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最終章
第十三話 共同墓地
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共同墓地に着いたラルフとミーシャ。
僧侶に連れられ、ラルフの父であるコンラッドの墓の前に辿り着いた。
「ありがとうございます」
ラルフは案内してくれた僧侶に頭を下げてお礼を伝えた。僧侶は胸に右手を添えてペコリと返礼する。僧侶の後ろ姿が見えなくなるまで見送った後、コンラッドの文字が控えめに彫られた墓に向き直る。
草臥れたハットを取り、胸に手を添えるようにハットを添えた。俯き加減で黙祷を捧げる。ミーシャもラルフに倣って俯き加減で黙祷を捧げる。
『誰か亡くなったの?』
「ああ、俺の親父がな……」
『イルレアンの生まれ?』
「いや、親父は生まれも育ちも行商人のキャラバンだから出身地っていうのはちょっと分かんねぇ……ん?」
普通に答えていたラルフは急に質問してきた誰かの存在にようやく気付いた。
「ア、アシュタロト?ってことは……!」
バッと勢いよく振り返るが、そこに思った人物はいなかった。
「……あれ?マクマインが居ねぇなぁ。一人で来たのか?」
『うん。僕ひとりだよ』
パッと手を広げて小さな体を大きく見せようとしている。神であることを除いたら可愛い仕草だが、神であることを考慮すれば何をしでかすか分からない不気味な雰囲気を醸し出している。その瞬間にミーシャの眉間にシワが寄る。
「お前も私と殺り合おうというのか?」
『なんで?』
「なんで、だと?他の連中は私の前に立ちはだかった。まさにお前と同じようにな……」
ミーシャは握り拳を作る。きょとんとするアシュタロトの顔面がミーシャの一撃で消滅するのも時間の問題だ。
「おいおい、ちょっと待てって。いきなり噛みつくこともないだろう?俺たちが静かに親父を悼んでいる時にこいつは何をした?何もしてないよな?強いていうなら声を掛けてきただけだぜ。まだ話をし始めたところだから、ここは相手の話を少し話を聞いてみようぜ。時には平和的に解決するのも必要なんだって、な?」
ラルフは捲し立てるようにミーシャを止める。ミーシャはじとっとした目をラルフに向けたが、「まぁ、一理ある」と言って腕を組んだ。
「アシュタロト。頼むぜ?」
ラルフはアシュタロトに向き直る。アシュタロトは大きく頷き、近くの墓石に腰掛けた。
「あっ!おい何して……!?」
それはコンラッドの墓石。どこで話そうがアシュタロトの勝手だが、時と場所を考えるべき案件だ。まさに死者への冒涜。
しかし神様という立場を考えたらこの構図はあながち間違っていない。横暴だが、神が理の頂点である以上、この行いにケチを付けられない。
その上アシュタロトが手をかざして静止してきた。その行動に一瞬怯んで声が出せなくなってしまった。
『君たちは調子に乗りすぎた。僕たちが本気になって攻撃する理由を与えてしまった。と言ってもミーシャが強すぎるのとラルフの能力が便利すぎてどうにもならなかったみたいだけど?』
「その通りだ。たとえ神であろうとも私とラルフの前では無力だ」
『んふふっ……でも怖いのはここからだよ?僕たちは無限、君たちは有限。どうあがいても最後には……ね?』
ラルフはアシュタロトに対してニヤリと笑う。
「あっあー。そうか、そういえばお前あの場に居なかったよな?じゃあ知らないってのも無理はねぇ。実は俺は神の連中と共同作業の真っ最中さ。お前やバルカンが急に攻撃してこない限りは実は安全だったりするんだぜ?」
既に話はつけたと豪語するラルフ。アシュタロトは嬉しそうに下唇を噛んだ。
『んっんー。それさ、次に起こることを踏まえて安全だって言えるなら信じてあげても良いよ?』
「……次に起こること?」
──ガコッ
それは共同墓地全域で鳴った音だった。辺りを見渡すと、墓石が傾き、すぐ下の地面から腐り切った人間の手が這い出てきた。
「アンデッド?なんでまた急に?」
ミーシャも不思議な顔で見ている。アシュタロトは一拍手を叩いてそのまま大きく広げた。
『イッツァショーターイム!!』
這い出たアンデッドから負のオーラが滲み出ている。たまに荒野などで発生するその辺のアンデッドとは全くの別物。かなり強化されているだろうことは見ただけで分かる。
「ふざけんなよアシュタロト。平和的に解決しようって言ったばっかじゃねぇか!」
憤慨するラルフ。アシュタロトは小さく首を振る。
『もちろん僕じゃないさ。君が言ったんだよ?神は説き伏せたって。でも彼は例外のようだね』
アシュタロトが空に指を差す。指を差した先に目をやると、そこには羽を広げた翼人族の姿があった。しなやかな筋肉に服を盛り上げる双丘。肩甲骨付近まで伸びた金髪に碧眼。鼻が高く、美人な顔立ちが神々しさすら感じる。
『フハハハッ!!見つけたぞラルフ!!』
声は見た目通りの綺麗な声をしているのだが、笑い方と人を見下してくる空気感。ラルフの直感が囁いている。あれは又してもどこぞのバードの体を乗っ取ったアトムであることを。
「そういえばあの時お前だけ孤立してたな。バードにまで迷惑をかけるとはしょうがない奴だなアトム。馬鹿は死ななきゃ治らねぇらしいが……死ねなかったらその馬鹿はどうなるんだ?」
『馬鹿は貴様だ!!』
イルレアンの領空にアトムが現れた。アンデッドを率いるアトムはミーシャとラルフへリターンマッチを仕掛けた。
