お兄様が攻略対象者で妹のモブ令嬢のはずですが、攻略対象者が近づいてきて溺愛がとまりません。

MAYY

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第一章 ヒロイン編

24.

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「ありがとう。シスト・イークス侯爵令嬢。しかし、学園では同じ学年ではあるがここは王宮だ。立場をわきまえてほしいな。」

この方侯爵令嬢なのね。
学園では平等に接してよいとされているが学園を一歩出ればカルは王族だ。先に話をかけてはいけないことは私でもわかっていることですわ。

「失礼いたしました。以後気を付けますわ。ビックリいたしましたわ。カルティド殿下がいきなり婚約発表ですもの……婚約者候補を挙げてから選ばれるとばかり……私が一番近いと思っておりましたわ。」

この方すごいですわ!
隣に……カルに肩を抱き寄せられている私がいるのに挨拶もお話もされずいない人のように扱い、カルに自分アピールをしておりますわ。

「ははっ。イークス令嬢のは凄いね。俺は婚約者候補も作る予定はなかったよ。リティを婚約者と決めていたからな。」

「なっ………カルティド殿下酷いですわ。私と長い間一緒に過ごしたではありませんか。」

はっ!?なんですって!?
カルずっと私を好きといっておきながらまさかこのご令嬢に手を出していたの?
もしかしてこれって………修羅場!?
ジトーとカルを横目で見ているとそれに気づいたカルが露骨に不機嫌になっている。
このカルの表情は幼い頃から近くで見ているからわかるがたぶんこの会場でわかるのは幼馴染みの数名だろう。
………やっぱりこのご令嬢が言ってることは本当ですのね。
私にバレて不機嫌になった……といったところでしょうか。

男なんてクラリスお兄様以外は所詮そんなものですわ……。
夢見た私が馬鹿を見るのです……。

「はぁ。リティ酷いな。俺の事疑ってるだろ?」

ため息をつきながら私をジトーと見てくるカルにドキリとする。
はい、疑ってますわ。と直接言う勇気がなく心の声で返事をし目を泳がせてしまう。

「イークス令嬢、リティが誤解を招く言い方はしないでほしいな。一緒に過ごした?長い間?それは学園生活同じクラスに同じ役員をしているとそうなるな。公的には過ごしたことは多いかもしれないが、それはクラリスやレイロにセルガロも一緒だ。一切二人であったことはない。言いがかりはよしてもらいたい。」

凍りつくような低い声にご令嬢を見る冷ややかな視線、私はカルのこんな冷たい態度は今まで一度も見たことがない。
カルに言われて固まっているご令嬢を見れば、普段ここまで冷たくはないのだろう。

「カルティド殿下あんまりです……私は小さい頃からずっとカルティド殿下の婚約者になれると思って日々作法に勉学に励んで参りましたわ。なのに………私がお慕いしている気持ちは気付いていらっしゃったのでしょう?」

この態度のカルに対してまだ引き下がらないのが凄いですわ。私なら心が折れてしまいます。
このご令嬢は本当にカルの事が好きなのか……維持になっているのかわかりませんが、度胸だけは凄いですわね。

「話にならないな。この際はっきりと伝えとくがイークス令嬢の気持ちに答えることはない。今まではいきすぎた態度も多めに見ていたが、リティが絡んでくると話は別だ。今後気を付けるように。忠告はした、以上だ。」

顔が歪んでるのは悔しいからなのか想いが拒否されたからなのか私はわからないが、唇を噛み締めて震えている姿は派手なドレスに濃いメイク………いや綺麗にした顔が台無しになっていてプライドが高そうなご令嬢なだけにとてもかわいそうなことになっていますわ。
想い人であるカルにも周りのご令嬢にご令息にも見られておりますから。。

私をいないものと扱っていたのに、カルに肩を抱かれがら隣を通りすぎるときボソッと呟かれた。


「このままじゃ終わらせないわ。」


これって……私に言われたのでしょうか。
怖すぎますわ。
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