309 / 718
第八章 地獄
エピローグ
しおりを挟む
虚空に影が落ちる。
二つの影が何もない空間にボヤッと黒く染み出した。人影のように見える影は頭を左右に動かして何かを探す。
『……不思議』
女性の声が響く。空間に反響してその一言が重複して聞こえる。
『おーい、誰ぞ居らんかー』
もう一方は子供のような甲高い声で一緒に染み出した影以外に声をかける。ここに常駐している三つの存在は鳴りを潜め、気配のけの字も見当たらない。
『……居ない』
『おかしいのぅ。いつもなら此れ幸いとすっ飛んでくるというに……ここ以外で空間を作成した記録はあるか?』
『……無い』
『ふぅむ……吾らと同じく寝ているのか、あるいは庭に降りたか……』
影がふいっと頭を動かす。その質問に疑問を感じている風だ。
『分かっておる。藤堂 源之助の一件以来、吾らは成り行きを見守ることで合意した。それから幾星霜、今日に至るまで動きなんぞ無いと思っておったが……オロチとダークビーストの欠落。オロチが壊れたのであれば藤堂 源之助が解き放たれているはず……』
影は俯くように頭を下げてしばらく黙っていたが、不意に頭を上げる。
『ゼロに保管していた八大地獄の気配も消えていることからこれは確実であろう。この時点で報告がないのも不可思議だが、特にダークビーストは彼奴の造物。破壊されたとあれば、いの一番に騒ぎ出すのは目に見えている。しかし特段騒いでおらんし、少なくとも吾は其の声以外は久しく聞いておらん。この一件には裏があると見て良かろう』
『……降りる?』
『いや、降りぬ。この騒ぎに対し吾と其より敏感な彼奴らが反応せずに寝ぼけているなどあり得ぬ。となれば箱庭でなんぞ行動しているのは明白。特定の一部に加勢していると言うなら探すのは困難であろう。故に炙り出すのが吉と見た』
影は踵を返すように体を反転させた。
『守護獣を一部起動し世界を半壊させよう。吾らが目覚めたことを内外に示し、彼奴らの帰還を促す。箱庭が大事なのであれば必ずや戻ってこよう。吾を止める為に』
不穏なことを平気で話す黒い影に同調するようにもう一方の影が頷く。
守護獣それは古より伝わる最強の獣たち。創造主の創作意欲のままに作成した「ぼくのかんがえた最強の獣」。今となってはその無敵神話も幕を閉じ、世界の均衡に亀裂を生じさせているのだが、何より驚異であることに変わりはない。
『一つ目を起動する。其の鳳と、後は海蛇を起動しようと思うが如何に?』
『……良いよ』
異世界イイルクオンに現存する古代種の内、三つの獣が同時に動き出す。
一つは山から、一つは谷から、一つは海底から……。
巨大生物の脈動は瞬く間に世界に知れ渡る。
*
その夜、ラルフの夢に懐かしいと思える人物が顔を覗かせた。
『お久しぶりですパパ。最近顔を出さないので心配してたんですよ?』
サトリ。死神を名乗る超常の存在。ラルフに並々ならぬ感情を抱いている。実際はどう思っているのかは不明だが、こうして夢枕に立ったことを考えるとあながち間違いではないだろう。
「お前は……それやめろっていつも言ってんだろ?いろんなとこが痒くなるから嫌なんだよ」
『まぁっ!認知してくれないなんて……サトリは悲しいです』
全く悲しそうにしていないサトリに辟易しつつ胡座をかいて質問する。
「……で?俺は死にかけてんのか?」
『まさか、寝ているだけですよ。貴方様が最近めっきり来てくれないから私が訪問しただけです』
「冗談言うなよ、俺に定期的に死にかけろってのか?最近は戦場に行かなくてようやく落ち着いてきたなぁって安心してたのに……」
『ふふっ』
久しぶりの会話が嬉しいのか、常にニコニコと笑っている。自分みたいな奴と喋って何が面白いのか分からないが、好意的に接してくれるのは嬉しいのでラルフも自然と笑顔になった。
