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第二章 ダルニア王国編

7.

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「カル………怒ってます?」

クラリスお兄様が私に『カルをよろしく』と言って自分の部屋に行ったけど……この不機嫌なカルをなんとかしろ!!ってことですよね。

それにしても王宮の敷地内の別邸を留学期間中滞在するとか聞いてませんでしたわ。
私はてっきりカーティおば様の家でお世話になるとばかり思ってました。
………いや、クラリスお兄様や私の身のためにも考えてのことかもしれませんわね。
カーティおば様のところにはまた訪問しましょう。

「そうだね。知らない一面を引き出したマシューリにもだけどリティにも怒ってる。」

カルの知らない前世の話でつい盛り上がってしまったから……すみません。

「前世の話で盛り上がってごめんなさい。」

「…………こっちにきて。」

どうしました?
そんな甘い声を出してキュンキュンするじゃないですか。

考えたら部屋にはいってから二人とも立ち尽くして話をしていた。
側に行くとぎゅっと抱き締められて

「リティは俺の全てなんだ。離さない。」

何がそんなに不安なんだろう?

「安心してください。私はカルのものです。」

「わかってはいるが、リティの身体や心だけじゃなくてあらゆる全てのものを独占したいんだ。」

「カル……よくわからないんですが?」

カルが何を言いたいのかさっぱりわからない。
独占したい?カルからは強い想いがひしひしと伝わってきますが……私の全てを捧げてもまだ足りない?



「…………………言葉づかいがマシューリの方が親しそうだ。」



ポツリと呟いた言葉に目を見開いてそっちを気にしてたの?と突っ込みをいれたくなりましたわ。

「令嬢の時も前世の時の話し方もどちらも私ですわ。」

「俺には前世の記憶なんてない………リティが少しでもこちらの世界に馴染むようにしていたが、マシューリと話してる姿を見ていると俺の方が近くにいるのに遠く感じた。」

ポツリポツリと話してくれるカルからは怒りよりも寂しいと聞こえてきた。
前世の記憶を持っていてもこの世界に馴染めないと辛いこともある。
でも、カルも私から聞いて不安や疎外感があったんだ。
そんなことを考えたことがなかった……自分のことばかりだったんだと初めて気づいた。
カルにぎゅっと抱きついて

「カルの気持ちをわかってあげれてなくてごめんなさい。これから不安や心配をなんでも話して。私に出来ることなら無くしてあげたいから。大好きだよカル。令嬢らしくない私だけど受け入れてくれる?」

ぎゅっと私を抱き締め返してきたカル。
そんなに不安にならないで。私がこうしてこの世界に馴染めてるのは小さい頃から側にはカルがいてくれたから。

「リティを抱きたい。」

えっ?そんな雰囲気でしたか?
そんな率直に言われると………恥ずかしいです。
でも………

「私もカルにめちゃくちゃ愛してほしい…………………かな。」

恥ずかしいことを言ってしまって顔をあげれないでいると、
勢いよく私の顎を持ち上げキスをしてきた。
キスをしたままお姫様抱っこをされてベッドに連れていかれた。

「カッカカル?」

潤んだ瞳に熱のこもったなんともいえない色気が漂ってますよ。
ここまで余裕の無さそうなカルは初めてかもしれない。


「リティが煽ったんだ。責任はとってもらうよ。」


私が返事をする前にカルは私の唇の自由を奪った。
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