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第七章 誕生
第二十八話 安心安全を目指して
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それを静かに聞いていたアルル達はラルフに複雑な表情を浮かべた。
「……それってこっちの情報を開示しただけなのでは?」
みんなで言葉を発した次女のエールーを見た。
「考えても見てください。間違って通信機を起動させてしまったせいでマーマンがこちら側であると言う事を教えてしまてます。その上、ドワーフが欲しがる技術を有している事も……つまりどう取り繕おうともわたくし達は侵略者だと伝えてしまっていますわね」
ゴブリンを助けたと言う情報など鋼王の前では一切通用しなかったし、技術提供を持ち掛けられた際にはこちらから仲良く出来たかもしれない可能性を潰している。その上、公爵のやらかした裏切りについては秘匿し、必要以上に不和を撒き散らす。敵じゃないと豪語しながら、邪魔したら容赦しないと敵対意思を顕にしている。
マーマンの通信機をラルフが使用した時点で既に終わっているも同じなのに、さらに対立を煽る行為は目に余る。これはパティシエを呼ぶどころではない。
「でもさ、カサブリアの一件は俺達のお陰でもあるだろう?それにアトムの奴が邪魔しに来てたんだ。銀爪を何とか出来た所でゼアル達じゃあいつはどうしようもなかっただろ?恩着せがましいかも知れないけど俺達のお陰で大半が生き残ったんだぜ?感謝こそすれ完全に敵認定ってのもどうよ」
ラルフの楽観的思考にメラがため息を吐いた。
「はぁ……それこそ関係ないじゃありませんの?下々の命を助けたところで上の連中が色々譲歩してくれるとお思いですか?部下が減らずに幸運だったで済まされますわよ」
「待てよメラ、命を救った相手は白の騎士団だぜ?格が違うだろ、格が」
「それこそ誤差という奴では?」
反論は許されない。というか反論出来ない。
「諦めいラルフ、そやつらノ言う通りじゃ。しかし、終ワっタ事をいつまでも言うノは建設的では無い。重要なノは今後どうすルかという事じゃろ?」
ベルフィアは一方的に責められているラルフに救いの手を出した。ここで追い打ちをかけそうなものだが今は機嫌が良いのかも知れない。それにはアンノウンも反応した。
「それだ。次はどこに行く?また戦争やっても良いし、どっかの国と交易して密かに仲間に引き入れるのも有りだと私は思うよ」
椅子を傾けて二脚だけでゆらゆら揺れながら提案する。アルルはアンノウンの提案を聞いていて「あっ!」と口を開いた。
「この際ですし、建国しちゃうなんてどうです?そうすればお店だって作れるし、交易もスムーズに出来ますよ!」
アルルは自分で言ってて目からウロコと言いたいばりに興奮している。だがミーシャが首を振る事でこの案は否定される。
「国はもういいよ、面倒な事ばっかだし。今の私達が建国したってどこの誰が外交を結んでくれると思う?魔族と人族が混在する国で過ごしたいって手を上げてくれる種族がいたらいいけど無理でしょ?」
国は国民がいて初めて国となる。基本的な事ではあるがアルルの幼稚な思考を真っ向から論破するのは大人気ない。アルルはショボーンと肩を落とした。ジュリアはその様子を気の毒に思ったのか補足を付ける。
「私達ハ、ソウイウ物カラ隔絶サレタ所ニイル。私ニ至ッテハ祖国ガ崩壊シテイルシネ。モシ国ヲ建国スルナラ最初カラデハ無ク、既ニアル国ヲ占領シテシマエバ基盤モ出来テイテ、ソウ難シクハ無イト思ウガ……ミーシャ様ガ反対サレテイル以上コノ話ハ無カッタ事ニシテ……」
「いや、待った。その案は最終手段に使えるぜ」
ラルフは話を聞いていて頷きながら口を開いた。
「考えてみろ、無限に浮遊出来る要塞ったって食料問題を常に抱えているんだ。マーマンから食べ物を買ったとはいえ二ヶ月分のみ。国とまではいかなくても食料調達の拠点は必要だと思わないか?」