「俺のとこに来たのはただ寂しかったからか?」
『まぁ……それもあります』
この反応は前にも見た。何か伝えづらいことがあった時の顔だ。
『……お見通しですか……』
「と言うかサトリの表情が読みやすいだけだな。コロコロ表情変わるところはミーシャにそっくりだ。あいつで鍛えられたから簡単に気付けるのかもな」
『ふふっ嬉しい言い方です。私と彼女はそんなに似ていますか?』
「姿形や言動なんかは似てないけどな。だけどなんか被るっていうか……あっミーシャといえば……オロチの件は悪かったな。ミーシャの奴、既にトウドウさんと色々話してたみたいでよ。感情移入してたから俺の言葉なんて聞きゃしなかったよ」
ラルフの謝罪に対してニッコリと笑った。
『貴方様の勇士、しかとこの目で見ていましたよ』
「勇士って……ミーシャの目に怯えて縮こまってただけだぜ?」
『それでいいんです。止めようとして下さった事実があるだけで私は嬉しいのです』
ラルフは頬を掻きながら目線を外す。照れ隠しをしているのが心を読まなくても分かる。
「なんだよ、照れるじゃねぇか……おだてたって何も出ないぞ?」
『こうして会話して頂いているだけでも感謝に絶えません』
サトリは神という立場にありながらラルフに頭を下げた。畏まって腰を低く構えるものだから、大雑把で失礼なラルフも恐縮してしまう。相手は神様なのに、一介のヒューマン如きに頭を下げる真似をする。アトムとはえらい違いだ。
そんな風に考えていると、ピクッとサトリの体が動いた。アトムのことを考えた途端の反応だったので、十中八九奴のことで間違いないだろう。
『……それもあります』
「他にもあんのかよ。一体なんだってんだ?」
『そうですね……申し訳ありません。伝えるべきかを迷ってしまって要領を得ず……』
「うん、ゆっくりでいいぞ。夜は長いんだ」
『……ありがとうございます。その言葉で決心がつきました』
サトリは臓器の存在しない空間で大きく息を吸う真似事を見せ、落ち着きを取り戻したようにラルフに視線を向ける。
『このまま行くと貴方様は確実に死にます』
その言葉が頭に浸透するのに一拍の時間を要した。その上で頭に疑問符を浮かばせ、それと同時に声が上ずる。
「ん?」
サトリからの未来予想にラルフの顔は強張り、その言葉を受け入れられない。死神から死を宣告されたのだ。グレートロックに行けば確実に死ぬのだろう。
「うん、引き返そう。それしか生き延びる手は無いな。いやぁ悪いなサトリ。そう言われちゃ死を回避するしか手立てはないぜ」
『申し訳ありません。引き返しても地獄が待ち構えています』
「……行きも地獄、帰りも地獄……ってことは死ぬのは確定事項ってことかよ……」
死神から死を宣告されたのだ。どこに行っても死ぬのは確定している。どんな死に方をするのか分からないが、八方塞がりなのは間違いない。
「ここまで生きてこられたのが奇跡かぁ……まさか他は助かって俺だけ死ぬのか?」
『ええ、まぁ……』
「だよなぁ……そうじゃなきゃ言葉を濁さないよな……でもみんなは助かるんだろ?無事かどうか分かんないかもだけど、俺以外が生きてりゃなんとかなる。どうせ死ぬなら派手に散るか!」
『分かります。怖いですよね……』
「……」
ラルフは黙る。サトリには隠し事なんて出来ない。変に強がっても心の内が丸見えなら意味などない。
でもどうしろというのか?死ぬことに怯えて隠れ潜んでもどうせ死ぬ。何の対策も無しに戦いに出れば否応無く死ぬだろうし、何もしなくても死ぬ。生き物はいずれ死ぬと分かっていても死期が分かったら恐れるのも当然だろう。
「……サトリはこういう空気になるから言いたくなかったんだな。それもそうか、辛気臭かったら会話も面白くないもんな……」
