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10話
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「なんだ? 何がおきた?」
地鳴りともいえる音。
破砕音
そして、俺の部屋の扉。
ドッカーン!
破壊され入ってきたのは、3メートル近い背丈。
人型で筋骨隆々。
鋭い牙が並ぶ口。
それ以外は何もない顔。
魔獣というと安く感じる。
目の前のヤツは正真正銘の――
化け者だ。
早いッ。
いきなり突っ込んできやがった。
とっさによける。
ベッドを破壊し、床も破壊し落ちた。
ヤバすぎるだろ。
今のうちにと部屋を飛び出した。
そう簡単に逃げれるとは思わない。
が――
廊下を下から突き破り現れた。
ちっとは、逃げさせろよ。
部屋を出てまだ数歩しか歩いていないぜ。
デタラメすぎる。
こんな奴どうやって勝つんだ?
俺は走った。
奴は破壊しながら走り、通った廊下はもう「道」じゃなかった。
早くて雑で、力任せ。
とっさに突き当りを左に曲がり走り抜ける。
だが、奴は違った。
壁をぶち破りながら、俺に迫る。
おいおい! マジかよ!
振り返ると何やらきらびやかな光を見た。
あそこは確か、宝物倉庫。
何か特別な武器があるのか?
さらに一回りして、先の場所にもどる。
一角だけ厳重そうに囲う場所。
そこでは、髑髏にむき出しの短剣が突き刺さる。
真っ黒で黒い粒子が微量にあるってヤバくないか?
まともな武器は、見当たらなかった。
えり好みしている場合じゃねぇな。
借りるぜ。
握った瞬間。
イテッ!
強く電撃が走る。
さらに手が痺れ、心拍が一瞬ズレる。
体の奥から何か吸われた気がする。
この体験が何秒だったのか、わからない。
今は握りしめたまま、近づく気配を避けて逃走中だ。
また背後に追いつかれた。
こいつはどんな感覚を持っているんだ。
デタラメに角を曲がり続けた先は、行き止まりだった。
――しまった。
でも、行くしかねぇ。
扉を開けたさきは壁に穴があった。
人が四つん這いで通れるぐらいの大きさだ。
俺は急ぎ入ると城の壁面だとわかる。さほど高くない。
落ちてもなんとかなるぐらいの高さだ。
壁面に水平に刺さる鉄の棒が1本ある。
こいつは、イケるか。
案の定、奴は嗅ぎつけると四角い穴に首を突っ込んできた。
破壊はできないものの首より上がでた。
鉄の棒から降下し短剣で首を切り落とす。
断頭だ。
切れ味が鋭く、簡単に落とせてしまう。
俺もそのまま落下しなんとか着地。
【おめでとうございます! 襲撃者1体目を撃破しました。
10,000ポイントを獲得しました。続けて二体目がまいります】
はぁ、マジか。
まぁ予告はありがてぇ。
でもな……
「……1万ポイント」
「割に合わねぇ」
俺は次の襲撃者に備えて、身を隠す。
◇
俺はどこだかわからない掘っ立て小屋の中に潜んでいた。
今回のことで言えるのは、ポイントは「報酬」じゃねぇ。
アイツら神の連中らは、“映える壊れ方”だけを見ていやがる。
勝利も生存も善悪もどれも関心なんぞない。
そう、完全にリアルドキュメンタリーだよな。
もう“映える”これだけだろうよ。
そうなると、この強襲イベントは――
「稼がせるため」ではなく
「壊れ具合を見るため」
それをみてギャーギャーいって、笑ってやがるんだな。
クソがぁ。
あっ、そういやこの短剣、君が悪ぃな。
鞘がねぇのに腰まわりに張り付きやがる。
なんでだ。
それよか、今カード1枚か。
「……引けるよな」
「でも、今じゃねぇ気もする」
こういう時ってホント悩む。
本当にどうしても必要な時に必要な分が正解だとすると――
次の襲撃者で1枚は使うな。
となると1枚だけ予備であった方がいいだろう。
まだこの追放ポイントのこと自体わかっていねぇし。
俺は立方体を呼び出し、宙に浮いた状態で手のひらを当てる。
その瞬間、カードが張り付いた感じがした。
《追放保留》(弱上)
「……また弱か」
でも、弱いからって、
何も起きないわけじゃない。
……保留ってのは、逃げじゃねぇ。先延ばしだ。
ただ……保留か。
意味は、わかる。
でも、何をどこまで保留するのかは、書いてない。
まだ、誰もこねぇな。
だめだ、瞼が落ちる。
俺が抵抗する間もなく視界が暗転した。
◇
「ヤベッ! 今起きた」
すっかり眠っちまった。
外は暗い恐らくは深夜だろう。
襲われなかったのは運がいい。
神の連中らは、俺の位置を把握できていないのか?
