒でしょ?」
「それがな、女神の刻印を持ってないヤツは死ぬ」
あそこは“女神の視界”が直で届く。
刻印なしじゃ存在が焼かれる。
「え?」
「そういう場所だ」
「というより、あんたがなんで持ってんの?」
「ああ、割と簡単に得た」
「え?」
「知らねぇけど、面白いらしい」
「はぁ、その女神言いたいことすごくわかるわ。私は脱税してる神たちの調査するから、行ってらっしゃい」
「ああ、行ってく――なあ。そういや、腹決めたような顔つきしてたけど、どうしたんだ?」
「シンプルよ?」
「なんだぁ?」
「これだけのトラブル、あなたについてく覚悟決めなきゃってね」
「いつもの事だろ?」
「あなたと、なら切り抜けられるって思ったの!」
「俺とならか――」
「え?」
「お前を守るぜ。心配すんな大丈夫だ」
なんだ?
在香も耳赤くして、ポコポコと同じくひな鳥か?
なんだ、その目……。強気なくせに、こういう時だけ素直になんだよ。
しょうがねぇ奴らだな。
ホレっ。
おっ、うまく入った。
「ギャー」
あれ超にげぇからな。
でもな、癖になるんだよ。
俺はそのまま部屋を後にした。
◇
徴税局の転移魔法陣の一角。
ここで、飛ぶ場所を選ぶわけだが、固定もあれば日替わりもある。
でもよぉ。多すぎやしねぇか。
30以上あるぜ。
毎日変わるやつまであるとか嫌がらせだろこれ。
どれがどこ行きか覚える気にもならん。
あったあったあの紫が基点だ。
紫からイカルダ橋へ飛ぶ。
紫色の粒子に包まれ視界が真っ白になった。
「ここに来るのも久しいな」
巨大な陸橋がそびえたつ。
こんなの何に使うんだよ、と思わずにはいられないほどでかい。
まあ、実用といっちゃ観光と橋の上で暮らすヤツがいるぐらいか。
さて次へ行くか。
ここに来ると、なんか胸がザワつくんだよな。
……まあ、感傷に浸ってる場合じゃねぇ。次だ。
今度は、イカルダ橋からの天空の断頭台だ。
着地したすぐ真横に転移魔法陣が設置されているから移動は楽だ。
「おや? 是明さま移動中ですか?」
珍しいタイミングであらわれたな。
魔導パネルから点と棒線で表情を作る。
「ああ、深淵の女神の神殿に向かってる」
「あのクソ女たぶんいますよ? 今頃探知して、ワクテカしてるんじゃないですか?」
「まあ、拉致られないように気をつけるさ」
「子種とられますよ?」
「ああ、それも含めて警戒だけはな」
おおーこれは変わらずすげぇな。
雲の上に近い。
見渡す限り雲だ。たまに切れ目から下が見える。
なぜか浮いている島なんだよな。
一度探索したいが、広すぎるのと準備不足で未だ足を奥まで踏み入れていない。
なんつーか。わくわくすんだよなここ。お宝も結構出るし。
探索者もウヨウヨいやがる。お宝探ししてぇよなあ。
まあ、今回は我慢して次だ。
ここも隣に隣接してあるから、すぐに移動できる。
今度は銀色の粒子に包まれて、転移だ。
天空の断頭台から中継を抜け、深淵の教会へ。
そこから女神の神殿に入る。
ここに足を踏み入れた瞬間、空気が肌を焼くみてぇな痛みになる。
刻印なしの奴なら、一呼吸で死ぬ。
……まあ、俺は慣れたけどよ。
ここまでくれば後少し。
だがな、なんで黒いんだ教会が。
まあ、ここがヤバイ。
女神の刻印がない時点で、ここについた途端苦しみだすからな。
死ぬ手前まで行く場所だ。
マジでやべぇ。
どんなに急いでも、ほぼ死ぬ。
だから連れてけねぇんだよな。刻印ないヤツは。
さて、少し移動した先に転移魔法陣がある。
おっと久しぶりに金色の粒子だ。
このまま女神神殿に飛ぶ。
深淵の教会から深淵の女神神殿へ着いた。
ああ、きちまったというか。
間違いなく、女神もセレスも検知しているな。
あー……帰りてぇ。マジで帰りてぇ。
それにしたってここ本当に同じ大陸か?