『……』
「すまない。俺はただの人間だから、死ぬと聞かされたら辛気臭くもなるよ。なんか泣きたいけど泣けないし、悲しいのに妙に落ち着いてるのが嫌だけど……俺が死んだら迎え入れてくれるか?お前がいたら寂しくないしな」
ラルフは自嘲気味に笑った。多少の皮肉が混じったが、ほぼほぼ本心だ。死んだ後に迎え入れてくれる場所があれば、途方に暮れることもない。
後は生きている内に何を残すか。死ぬと分かった今、親父に連絡を取りたい気持ちも湧いてくる。今更遅いだろうが、やらないよりマシだ。後、ミーシャに代わりの抱き枕を探してやるのと、健やかに生きてもらえるように準備しないといけないだろうし、ブレイドたちにも何らか格言みたいなのを残しておかないといけない。ベルフィアに出来ることといえば血を与える一点に尽きる。痛いから放っておこう。
「……そういえばこれって何だ?夢か何かなのか?目が覚めたら忘れちゃうってことになったら今考えたこと全部パァになっちまうんだけど大丈夫かな?」
『……ラルフ』
「ん?何だサトリ」
『足掻いてみませんか?どうしようもなくて死んでしまうこの未来を変える為の足掛かり……貴方様が望むなら私が与えて差し上げます』
「……「汝力を欲するか」って奴だな。子供の頃はそのセリフに憧れたもんだ」
昔聞いた英雄の冒険譚。創作でしかなかったあのセリフをここで聞くことになるとは、そして自分がその対象とは夢にも思わない。
当然答えは決まっている。
「俺は未来を変えたい。死から逃れる力を俺にくれ!」
死神にこういうことを言うのは間違っているかもしれないが、なりふり構っていられるほど余裕のある状況でもない。
均衡が崩れ、破滅に向かう昨今、ラルフも変わらずにいられない。
この先にある脅威と恐怖を見つめ直し、世界に仇なす存在は次なるステージへと駆け上がる。
二つの影が何もない空間にボヤッと黒く染み出した。人影のように見える影は頭を左右に動かして何かを探す。
『……不思議』
女性の声が響く。空間に反響してその一言が重複して聞こえる。
『おーい、誰ぞ居らんかー』
もう一方は子供のような甲高い声で一緒に染み出した影以外に声をかける。ここに常駐している三つの存在は鳴りを潜め、気配のけの字も見当たらない。
『……居ない』
『おかしいのぅ。いつもなら此れ幸いとすっ飛んでくるというに……ここ以外で空間を作成した記録はあるか?』
『……無い』
『ふぅむ……吾らと同じく寝ているのか、あるいは庭に降りたか……』
影がふいっと頭を動かす。その質問に疑問を感じている風だ。
『分かっておる。藤堂 源之助の一件以来、吾らは成り行きを見守ることで合意した。それから幾星霜、今日に至るまで動きなんぞ無いと思っておったが……オロチとダークビーストの欠落。オロチが壊れたのであれば藤堂 源之助が解き放たれているはず……』
影は俯くように頭を下げてしばらく黙っていたが、不意に頭を上げる。
『ゼロに保管していた八大地獄の気配も消えていることからこれは確実であろう。この時点で報告がないのも不可思議だが、特にダークビーストは彼奴の造物。破壊されたとあれば、いの一番に騒ぎ出すのは目に見えている。しかし特段騒いでおらんし、少なくとも吾は其の声以外は久しく聞いておらん。この一件には裏があると見て良かろう』
『……降りる?』
『いや、降りぬ。この騒ぎに対し吾と其より敏感な彼奴らが反応せずに寝ぼけているなどあり得ぬ。となれば箱庭でなんぞ行動しているのは明白。特定の一部に加勢していると言うなら探すのは困難であろう。故に炙り出すのが吉と見た』
影は踵を返すように体を反転させた。
『守護獣を一部起動し世界を半壊させよう。吾らが目覚めたことを内外に示し、彼奴らの帰還を促す。箱庭が大事なのであれば必ずや戻ってこよう。吾を止める為に』