もしそうなら、外に出た瞬間すぐに強襲されるな。
とは言え、このまま籠城しているわけにもいかない。
一旦この場を離れる。
静かすぎるくらい静かだ。
どこかに行くにせよ、戻れる場所はあの掘っ立て小屋しかない。
元居た部屋までたどる。
次第に視線を向けられている感覚が強くなる。
なんだ?
殺気とも違う、じっくりと見られている。
そんな感覚だ。
それに呼応するように短剣もまた、変化がある。
熱い? だと?
明らかに熱を持つ。
持てないほどではないが、暖かい。
この時ゾワッとした。
振り返るといた。
いつ?
なんでだ?
俺に短剣を突き刺そうと迫る。
腕一本分の距離。
来るッ!
《誤認ラベル》(弱)を切った。
……一瞬、空気が変わった。
さっきまで、確実に俺を狙っていた。
殺す気満々で、刺突寸前だった。
なのに――
目が、合わない。
いや、正確には。
俺のいる位置を、見ていない。
すぐ目の前に立っているのに、
俺が“そこにいない”みたいな顔をしている。
――処理、終わった後みたいだ。
これがどのぐらい続くかわからない。
胸が嫌な音を立てる。
――戻る。
戻る前に、決めろ。
横一文字に敵の首を短剣で薙ぐ。
が――
切り切ったところで襲撃者の目が、カチッと戻った。
頭が先に床に転がり、次いで体がうつ伏せに倒れた。
【おめでとうございます! 襲撃者2体目を撃破しました。
10,000ポイントを獲得しました。これで突発襲撃イベントが終わりました。
ご参加ありがとうございました】
ご丁寧に終わりを告げるアナウンスが脳裏に響いた。
やっとおわったか。
手持ち61,000ポイント
残りカード1枚
勝ったんじゃない。
世界が、一瞬ズレただけだ。
朝焼けが俺とこの襲撃者の遺体を照らす。
俺がぼんやりしていると駆けてくる音が近づく。
正面からきたのは、あの女神官だ。
「なんてことをしてくれたのですか?」
「俺は追われて逃げた。それだけだ」
「それでも城が壊れた。汚れた。それは事実です」
「おいおい、それをしたのはコイツらだろ?」
「あなたが“ここにいた”こと自体が、要因です」
「……は?」
「問答は終わりです。これから処置に入ります」
かなりの剣幕でまくしたて、俺に鋭い視線を向けてきた。
――《追放保留》。
頭の片隅で、その名前が浮かぶ。
使えば、たぶん助かる。
でも、それが何を保留するのかは分からない。
……まだだ。
今じゃない。
地鳴りともいえる音。
破砕音
そして、俺の部屋の扉。
ドッカーン!
破壊され入ってきたのは、3メートル近い背丈。
人型で筋骨隆々。
鋭い牙が並ぶ口。
それ以外は何もない顔。
魔獣というと安く感じる。
目の前のヤツは正真正銘の――
化け者だ。
早いッ。
いきなり突っ込んできやがった。
とっさによける。
ベッドを破壊し、床も破壊し落ちた。
ヤバすぎるだろ。
今のうちにと部屋を飛び出した。
そう簡単に逃げれるとは思わない。
が――
廊下を下から突き破り現れた。
ちっとは、逃げさせろよ。
部屋を出てまだ数歩しか歩いていないぜ。
デタラメすぎる。
こんな奴どうやって勝つんだ?
俺は走った。
奴は破壊しながら走り、通った廊下はもう「道」じゃなかった。
早くて雑で、力任せ。
とっさに突き当りを左に曲がり走り抜ける。
だが、奴は違った。
壁をぶち破りながら、俺に迫る。
おいおい! マジかよ!
振り返ると何やらきらびやかな光を見た。
あそこは確か、宝物倉庫。
何か特別な武器があるのか?
さらに一回りして、先の場所にもどる。
一角だけ厳重そうに囲う場所。
そこでは、髑髏にむき出しの短剣が突き刺さる。
真っ黒で黒い粒子が微量にあるってヤバくないか?
まともな武器は、見当たらなかった。
えり好みしている場合じゃねぇな。
借りるぜ。
握った瞬間。
イテッ!
