追放ガチャ 只今、神界配信中! ~神々の賭けで弾かれ続ける俺は、追放ポイントで世界をぶっ壊す~

雪ノ瞬キ

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31話

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「……慣れた、とは違う」
「使い方が分かっただけだ」

 俺は疲れているわけじゃない。
 むしろ頭が冴えている。
 精神の種 Lv2 を“道具”として使っていく。

 正しい相手を、正しい方法で壊す。
 それを意識し始めた。

 ログが視界に割り込む。

【リクエスト開示:03】
【要求者:投資神】
【内容:指定区域の敵性組織を排除せよ】
【条件:一般人被害ゼロ】
【補足:対象は犯罪組織と定義される】

 “犯罪者”という“正義タグ”が付与されている。

「なあ、俺は正義マンじゃないぜ?」

 ミレーヌは少し笑う。

「ええ、あなたが正義なんて一度も思わないわ」
「でもね……分かりやすくしてきたわね」
「“悪い相手だから壊していい”って」
エラは素直に言ってくる。

「いいじゃん」
「今回は迷わなくて済むよ」

 まあ確かに迷いという点ではそうだ。
 魔獣ですら、少し迷ったからな。
 それが“正しい”という“選択”だとしてもだ。

「このダンジョンから出れるってことだよな」

「そうね。そうしないと出来ないわ」

「やったね。やっと出られる」

 目の前の空間に扉が現れる。
 もしや――

「出口? いや、その場所への誘導じゃねぇか」

 ミレーヌは慎重にうなずく。

「私もそんな気がします。うますぎますし」

 エラは変わらずあっけらかんとして言った。

「いいじゃん。利用できる物は利用しなくっちゃ」

 どちらにせよ、俺たちの選択肢は一つしかない。
 背後にあった空間はもうない。
 今あるのは目の前の扉だけだ。

 マジでクソな神だぜ。

 今までは魔獣だった。
 だが今回は違う。

 相手は人間。
 しかもこの腕なら、殴れば殺せる。
 だが条件は“一般人被害ゼロ”

 そもそもどう見分けるんだ?
 殴り以外はミレーヌしかいない。
 魔法だと巻き込むリスクがある。
 エラはおれと同じく物理殴りだ。
 となると……

 やはり、精神追放が“最適解”になるか。
 静かで速く、しかも確実だ。

 俺は二人を見て言う。

「俺の覚悟と選択だ。出た瞬間が戦場なら迷いなくヤル」
「二人は可能な限り足止めを頼む」
「やりすぎたら、それはその時さ」

「シンプルね。わかったわ善処する」

「あたしだと頭以外を狙えばだいじょうぶだね。あはッ♡」

 いや待て、エラよ。
 お前良からぬことを……まあ、今はいい。
 そいつで金的は反則技だからな?

「よし、行くぜ!」

 俺は扉を押し込んだ。
 目の前に開けた視界は、分かりやすい絵図だった。
 場所はどこかの洞窟のアジト。

 捕らわれた一般人といかにも悪党な奴ら。
 洞窟前の開けた場所で一般人は、檻に入れられている。

「ぶにー」

 ひょっこり肩に乗るとすぐにまたフードの中に隠れてしまう。
 一瞬でも癒される。

 俺たちが踏み出した瞬間、一斉に視線が集まる。

「さあ、始まりだ」
「やる気、追放!」
「追放!」
「追放!」

 派手さはない。
 ただ、一人ずつ“切断”する感覚だ。

 声が消える。
 怒りが抜ける。
 武器を落とす。
 逃げない。

 奴らは視点の定まらなく、口を開けたままだ。
 ぼんやり立ち尽くす状態をエラは面白がっていた。
 人差し指でつつくと、仰向けに倒れてしまう。

 何も起きない。
 倒れたままだ。
 起き上がるやる気すらない。

「エラ、ミレーヌ。捕らわれ人を解放してやってくれ」

「わかったわ」

「クロ―気を付けてね? やりすぎにね?」

 俺は二手にわかれた。
 洞窟の入り口にいた奴等はすでに呆然としている。
 追放ずみだ。

 通路は幅広く、馬車が二台並列で走れるほどの幅を持つ。
 始めの部屋は左側だ。
 何やら騒がしいのはたまり場の様子。

 そままやりすごし、奥へとすすむ。次は右手が倉庫部屋のようだ。
 さらに奥へいくと行き止まりで左右に部屋がある。

 右側は鍵のある部屋で閉まっている。
 左側はどうやら頭の部屋のようだ。

 中には一人だけ。
 俺が出入口の前で向き合う。

「なんだぁ? お前――」

「やる気、追放」

 そのまま口を開けた状態。
 目はどこを見ているかわからない。

 他に誰もいないことを確認して、先の部屋にもどる。

 変わらず、飲んで喰ってと盛況の様子。

「さて、やるか」
「やる気、追放!」
「追放!」

 次々と飲んでいた酒瓶を落とし、そのまま微動だにしなくなる。
 ざっと見て二、三十はいただろう。

 これで終わりだ。
 だが、気になる部屋がある。

 鍵の閉まった部屋を叩き割る。
 ガシュッ!

 木製の分厚い扉でも右腕なら容易に壊せた。

「なんだよこれ?」

 大量の鳥かごがあり、中にいるのはほとんどが動かない。

「死んでいるのか?」

 去ろうとしたとの時、ブニ―が俺の頭に駆けあがる。

「ブニ―」

 なんだ?
 お前何か見つけたのか?

 ブニーが鳴く方向に目を向けると、わずかに淡く光るか籠があった。
 近寄り見ると、ブニーほどの大きさの羽の生えた人型。

「妖精なのか?」

 黒いワンピースに黒い羽。
 黒い髪で、見た目は非常に整った美少女だ。

 籠から出して手のひらに載せる。

「なんだ?」

 一瞬身体の奥から何かを吸われた。
 妙な感覚が残る。

 手のひらの上では虫の息だったものが
 みるみるうちに光輝いていく。

 俺何かを吸われているのか?

 まあいい。
 どういうわけか、このままにしておけなかった。
 首からいつもつるしているブニ―用の袋に入れる。

 俺は、その場を去った。

 エラもミレーヌも一般人の解放が無事完了した様子。

「クロ―! おわったよー」

「ああ、こっちもだ!」

 俺はエラとミレーヌたちへ合流する。
 胸元に新たな者を載せて。

 犯罪組織は、壊滅。
 死者はゼロ。
 一般人は多分、無傷。

 ログが表示された。

【リクエスト03:達成】
【被害率:0.00%】
【評価:非常に高】

 ……。
 
「……正しい」
「誰も傷ついてない」

 そう思えたこと自体が、
 たぶん一番おかしい。
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