不穏なことを平気で話す黒い影に同調するようにもう一方の影が頷く。
守護獣それは古より伝わる最強の獣たち。創造主の創作意欲のままに作成した「ぼくのかんがえた最強の獣」。今となってはその無敵神話も幕を閉じ、世界の均衡に亀裂を生じさせているのだが、何より驚異であることに変わりはない。
『一つ目を起動する。其の鳳と、後は海蛇を起動しようと思うが如何に?』
『……良いよ』
異世界イイルクオンに現存する古代種の内、三つの獣が同時に動き出す。
一つは山から、一つは谷から、一つは海底から……。
巨大生物の脈動は瞬く間に世界に知れ渡る。
*
その夜、ラルフの夢に懐かしいと思える人物が顔を覗かせた。
『お久しぶりですパパ。最近顔を出さないので心配してたんですよ?』
サトリ。死神を名乗る超常の存在。ラルフに並々ならぬ感情を抱いている。実際はどう思っているのかは不明だが、こうして夢枕に立ったことを考えるとあながち間違いではないだろう。
「お前は……それやめろっていつも言ってんだろ?いろんなとこが痒くなるから嫌なんだよ」
『まぁっ!認知してくれないなんて……サトリは悲しいです』
全く悲しそうにしていないサトリに辟易しつつ胡座をかいて質問する。
「……で?俺は死にかけてんのか?」
『まさか、寝ているだけですよ。貴方様が最近めっきり来てくれないから私が訪問しただけです』
「冗談言うなよ、俺に定期的に死にかけろってのか?最近は戦場に行かなくてようやく落ち着いてきたなぁって安心してたのに……」
『ふふっ』
久しぶりの会話が嬉しいのか、常にニコニコと笑っている。自分みたいな奴と喋って何が面白いのか分からないが、好意的に接してくれるのは嬉しいのでラルフも自然と笑顔になった。
「俺のとこに来たのはただ寂しかったからか?」
『まぁ……それもあります』
この反応は前にも見た。何か伝えづらいことがあった時の顔だ。
『……お見通しですか……』
「と言うかサトリの表情が読みやすいだけだな。コロコロ表情変わるところはミーシャにそっくりだ。あいつで鍛えられたから簡単に気付けるのかもな」
『ふふっ嬉しい言い方です。私と彼女はそんなに似ていますか?』
「姿形や言動なんかは似てないけどな。だけどなんか被るっていうか……あっミーシャといえば……オロチの件は悪かったな。ミーシャの奴、既にトウドウさんと色々話してたみたいでよ。感情移入してたから俺の言葉なんて聞きゃしなかったよ」
ラルフの謝罪に対してニッコリと笑った。
『貴方様の勇士、しかとこの目で見ていましたよ』
「勇士って……ミーシャの目に怯えて縮こまってただけだぜ?」
『それでいいんです。止めようとして下さった事実があるだけで私は嬉しいのです』
ラルフは頬を掻きながら目線を外す。照れ隠しをしているのが心を読まなくても分かる。
「なんだよ、照れるじゃねぇか……おだてたって何も出ないぞ?」
『こうして会話して頂いているだけでも感謝に絶えません』
サトリは神という立場にありながらラルフに頭を下げた。畏まって腰を低く構えるものだから、大雑把で失礼なラルフも恐縮してしまう。相手は神様なのに、一介のヒューマン如きに頭を下げる真似をする。アトムとはえらい違いだ。
そんな風に考えていると、ピクッとサトリの体が動いた。アトムのことを考えた途端の反応だったので、十中八九奴のことで間違いないだろう。
『……それもあります』
「他にもあんのかよ。一体なんだってんだ?」
『そうですね……申し訳ありません。伝えるべきかを迷ってしまって要領を得ず……』
「うん、ゆっくりでいいぞ。夜は長いんだ」
『……ありがとうございます。その言葉で決心がつきました』
