追放ガチャ 只今、神界配信中! ~神々の賭けで弾かれ続ける俺は、追放ポイントで世界をぶっ壊す~

雪ノ瞬キ

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17話

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「ちょっと待てよ……状況整理だ」

 俺は今、薄暗く何もない場所にいる。
 さっきまでミレーヌと一緒にいた。

 なのに、そこが抜けたように落ちた。
 薄暗いっていうのも、所々に光る物がある。
 あれは、魔導光石ってヤツか?

 そのおかげで多少は視界が確保できる。

 ここがどこで、何で落ちたのか。
 まるでわからん。

 そんでどうしようもない。
 これが今の状況だ。

 ほんの少し前……

【追放処理を簡略化します】
【一時退避処理を実行】

「……は?」
「待て、“簡略化”ってなんだよ」

 唐突に俺の視界に現れやがった。
 そんで間髪入れずに底が抜けた。

【座標未確定】
【参照先:空白】
【処理先:一時領域】


「おいおい……
“一時領域”って、どこだよ」

 追放された感覚はある。
 でも、
 “世界に入った”感じがしねぇ。

 一歩踏み出した瞬間、
 空間が、きしんだ。

 ――ギィ……ッ

 音とも振動ともつかない感触が、
 右腕から伝わってくる。
 
「……なんだ今の」

 もう一歩進む。
 同時に、右腕の銃身が、微かに熱を持った。

 進めない。
 いや、進めるが――
 空間の方が、拒んでいる。

 体全体が押し返される。
 困ったな。
 とはいえ、出口もわからんが。

 何だ? 人の気配か?

 よくは見えないが女がいた。
 彼女は鎖や光の杭みたいなもので固定されている。

「あ、やっと人きた!
ねぇねぇ、これどうやって外すか知ってる?」

 なんだ? 慣れ慣れしいぞ。

「知らねぇよ……
俺も今、追放中だし」

 でもおかしいな。
 おれがおちた時はいなかったぞ。
 ここって常に入れ替わってんのか?

 視界の端で、鎖が軋んだ。

 彼女が動こうとした瞬間、
 光の杭が、さらに深く沈み込む。

「……あ、ダメだこれ」

 なぜか俺にも鎖がつながってやがる。
 ――さっき踏み出した瞬間だ。

 鎖は、彼女の体を縛るだけのものじゃない。
 空間そのものに食い込んでいる。

 引っ張っても重さは感じない。
 なのに、離れようとすると抵抗だけが返ってくる。

 固定されているのは、身体じゃない。
 「存在」そのものだ。

 ……嫌な予感がした。

 ここは牢屋じゃない。
 閉じ込める場所でもない。

「途中で止める」ための場所だ。

 世界に入れるわけでもなく、
 追放しきるわけでもなく、
 ただ、処理を保留する。

 だから、時間の感覚がない。
 息はできるのに、生きている感じが薄い。

 なるほどな。
 一時領域ってのは、
 捨てきれなかったゴミの仮置き場か。

 世界に入れるほど重要でもない。
 完全に消すには、まだ惜しい。

 それにしたって、暗くてよく見えない。

「……クソ」
「これ、どっちかが邪魔だな」

「ねぇ……」

 表情は見えない。
 声は聞こえた。
 だがそれどころじゃねぇ。

「俺が通れねぇなら、壊すしかねぇだろ」

 短剣を抜く。
 迷いはなかった。

 視界の中央にあるのは、
 彼女の身体を貫くように固定している鎖。

「邪魔だ」

 それだけ言って、叩き斬った。

 鎖が切れた瞬間、
 彼女は声を上げなかった。

 悲鳴も、礼も、驚きもない。

 ただ一瞬、
 呼吸を忘れたみたいに静止して、
 それから、ふっと笑った。

「……ほんとにやった」

 その声は、確認だった。
 助かった、じゃない。
 信じた、でもない。

 “やる人なんだ”と、
 決定したみたいな声だった。

 俺はそれを気にする余裕もなく、
 空間の軋みに意識を戻した。

 だが、その瞬間からだ。
 彼女が、俺から一歩も離れなくなったのは。

【固定具が破壊されました】

【弾薬消費:0】
【追放ポイント消費:0】

「え? ……マジか?」

 俺はだまされているんじゃないかと一瞬思ったが。
 どうやら表示に誤植はなさそうだ。

 どうにもこいつら結果しか言わねぇんだよな。
 まあ、結果を表示しているだけなら仕方ねぇが。

 まあ、いい。
 そんで出口はみえねぇとなると。

「ぶっこわすか」

「ねぇ、そんなことできるの?」

「いんや」

「え?」

「できるかじゃなくて、やるんだ」

「うん、最高だねッ! それ! アハッ!」

 てか、こいつ、ついてきやがった。

「おいおい」

「何ぃ~?」

「そんなに服の裾つまむな。
伸びる」

「アハッ、いいじゃん。てれてんのね♡」

「知らん」

 こいつはいいとして、ほんとに撃てるのか。
 ……いや、待て。
 これ、撃ったら戻れねぇ気がする。

 まあいい。

 俺は正面に構えた。
 もうどこ狙えばいいかなんて知らん。

 狙いを定めていると音がした。

 キュイーン!

 今度はなんだ?
 でも、もう撃たないって選択肢がない気がする。

「まだだ」

 どこか貯めている。

「今だ!」

 ドッガーン!

 正面から爆風が吹き荒れる。
 女は俺にしがみつき、俺は銃身を地面にたたきつけた。

 視界がはれると見覚えのある景色が黒い空間にぽっかりと口を開けた。

 俺はそのまま、場所をくぐりようやく出てきた。

 はあ、えらい目にあったぞ。

「……あ、ついてきた」

 ……いや。
 連れてきた、の間違いか。
 
 俺は一旦は地面に足が付いたことで安堵した。


◇エレオノーラ・アルフォンヌ

 あたし、エレオノーラ・アルフォンヌ。
 由緒ただしき? 商人の娘よ。

 もうダメかと思ってたら、助かった。
 世界に見捨てられるし。
 パパも来ないし。
 神もシステムも何もなかった。

 来たのは彼だけ。

 この人、誰にもできなかったことを。
 何のためらいもなくやっちゃった。

 ――たぶん、私のために。
 そうじゃなかったとしても、
 そう思ってしまった。

 決めたの。

 もうね。絶対なの。
 あたし、彼をもらうわ。

 誰にも渡さない。
 彼しかいないから。
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