周りは白一色だろ?
それに目の前の神殿はほぼ白に近い薄紫色。
めちゃくちゃでかいし。
空は一応青いか。雲も流れている。
「是明さま、来ちゃいましたね」
「ああ、来ちまった」
なんとなく存子がため息な感じだ。
俺は仕方なく向かう。
が――
すんなり通してくれるわけねぇか。
ご丁寧に一本道になっているが、その両脇に黒いメイドたちが立ち並ぶ。
こいつら、人型の魔導ゴーレムだ。
どうするかって。
こうするにきまってんだろ?
「是贋」
「ソラァ! ソラソラソラソラァアア!」
肩口から腰まで一息で裂ける。
声も上げねぇ。訓練された人型ゴーレムだ。
問答無用に切り伏せていく。
こいつらは存在証明抜いても意味がねぇ。
行動不能にすればいいだけだ。
順番に襲ってくるあたりは、連続切りの体力勝負の訓練と同じだ。
当然、俺が脇道にそれることはできない。
物理的にできなくなっている。
まあ、ここはそういうものだと思って対処するのが最善だ。
めんどうすぎるので、本気でさばく。
一瞬で数体切り伏せる。
俺の後ろには切り刻まれた者が倒れている。
時間にして数十分。
出入口までついたころの背後は屍の山だ。
まぁ誰かがあとで片付けんだろう。
3メートルはある黒い両開きの重い扉を押し開いた。
ギィーイ
金属の蝶番のこすれる音が鳴り響く。
開けた先はホールだ。
調度品も高級感がただよう。
気品ある貴族の屋敷と言われれば信じられるほどの光景だ。
神殿とはいいつつ、中身は貴族の邸宅のようになっている。
そしてやはりというか。
「お帰りなさい。是明。待っていたわ」
――セレス。
「女神に用事だ」
「そう。ここでしたらまた“あの頃みたいに”一日中でも愛し合えますわよ」
変わらず妖艶だ。
肌に吸いつくみてぇなベージュのドレスで、歩くたび香りが揺れる。
「今はいい」
「あらあら、私をみてテント張っている人のセリフかしら」
何!
またか。
こいつとの空気に触れると途端にこれだ。
「用事が先だな」
白い手が俺のほほを撫でる。
潤んだ目で見つめてきやがる。
なんて奴だ。
「そうなのね。心は用事で体は私に向いているわ」
「心の余裕がねぇだけだよ」
「本当に? 私のこと欲しいんでしょ? 知っているわ」
これはこいつの常套手段だ。
あぶねぇあぶねぇ。
心を空になんてできねぇ。
できるのは次を楽しむことだ。
だから――
「先行くぜ」
「あらあら。待っているわ」
「さあな」
何か唱える必要もねぇ。
心を無にすることもねぇ。
今大事なのは、この瞬間を楽しむ(殺し合う)だけだ。
こいよ。
存在証明抜いてやるぜ。
こんな場所でも、やることは変わらねぇ。
俺は次の扉を開けた。
「もう直ってるんだよバーカ」
「そっか、助かる」
ポコポコから『是贋』を受け取る。
ん? いつまでニヤニヤしてるんだ?
「すぐ調子悪くするしぃ。ヘタクソめ」
「まあ事実だな」
構ってほしいのか、コイツは。
「ねえ是明、あんた魔導具に好かれてない自覚ある?