サトリは臓器の存在しない空間で大きく息を吸う真似事を見せ、落ち着きを取り戻したようにラルフに視線を向ける。
『このまま行くと貴方様は確実に死にます』
その言葉が頭に浸透するのに一拍の時間を要した。その上で頭に疑問符を浮かばせ、それと同時に声が上ずる。
「ん?」
サトリからの未来予想にラルフの顔は強張り、その言葉を受け入れられない。死神から死を宣告されたのだ。グレートロックに行けば確実に死ぬのだろう。
「うん、引き返そう。それしか生き延びる手は無いな。いやぁ悪いなサトリ。そう言われちゃ死を回避するしか手立てはないぜ」
『申し訳ありません。引き返しても地獄が待ち構えています』
「……行きも地獄、帰りも地獄……ってことは死ぬのは確定事項ってことかよ……」
死神から死を宣告されたのだ。どこに行っても死ぬのは確定している。どんな死に方をするのか分からないが、八方塞がりなのは間違いない。
「ここまで生きてこられたのが奇跡かぁ……まさか他は助かって俺だけ死ぬのか?」
『ええ、まぁ……』
「だよなぁ……そうじゃなきゃ言葉を濁さないよな……でもみんなは助かるんだろ?無事かどうか分かんないかもだけど、俺以外が生きてりゃなんとかなる。どうせ死ぬなら派手に散るか!」
『分かります。怖いですよね……』
「……」
ラルフは黙る。サトリには隠し事なんて出来ない。変に強がっても心の内が丸見えなら意味などない。
でもどうしろというのか?死ぬことに怯えて隠れ潜んでもどうせ死ぬ。何の対策も無しに戦いに出れば否応無く死ぬだろうし、何もしなくても死ぬ。生き物はいずれ死ぬと分かっていても死期が分かったら恐れるのも当然だろう。
「……サトリはこういう空気になるから言いたくなかったんだな。それもそうか、辛気臭かったら会話も面白くないもんな……」
『……』
「すまない。俺はただの人間だから、死ぬと聞かされたら辛気臭くもなるよ。なんか泣きたいけど泣けないし、悲しいのに妙に落ち着いてるのが嫌だけど……俺が死んだら迎え入れてくれるか?お前がいたら寂しくないしな」
ラルフは自嘲気味に笑った。多少の皮肉が混じったが、ほぼほぼ本心だ。死んだ後に迎え入れてくれる場所があれば、途方に暮れることもない。
後は生きている内に何を残すか。死ぬと分かった今、親父に連絡を取りたい気持ちも湧いてくる。今更遅いだろうが、やらないよりマシだ。後、ミーシャに代わりの抱き枕を探してやるのと、健やかに生きてもらえるように準備しないといけないだろうし、ブレイドたちにも何らか格言みたいなのを残しておかないといけない。ベルフィアに出来ることといえば血を与える一点に尽きる。痛いから放っておこう。
「……そういえばこれって何だ?夢か何かなのか?目が覚めたら忘れちゃうってことになったら今考えたこと全部パァになっちまうんだけど大丈夫かな?」
『……ラルフ』
「ん?何だサトリ」
『足掻いてみませんか?どうしようもなくて死んでしまうこの未来を変える為の足掛かり……貴方様が望むなら私が与えて差し上げます』
「……「汝力を欲するか」って奴だな。子供の頃はそのセリフに憧れたもんだ」
昔聞いた英雄の冒険譚。創作でしかなかったあのセリフをここで聞くことになるとは、そして自分がその対象とは夢にも思わない。
当然答えは決まっている。
「俺は未来を変えたい。死から逃れる力を俺にくれ!」
死神にこういうことを言うのは間違っているかもしれないが、なりふり構っていられるほど余裕のある状況でもない。
均衡が崩れ、破滅に向かう昨今、ラルフも変わらずにいられない。
この先にある脅威と恐怖を見つめ直し、世界に仇なす存在は次なるステージへと駆け上がる。
0
あなたにおすすめの小説
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる