追放ガチャ 只今、神界配信中! ~神々の賭けで弾かれ続ける俺は、追放ポイントで世界をぶっ壊す~

雪ノ瞬キ

文字の大きさ
16 / 36

16話

しおりを挟む
「なあ、奇跡が“当たり前”になると、生活が壊れるって知ってるか?」

 ああ、俺は過去の俺に言いたい。

 つい、さっきの事だ。

 ……。

「なんだ? 何が起きた?」
 
 ガチャで出た「???弾倉」「∞?」が滲みだす。
 これって反応してんのか?

 急にカードが宙に浮いた。

「おっ!」

「えっ!」

 俺もミレーヌも空いた口のまま硬直していた。

 条件不明のまま、カードが勝手に浮かび縦に回転。
 
「ちょっ。待てよ! おい!」

 俺は「使う」と決めていない。

 なのに

「クロ―、ログが! あなたが使ったことにしてる!」

「マジで! 大マジか?」

 神システムが「使ったことにする」暴挙に出た。

「なんだ動けねぇ」

 立った状態で手足は硬直。
 一応息はでき、顔は動かせる。

「ヤベ! ミレーヌ来るな!」

 近づくミレーヌを止める。
 今とっさに言えたのはこれだけだ。

 後は思考が乗っ取られたみたいに右腕の動きに固定しやがった。
 なんなんだコイツは。
 勝手に右手の骨格が“再配置”される。
 指が折れて回転。
 肘から先が“内部構造を持つ金属”に変わる。

 血は出ないが感覚がある。
 骨を直接、叩かれているみたいな痛みだ。
 
「痛ってぇー!」
 
 クソっ、逃げられない。
 カッコよくも、美しくもない。
 ただ無骨な黒い金属の棒で塊。

 それはどう見ても――

 銃身だ。

 ミレーヌの目がほそまり眉間に皺を寄せる。
 
「……武器じゃない」
「“器官”になってる」

 目の前に大きく唐突に現れ点滅する。
 
【緊急討伐イベント発生! ただちに白の巨漢を倒せ!】




 大きな地震か?
 いや、地鳴りだ。

 しかも巨大な何かが近づいてくる。
 職人部屋から外をながめると城壁の高さほどの白い巨人が向かってくる。
 目鼻がなく口しかない。

 ズガーン!

 アレはバリスタからの槍だ。
 背後から胸部を貫く。

 おっ! やりやがった。
 ――が
 違った。
 再生しやがった。

 おいおいデタラメすぎんだろ。

「ミレーヌあれ知ってるか?」

「先兵ドゥンケン。戦争の時につかわれる奴等よ」

「おいおい、何おっぱじめる気だよ」

「十中八九、あなたでしょうね」

「おいおい……そんな大きなファン、歓迎するなら100年後だよ」

「そうね。あなた神々からモテモテよ?」

 どうやっても切り抜けるイメージがわかねぇ。
 幸い、奴は俺たちの位置をつかんでいねぇ。

 ゴゴゴゴゴォォォ!

 何だ今度は?
 谷底から何か吸い込まれるような音がこの腕から響く。

 こちらに目を向けた。
 ヤベッ
 今ので気が付かれた。

「ミレーヌ、出るぞ」
 
「魔法は使えないわ」

「マジ?」

「今は制約がかかっている。多分この緊急イベントね」

「ってことは。ミレーヌお前だけでも逃げろ!」
 
「何ばか言ってんの?」

「少しはかっこつけさせろー」
 
「来たっ!」

 ドガッガーン!

 軽く払いのけるようにして屋根をはじく。

「チッ……待て」
 
 俺は、引き金を引こうとして――止まった。

 胸の奥で、確信がある。
 “行ける”じゃない。
 “撃たされる”。

 嫌な予感が、背骨をなぞった。

「……やめろ!」

 俺の意思より先に、
 右腕が“固定”された。

 ズドーン!

 至近距離から放つ。
 何を放ったのかわからん。

 上半身が吹き飛ぶ。

 ――だが。

 俺の視界が、一瞬だけ“遅れた”。

 音が、後から追いつく。
 膝が勝手に折れた。

「……っ」

 立っているのに、
 足元が遠い。

「再生がされねぇ」

「多分、再生自体を追放する弾丸では?」

「激熱だな! でも、そんな旨い事いくっておかしい」

「来たわ! 上!」
 
 あれは、プテラノドンか?
 なんでこの世界に。

「キエェェー!」

 急降下してくる。
 なら狙い撃ってやるぜ!

「……もう一回かよ」
「くらいやがれ!」

 ズドーン!

 こいつも上半身が吹き飛ぶ。
 なんだ? 補正でもあるのか?

 これ、弾丸って無料なのか?
 なんか不安しかねぇぞ。

「もう、現れないわね」

「ああ、終わったか……」

 目の前に再び表示が現れたのは終わりを告げる合図だった。

 俺の視界に、嫌な“引き算”が走った。

【緊急討伐イベント完了! 2体討伐完了! 合計10万ポイント獲得しました】

「マジか?」
 
「凄いわ!」
 
「ん?」
 
「どうしたの?」

「なあ、マイナスなんてあるんか?」

「え? どういうこと?」

「……待て」
 
 数字が、逆に流れていく。

「……マイナス?」

 ミレーヌが、何も言わなくなった。

「一発ごとに……10万」
「だーやっぱりかー。そんなうまい話しねぇーよなー」

 あれ?
 おかしい。
 ふんっ!
 何?

「……戻らない」
 
 力を抜いても、
 意識を切っても、
 “そこにある”。

【状態:装備固定】
【解除条件:未設定】

 ミレーヌが、小さく首を振った。

「……解除条件が“存在しない”可能性もある」

 ミレーヌも口をあけたまま表示を見つめていた。




 ひとまず俺たちは、倉庫部屋のもう一つの空き部屋に行く。
 困ったぞ。
 まずは、食事ができない。
 いや、利き腕以外で食べればいいんだがかなりムズイ。
 これだと多分、寝返りが打てない。
 あと服を脱いだり着たりができん。
 しかも最悪なのは排泄だ。

 生活破壊のカードだぜこれ?
 
「わっ悪りぃな」

「いいのよ。仕方ないでしょ? はい腕あげて」

「ああ」

 着替え中だ。
 なんてこった。

 ――これが“一時的”なら、まだ笑えた。
 でも、解除条件は未設定だ。

 俺は前途多難。
【緊急討伐イベント発生!】

 おいおいマジかよ。
 俺とミレーヌは思わず互いに見合わせた。

 アイツら、遊んでるんじゃない。

 ――“慣れさせよう”としてる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処理中です...