ねぇ? ある?」
「まぁ、感情があればそうだろうな」
装着した感じ悪くねぇな。
さすが腕前だけはばっちりだな。
「ねぇ? お礼とかないの?」
服の裾をひっぱってくる。
クイクイッと何度もだ。
「何がいいんだ?」
「すごいヤツ」
「すごいってなんだよ」
「えっと……胸がぎゅんってなるヤツ!」
ん~。すごくて、胸がぎゅんといったら、アレしかねぇな。
「結婚とかか?」
「ぶへっ! あわわわわ。そそそれ」
「んじゃしばらく出るな。深淵の女神の神殿にいってくらぁ」
ん? また口パクパクして見上げてるな。
変わらず、ひな鳥か?お前は。
ホレっ。
苦チョコを口に放り込んでやる。
純度100だ。ガツンとくるごっついぜ?
「ギャー!」
俺の背後で叫びが聞こえるが気にしない。
部屋を出て執務室を覗くと在香がいた。
何やらファイルに目を落としている。
まぁがんばれや。
「よぉ、深淵の女神の神殿に行ってくる」
「なにそれ、私もいくわ」
「いや、今回は無理だ」
「なんでよ? 相棒でしょ?」
「それがな、女神の刻印を持ってないヤツは死ぬ」
あそこは“女神の視界”が直で届く。
刻印なしじゃ存在が焼かれる。
「え?」
「そういう場所だ」
「というより、あんたがなんで持ってんの?」
「ああ、割と簡単に得た」
「え?」
「知らねぇけど、面白いらしい」
「はぁ、その女神言いたいことすごくわかるわ。私は脱税してる神たちの調査するから、行ってらっしゃい」
「ああ、行ってく――なあ。そういや、腹決めたような顔つきしてたけど、どうしたんだ?」
「シンプルよ?」
「なんだぁ?」
「これだけのトラブル、あなたについてく覚悟決めなきゃってね」
「いつもの事だろ?」
「あなたと、なら切り抜けられるって思ったの!」
「俺とならか――」
「え?」
「お前を守るぜ。心配すんな大丈夫だ」
なんだ?
在香も耳赤くして、ポコポコと同じくひな鳥か?
なんだ、その目……。強気なくせに、こういう時だけ素直になんだよ。
しょうがねぇ奴らだな。
ホレっ。
おっ、うまく入った。
「ギャー」
あれ超にげぇからな。
でもな、癖になるんだよ。
俺はそのまま部屋を後にした。
◇
徴税局の転移魔法陣の一角。
ここで、飛ぶ場所を選ぶわけだが、固定もあれば日替わりもある。
でもよぉ。多すぎやしねぇか。
30以上あるぜ。
毎日変わるやつまであるとか嫌がらせだろこれ。
どれがどこ行きか覚える気にもならん。
あったあったあの紫が基点だ。
紫からイカルダ橋へ飛ぶ。
紫色の粒子に包まれ視界が真っ白になった。
「ここに来るのも久しいな」
巨大な陸橋がそびえたつ。
こんなの何に使うんだよ、と思わずにはいられないほどでかい。
まあ、実用といっちゃ観光と橋の上で暮らすヤツがいるぐらいか。
さて次へ行くか。
ここに来ると、なんか胸がザワつくんだよな。
……まあ、感傷に浸ってる場合じゃねぇ。次だ。
今度は、イカルダ橋からの天空の断頭台だ。
着地したすぐ真横に転移魔法陣が設置されているから移動は楽だ。
「おや? 是明さま移動中ですか?」
珍しいタイミングであらわれたな。
魔導パネルから点と棒線で表情を作る。
「ああ、深淵の女神の神殿に向かってる」
「あのクソ女たぶんいますよ? 今頃探知して、ワクテカしてるんじゃないですか?」
「まあ、拉致られないように気をつけるさ」
「子種とられますよ?」
「ああ、それも含めて警戒だけはな」
おおーこれは変わらずすげぇな。
雲の上に近い。
見渡す限り雲だ。たまに切れ目から下が見える。
なぜか浮いている島なんだよな。
一度探索したいが、広すぎるのと準備不足で未だ足を奥まで踏み入れていない。
なんつーか。わくわくすんだよなここ。お宝も結構出るし。
探索者もウヨウヨいやがる。お宝探ししてぇよなあ。
まあ、今回は我慢して次だ。
ここも隣に隣接してあるから、すぐに移動できる。
今度は銀色の粒子に包まれて、転移だ。
天空の断頭台から中継を抜け、深淵の教会へ。
そこから女神の神殿に入る。
ここに足を踏み入れた瞬間、空気が肌を焼くみてぇな痛みになる。
刻印なしの奴なら、一呼吸で死ぬ。
……まあ、俺は慣れたけどよ。
ここまでくれば後少し。
だがな、なんで黒いんだ教会が。
まあ、ここがヤバイ。
女神の刻印がない時点で、ここについた途端苦しみだすからな。
死ぬ手前まで行く場所だ。
マジでやべぇ。
どんなに急いでも、ほぼ死ぬ。
だから連れてけねぇんだよな。刻印ないヤツは。
さて、少し移動した先に転移魔法陣がある。
おっと久しぶりに金色の粒子だ。
このまま女神神殿に飛ぶ。
深淵の教会から深淵の女神神殿へ着いた。
ああ、きちまったというか。
間違いなく、女神もセレスも検知しているな。
あー……帰りてぇ。マジで帰りてぇ。
それにしたってここ本当に同じ大陸か?
