お兄様が攻略対象者で妹のモブ令嬢のはずですが、攻略対象者が近づいてきて溺愛がとまりません。

MAYY

文字の大きさ
87 / 98
第二章 ダルニア王国編

7.

しおりを挟む
「カル………怒ってます?」

クラリスお兄様が私に『カルをよろしく』と言って自分の部屋に行ったけど……この不機嫌なカルをなんとかしろ!!ってことですよね。

それにしても王宮の敷地内の別邸を留学期間中滞在するとか聞いてませんでしたわ。
私はてっきりカーティおば様の家でお世話になるとばかり思ってました。
………いや、クラリスお兄様や私の身のためにも考えてのことかもしれませんわね。
カーティおば様のところにはまた訪問しましょう。

「そうだね。知らない一面を引き出したマシューリにもだけどリティにも怒ってる。」

カルの知らない前世の話でつい盛り上がってしまったから……すみません。

「前世の話で盛り上がってごめんなさい。」

「…………こっちにきて。」

どうしました?
そんな甘い声を出してキュンキュンするじゃないですか。

考えたら部屋にはいってから二人とも立ち尽くして話をしていた。
側に行くとぎゅっと抱き締められて

「リティは俺の全てなんだ。離さない。」

何がそんなに不安なんだろう?

「安心してください。私はカルのものです。」

「わかってはいるが、リティの身体や心だけじゃなくてあらゆる全てのものを独占したいんだ。」

「カル……よくわからないんですが?」

カルが何を言いたいのかさっぱりわからない。
独占したい?カルからは強い想いがひしひしと伝わってきますが……私の全てを捧げてもまだ足りない?



「…………………言葉づかいがマシューリの方が親しそうだ。」



ポツリと呟いた言葉に目を見開いてそっちを気にしてたの?と突っ込みをいれたくなりましたわ。

「令嬢の時も前世の時の話し方もどちらも私ですわ。」

「俺には前世の記憶なんてない………リティが少しでもこちらの世界に馴染むようにしていたが、マシューリと話してる姿を見ていると俺の方が近くにいるのに遠く感じた。」

ポツリポツリと話してくれるカルからは怒りよりも寂しいと聞こえてきた。
前世の記憶を持っていてもこの世界に馴染めないと辛いこともある。
でも、カルも私から聞いて不安や疎外感があったんだ。
そんなことを考えたことがなかった……自分のことばかりだったんだと初めて気づいた。
カルにぎゅっと抱きついて

「カルの気持ちをわかってあげれてなくてごめんなさい。これから不安や心配をなんでも話して。私に出来ることなら無くしてあげたいから。大好きだよカル。令嬢らしくない私だけど受け入れてくれる?」

ぎゅっと私を抱き締め返してきたカル。
そんなに不安にならないで。私がこうしてこの世界に馴染めてるのは小さい頃から側にはカルがいてくれたから。

「リティを抱きたい。」

えっ?そんな雰囲気でしたか?
そんな率直に言われると………恥ずかしいです。
でも………

「私もカルにめちゃくちゃ愛してほしい…………………かな。」

恥ずかしいことを言ってしまって顔をあげれないでいると、
勢いよく私の顎を持ち上げキスをしてきた。
キスをしたままお姫様抱っこをされてベッドに連れていかれた。

「カッカカル?」

潤んだ瞳に熱のこもったなんともいえない色気が漂ってますよ。
ここまで余裕の無さそうなカルは初めてかもしれない。


「リティが煽ったんだ。責任はとってもらうよ。」


私が返事をする前にカルは私の唇の自由を奪った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

【完結】男の美醜が逆転した世界で私は貴方に恋をした

梅干しおにぎり
恋愛
私の感覚は間違っていなかった。貴方の格好良さは私にしか分からない。 過去の作品の加筆修正版です。

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

処理中です...