強く電撃が走る。
さらに手が痺れ、心拍が一瞬ズレる。
体の奥から何か吸われた気がする。
この体験が何秒だったのか、わからない。
今は握りしめたまま、近づく気配を避けて逃走中だ。
また背後に追いつかれた。
こいつはどんな感覚を持っているんだ。
デタラメに角を曲がり続けた先は、行き止まりだった。
――しまった。
でも、行くしかねぇ。
扉を開けたさきは壁に穴があった。
人が四つん這いで通れるぐらいの大きさだ。
俺は急ぎ入ると城の壁面だとわかる。さほど高くない。
落ちてもなんとかなるぐらいの高さだ。
壁面に水平に刺さる鉄の棒が1本ある。
こいつは、イケるか。
案の定、奴は嗅ぎつけると四角い穴に首を突っ込んできた。
破壊はできないものの首より上がでた。
鉄の棒から降下し短剣で首を切り落とす。
断頭だ。
切れ味が鋭く、簡単に落とせてしまう。
俺もそのまま落下しなんとか着地。
【おめでとうございます! 襲撃者1体目を撃破しました。
10,000ポイントを獲得しました。続けて二体目がまいります】
はぁ、マジか。
まぁ予告はありがてぇ。
でもな……
「……1万ポイント」
「割に合わねぇ」
俺は次の襲撃者に備えて、身を隠す。
◇
俺はどこだかわからない掘っ立て小屋の中に潜んでいた。
今回のことで言えるのは、ポイントは「報酬」じゃねぇ。
アイツら神の連中らは、“映える壊れ方”だけを見ていやがる。
勝利も生存も善悪もどれも関心なんぞない。
そう、完全にリアルドキュメンタリーだよな。
もう“映える”これだけだろうよ。
そうなると、この強襲イベントは――
「稼がせるため」ではなく
「壊れ具合を見るため」
それをみてギャーギャーいって、笑ってやがるんだな。
クソがぁ。
あっ、そういやこの短剣、君が悪ぃな。
鞘がねぇのに腰まわりに張り付きやがる。
なんでだ。
それよか、今カード1枚か。
「……引けるよな」
「でも、今じゃねぇ気もする」
こういう時ってホント悩む。
本当にどうしても必要な時に必要な分が正解だとすると――
次の襲撃者で1枚は使うな。
となると1枚だけ予備であった方がいいだろう。
まだこの追放ポイントのこと自体わかっていねぇし。
俺は立方体を呼び出し、宙に浮いた状態で手のひらを当てる。
その瞬間、カードが張り付いた感じがした。
《追放保留》(弱上)
「……また弱か」
でも、弱いからって、
何も起きないわけじゃない。
……保留ってのは、逃げじゃねぇ。先延ばしだ。
ただ……保留か。
意味は、わかる。
でも、何をどこまで保留するのかは、書いてない。
まだ、誰もこねぇな。
だめだ、瞼が落ちる。
俺が抵抗する間もなく視界が暗転した。
◇
「ヤベッ! 今起きた」
すっかり眠っちまった。
外は暗い恐らくは深夜だろう。
襲われなかったのは運がいい。
神の連中らは、俺の位置を把握できていないのか?
もしそうなら、外に出た瞬間すぐに強襲されるな。
とは言え、このまま籠城しているわけにもいかない。
一旦この場を離れる。
静かすぎるくらい静かだ。
どこかに行くにせよ、戻れる場所はあの掘っ立て小屋しかない。
元居た部屋までたどる。
次第に視線を向けられている感覚が強くなる。
なんだ?
殺気とも違う、じっくりと見られている。
そんな感覚だ。
それに呼応するように短剣もまた、変化がある。
熱い? だと?
明らかに熱を持つ。
持てないほどではないが、暖かい。
この時ゾワッとした。
振り返るといた。
いつ?
なんでだ?
俺に短剣を突き刺そうと迫る。
腕一本分の距離。
来るッ!
《誤認ラベル》(弱)を切った。
……一瞬、空気が変わった。
さっきまで、確実に俺を狙っていた。
殺す気満々で、刺突寸前だった。
なのに――
目が、合わない。
いや、正確には。
俺のいる位置を、見ていない。
すぐ目の前に立っているのに、
俺が“そこにいない”みたいな顔をしている。
――処理、終わった後みたいだ。
これがどのぐらい続くかわからない。
胸が嫌な音を立てる。
――戻る。
戻る前に、決めろ。
横一文字に敵の首を短剣で薙ぐ。
が――
切り切ったところで襲撃者の目が、カチッと戻った。
頭が先に床に転がり、次いで体がうつ伏せに倒れた。
【おめでとうございます! 襲撃者2体目を撃破しました。
10,000ポイントを獲得しました。これで突発襲撃イベントが終わりました。
ご参加ありがとうございました】
ご丁寧に終わりを告げるアナウンスが脳裏に響いた。
やっとおわったか。
手持ち61,000ポイント
残りカード1枚
勝ったんじゃない。
世界が、一瞬ズレただけだ。
朝焼けが俺とこの襲撃者の遺体を照らす。
俺がぼんやりしていると駆けてくる音が近づく。
正面からきたのは、あの女神官だ。
「なんてことをしてくれたのですか?」
「俺は追われて逃げた。それだけだ」
「それでも城が壊れた。汚れた。それは事実です」
「おいおい、それをしたのはコイツらだろ?」
「あなたが“ここにいた”こと自体が、要因です」
「……は?」
「問答は終わりです。これから処置に入ります」
かなりの剣幕でまくしたて、俺に鋭い視線を向けてきた。
――《追放保留》。
頭の片隅で、その名前が浮かぶ。
使えば、たぶん助かる。
でも、それが何を保留するのかは分からない。
……まだだ。
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