周りは白一色だろ?
それに目の前の神殿はほぼ白に近い薄紫色。
めちゃくちゃでかいし。
空は一応青いか。雲も流れている。
「是明さま、来ちゃいましたね」
「ああ、来ちまった」
なんとなく存子がため息な感じだ。
俺は仕方なく向かう。
が――
すんなり通してくれるわけねぇか。
ご丁寧に一本道になっているが、その両脇に黒いメイドたちが立ち並ぶ。
こいつら、人型の魔導ゴーレムだ。
どうするかって。
こうするにきまってんだろ?
「是贋」
「ソラァ! ソラソラソラソラァアア!」
肩口から腰まで一息で裂ける。
声も上げねぇ。訓練された人型ゴーレムだ。
問答無用に切り伏せていく。
こいつらは存在証明抜いても意味がねぇ。
行動不能にすればいいだけだ。
順番に襲ってくるあたりは、連続切りの体力勝負の訓練と同じだ。
当然、俺が脇道にそれることはできない。
物理的にできなくなっている。
まあ、ここはそういうものだと思って対処するのが最善だ。
めんどうすぎるので、本気でさばく。
一瞬で数体切り伏せる。
俺の後ろには切り刻まれた者が倒れている。
時間にして数十分。
出入口までついたころの背後は屍の山だ。
まぁ誰かがあとで片付けんだろう。
3メートルはある黒い両開きの重い扉を押し開いた。
ギィーイ
金属の蝶番のこすれる音が鳴り響く。
開けた先はホールだ。
調度品も高級感がただよう。
気品ある貴族の屋敷と言われれば信じられるほどの光景だ。
神殿とはいいつつ、中身は貴族の邸宅のようになっている。
そしてやはりというか。
「お帰りなさい。是明。待っていたわ」
――セレス。
「女神に用事だ」
「そう。ここでしたらまた“あの頃みたいに”一日中でも愛し合えますわよ」
変わらず妖艶だ。
肌に吸いつくみてぇなベージュのドレスで、歩くたび香りが揺れる。
「今はいい」
「あらあら、私をみてテント張っている人のセリフかしら」
何!
またか。
こいつとの空気に触れると途端にこれだ。
「用事が先だな」
白い手が俺のほほを撫でる。
潤んだ目で見つめてきやがる。
なんて奴だ。
「そうなのね。心は用事で体は私に向いているわ」
「心の余裕がねぇだけだよ」
「本当に? 私のこと欲しいんでしょ? 知っているわ」
これはこいつの常套手段だ。
あぶねぇあぶねぇ。
心を空になんてできねぇ。
できるのは次を楽しむことだ。
だから――
「先行くぜ」
「あらあら。待っているわ」
「さあな」
何か唱える必要もねぇ。
心を無にすることもねぇ。
今大事なのは、この瞬間を楽しむ(殺し合う)だけだ。
こいよ。
存在証明抜いてやるぜ。
こんな場所でも、やることは変わらねぇ。
俺は次の扉を開けた。
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