『見てなよラルフのお父さん。君の一人息子は立派に育ったみたいだよ?』
アシュタロトは座った墓石をポンポンと叩いた。
僧侶に連れられ、ラルフの父であるコンラッドの墓の前に辿り着いた。
「ありがとうございます」
ラルフは案内してくれた僧侶に頭を下げてお礼を伝えた。僧侶は胸に右手を添えてペコリと返礼する。僧侶の後ろ姿が見えなくなるまで見送った後、コンラッドの文字が控えめに彫られた墓に向き直る。
草臥れたハットを取り、胸に手を添えるようにハットを添えた。俯き加減で黙祷を捧げる。ミーシャもラルフに倣って俯き加減で黙祷を捧げる。
『誰か亡くなったの?』
「ああ、俺の親父がな……」
『イルレアンの生まれ?』
「いや、親父は生まれも育ちも行商人のキャラバンだから出身地っていうのはちょっと分かんねぇ……ん?」
普通に答えていたラルフは急に質問してきた誰かの存在にようやく気付いた。
「ア、アシュタロト?ってことは……!」
バッと勢いよく振り返るが、そこに思った人物はいなかった。
「……あれ?マクマインが居ねぇなぁ。一人で来たのか?」
『うん。僕ひとりだよ』
パッと手を広げて小さな体を大きく見せようとしている。神であることを除いたら可愛い仕草だが、神であることを考慮すれば何をしでかすか分からない不気味な雰囲気を醸し出している。その瞬間にミーシャの眉間にシワが寄る。
「お前も私と殺り合おうというのか?」
『なんで?』
「なんで、だと?他の連中は私の前に立ちはだかった。まさにお前と同じようにな……」
ミーシャは握り拳を作る。きょとんとするアシュタロトの顔面がミーシャの一撃で消滅するのも時間の問題だ。
「おいおい、ちょっと待てって。いきなり噛みつくこともないだろう?俺たちが静かに親父を悼んでいる時にこいつは何をした?何もしてないよな?強いていうなら声を掛けてきただけだぜ。まだ話をし始めたところだから、ここは相手の話を少し話を聞いてみようぜ。時には平和的に解決するのも必要なんだって、な?」
ラルフは捲し立てるようにミーシャを止める。ミーシャはじとっとした目をラルフに向けたが、「まぁ、一理ある」と言って腕を組んだ。
「アシュタロト。頼むぜ?」
ラルフはアシュタロトに向き直る。アシュタロトは大きく頷き、近くの墓石に腰掛けた。
「あっ!おい何して……!?」
それはコンラッドの墓石。どこで話そうがアシュタロトの勝手だが、時と場所を考えるべき案件だ。まさに死者への冒涜。
しかし神様という立場を考えたらこの構図はあながち間違っていない。横暴だが、神が理の頂点である以上、この行いにケチを付けられない。
その上アシュタロトが手をかざして静止してきた。その行動に一瞬怯んで声が出せなくなってしまった。
『君たちは調子に乗りすぎた。僕たちが本気になって攻撃する理由を与えてしまった。と言ってもミーシャが強すぎるのとラルフの能力が便利すぎてどうにもならなかったみたいだけど?』
「その通りだ。たとえ神であろうとも私とラルフの前では無力だ」
『んふふっ……でも怖いのはここからだよ?僕たちは無限、君たちは有限。どうあがいても最後には……ね?』
ラルフはアシュタロトに対してニヤリと笑う。
「あっあー。そうか、そういえばお前あの場に居なかったよな?じゃあ知らないってのも無理はねぇ。実は俺は神の連中と共同作業の真っ最中さ。お前やバルカンが急に攻撃してこない限りは実は安全だったりするんだぜ?」
既に話はつけたと豪語するラルフ。アシュタロトは嬉しそうに下唇を噛んだ。
『んっんー。それさ、次に起こることを踏まえて安全だって言えるなら信じてあげても良いよ?』
「……次に起こること?」
──ガコッ
それは共同墓地全域で鳴った音だった。辺りを見渡すと、墓石が傾き、すぐ下の地面から腐り切った人間の手が這い出てきた。
「アンデッド?なんでまた急に?」
ミーシャも不思議な顔で見ている。アシュタロトは一拍手を叩いてそのまま大きく広げた。
『イッツァショーターイム!!』
這い出たアンデッドから負のオーラが滲み出ている。たまに荒野などで発生するその辺のアンデッドとは全くの別物。かなり強化されているだろうことは見ただけで分かる。
「ふざけんなよアシュタロト。平和的に解決しようって言ったばっかじゃねぇか!」
憤慨するラルフ。アシュタロトは小さく首を振る。
『もちろん僕じゃないさ。君が言ったんだよ?神は説き伏せたって。でも彼は例外のようだね』
アシュタロトが空に指を差す。指を差した先に目をやると、そこには羽を広げた翼人族の姿があった。しなやかな筋肉に服を盛り上げる双丘。肩甲骨付近まで伸びた金髪に碧眼。鼻が高く、美人な顔立ちが神々しさすら感じる。
『フハハハッ!!見つけたぞラルフ!!』
声は見た目通りの綺麗な声をしているのだが、笑い方と人を見下してくる空気感。ラルフの直感が囁いている。あれは又してもどこぞのバードの体を乗っ取ったアトムであることを。
「そういえばあの時お前だけ孤立してたな。バードにまで迷惑をかけるとはしょうがない奴だなアトム。馬鹿は死ななきゃ治らねぇらしいが……死ねなかったらその馬鹿はどうなるんだ?」
『馬鹿は貴様だ!!』
イルレアンの領空にアトムが現れた。アンデッドを率いるアトムはミーシャとラルフへリターンマッチを仕掛けた。
『見てなよラルフのお父さん。君の一人息子は立派に育ったみたいだよ?』
アシュタロトは座った墓石をポンポンと叩いた。
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