ミーシャに目を向ける。唇を尖らせながら「まぁ、確かに……」と返答した。
「マーマンは白絶が抑えているから、万が一食料の危機に陥っても脅せば魚には困らないだろう。けど魚だけで満足できるか?鶏肉、馬肉、豚肉、牛肉……恋しくないか?」
ミーシャはゴクリと生唾を飲み込んだ。
「……決まりだ。先ずは食料拠点の確保。拠点が出来れば交易も考えられるし、建国の必要が無いから基本自由だ。いずれはパティシエも呼べる様になる」
まるで良い事尽くしと言いたげだが、この案は欠点だらけだ。
「それ、何処に拠点を置くの?」
いつの間に現れたのか、エレノアがブレイドを連れて戻って来ていた。エレノアはラルフに聞きながらブレイドと食卓に入り、ブレイドは恥ずかしそうにしながらアルルの隣に座った。エレノアはアルルの逆隣に座る。
「場所によっては今以上に危険になるよぉ?拠点なんて持つべきではないかなぁ」
「まぁそれはそうなんだが……でもその場所を秘匿すれば大丈夫じゃないか?」
ラルフの考えは多くが楽観論だ。ブレイドは少し考えた後で返答した。
「難しいでしょうね。規模が小さくてもいずれはバレます。それは俺達の住処が襲われた事で分かるかと……それに交易というのも厳しいです。何も持ってない俺達が物々交換なんて不可能です」
その通りだ。蓄積した実績と物品が存在しない。そうなると交易は難しい。
「交易は後々で良いよ。それより自分達の食料を先に手に入れる事が重要だろ?しかし、確かにバレるのは厳しいし、出ていっている間に荒らされるのは嫌だよなぁ……」
考えれば考える程に難しい。
「やっぱ難しいよね。肉は欲しいけど……」
ミーシャは気持ちガッカリしている。元から無理だと感じていたし、今の安心安全な状況を崩すのは感情的にあり得ない。
「あーあ。何処かにそーゆー安全な環境無いかなぁ……」
この場にいる全員の考えだ。そんな都合の良い場所が……。
「……あっ、あったわ。安全な場所が」
ラルフの頭には迷惑にも二つの候補が上がっていた。
「……それってこっちの情報を開示しただけなのでは?」
みんなで言葉を発した次女のエールーを見た。
「考えても見てください。間違って通信機を起動させてしまったせいでマーマンがこちら側であると言う事を教えてしまてます。その上、ドワーフが欲しがる技術を有している事も……つまりどう取り繕おうともわたくし達は侵略者だと伝えてしまっていますわね」
ゴブリンを助けたと言う情報など鋼王の前では一切通用しなかったし、技術提供を持ち掛けられた際にはこちらから仲良く出来たかもしれない可能性を潰している。その上、公爵のやらかした裏切りについては秘匿し、必要以上に不和を撒き散らす。敵じゃないと豪語しながら、邪魔したら容赦しないと敵対意思を顕にしている。
マーマンの通信機をラルフが使用した時点で既に終わっているも同じなのに、さらに対立を煽る行為は目に余る。これはパティシエを呼ぶどころではない。
「でもさ、カサブリアの一件は俺達のお陰でもあるだろう?それにアトムの奴が邪魔しに来てたんだ。銀爪を何とか出来た所でゼアル達じゃあいつはどうしようもなかっただろ?恩着せがましいかも知れないけど俺達のお陰で大半が生き残ったんだぜ?感謝こそすれ完全に敵認定ってのもどうよ」
ラルフの楽観的思考にメラがため息を吐いた。
「はぁ……それこそ関係ないじゃありませんの?下々の命を助けたところで上の連中が色々譲歩してくれるとお思いですか?部下が減らずに幸運だったで済まされますわよ」
「待てよメラ、命を救った相手は白の騎士団だぜ?格が違うだろ、格が」
「それこそ誤差という奴では?」
反論は許されない。というか反論出来ない。
「諦めいラルフ、そやつらノ言う通りじゃ。しかし、終ワっタ事をいつまでも言うノは建設的では無い。重要なノは今後どうすルかという事じゃろ?」
ベルフィアは一方的に責められているラルフに救いの手を出した。ここで追い打ちをかけそうなものだが今は機嫌が良いのかも知れない。それにはアンノウンも反応した。
「それだ。次はどこに行く?また戦争やっても良いし、どっかの国と交易して密かに仲間に引き入れるのも有りだと私は思うよ」
椅子を傾けて二脚だけでゆらゆら揺れながら提案する。アルルはアンノウンの提案を聞いていて「あっ!」と口を開いた。
「この際ですし、建国しちゃうなんてどうです?そうすればお店だって作れるし、交易もスムーズに出来ますよ!」
アルルは自分で言ってて目からウロコと言いたいばりに興奮している。だがミーシャが首を振る事でこの案は否定される。
「国はもういいよ、面倒な事ばっかだし。今の私達が建国したってどこの誰が外交を結んでくれると思う?魔族と人族が混在する国で過ごしたいって手を上げてくれる種族がいたらいいけど無理でしょ?」
国は国民がいて初めて国となる。基本的な事ではあるがアルルの幼稚な思考を真っ向から論破するのは大人気ない。アルルはショボーンと肩を落とした。ジュリアはその様子を気の毒に思ったのか補足を付ける。
「私達ハ、ソウイウ物カラ隔絶サレタ所ニイル。私ニ至ッテハ祖国ガ崩壊シテイルシネ。モシ国ヲ建国スルナラ最初カラデハ無ク、既ニアル国ヲ占領シテシマエバ基盤モ出来テイテ、ソウ難シクハ無イト思ウガ……ミーシャ様ガ反対サレテイル以上コノ話ハ無カッタ事ニシテ……」
「いや、待った。その案は最終手段に使えるぜ」
ラルフは話を聞いていて頷きながら口を開いた。
「考えてみろ、無限に浮遊出来る要塞ったって食料問題を常に抱えているんだ。マーマンから食べ物を買ったとはいえ二ヶ月分のみ。国とまではいかなくても食料調達の拠点は必要だと思わないか?」
ミーシャに目を向ける。唇を尖らせながら「まぁ、確かに……」と返答した。
「マーマンは白絶が抑えているから、万が一食料の危機に陥っても脅せば魚には困らないだろう。けど魚だけで満足できるか?鶏肉、馬肉、豚肉、牛肉……恋しくないか?」
ミーシャはゴクリと生唾を飲み込んだ。
「……決まりだ。先ずは食料拠点の確保。拠点が出来れば交易も考えられるし、建国の必要が無いから基本自由だ。いずれはパティシエも呼べる様になる」
まるで良い事尽くしと言いたげだが、この案は欠点だらけだ。
「それ、何処に拠点を置くの?」
いつの間に現れたのか、エレノアがブレイドを連れて戻って来ていた。エレノアはラルフに聞きながらブレイドと食卓に入り、ブレイドは恥ずかしそうにしながらアルルの隣に座った。エレノアはアルルの逆隣に座る。
「場所によっては今以上に危険になるよぉ?拠点なんて持つべきではないかなぁ」
「まぁそれはそうなんだが……でもその場所を秘匿すれば大丈夫じゃないか?」
ラルフの考えは多くが楽観論だ。ブレイドは少し考えた後で返答した。
「難しいでしょうね。規模が小さくてもいずれはバレます。それは俺達の住処が襲われた事で分かるかと……それに交易というのも厳しいです。何も持ってない俺達が物々交換なんて不可能です」
その通りだ。蓄積した実績と物品が存在しない。そうなると交易は難しい。
「交易は後々で良いよ。それより自分達の食料を先に手に入れる事が重要だろ?しかし、確かにバレるのは厳しいし、出ていっている間に荒らされるのは嫌だよなぁ……」
考えれば考える程に難しい。
「やっぱ難しいよね。肉は欲しいけど……」
ミーシャは気持ちガッカリしている。元から無理だと感じていたし、今の安心安全な状況を崩すのは感情的にあり得ない。
「あーあ。何処かにそーゆー安全な環境無いかなぁ……」
この場にいる全員の考えだ。そんな都合の良い場所が……。
「……あっ、あったわ。安全な場所が」
ラルフの頭には迷惑にも二つの候補が上がっていた。
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