お兄様が攻略対象者で妹のモブ令嬢のはずですが、攻略対象者が近づいてきて溺愛がとまりません。

MAYY

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第二章 ダルニア王国編

8.

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「ファシリック公爵令嬢、何度もいってますがマシューリ殿下に近づかないでくださいませ。」

またですか………。
最近悩みの種であるケリウナ公爵令嬢の声が教室に響きわたってますわ。

「ごきげんよう。何度も申しておりますが、マシューリ殿下は私がカルティド殿下の婚約者だからいつも構ってくれているのです。それ以上でもそれ以下でもありませんわ。」

くるりとケリウナ公爵令嬢の方を向きにっこりと笑顔で論じたが

「まあまあまあ、マシューリ殿下に色目を使っておいてどの口がいっているのでしょう。」

私がいつマシュに色目を使いました?
そんなことするつもりもありません。
これ以上濡れ衣を着せられたくないですわね………カルが即刻留学を取り止めにしてしまいますわ。

「マシューリ殿下に近づくと痛い目にあわしますわ。いい気にならないでくださいね。」

「っ…………。」

肩が痛いですわ。
私に近づいてきて肩を思いっきり握られ私にだけ聞こえるように言ってきたケリウナ公爵令嬢は二面性をお持ちのようです。
私が攻撃しても怯んでないので物理攻撃をしてきましたね。
ここはしっかりと言う必要がありますね。

「マシューリ殿下に色目を使ったこともありませんし、カルティド殿下と友好な交流をしてくださりありがたいことでございますわ。ケリウナ公爵令嬢や他の令嬢の方が噂されているようにとても素晴らしいマシューリ殿下ですからカルティド殿下と一緒に留学している私のことも気にかけてくれるのです。皆様が噂をされてるような恋愛だの色目だの全くありませんわ。それこそマシューリ殿下にしつれいではありませんこと?」

言ってやりましたわ。
もう、留学して数日たってますのに噂がどんどんエスカレートしてるようでここで一度しっかり皆様に伝えないと大変なことになる気がしましたわ。
それにマシュが私と仲良いのは前世の記憶繋がりもあって……何てとても言えないわ。

私の気迫にケリウナ公爵令嬢が少し後ずさりながら

「ここは引き下がりましょう。で・す・が、ファシリック公爵令嬢あなたには負けませんわ。私もずっと想ってましたもの。」

勢いよく捨て台詞を言って去っていくケリウナ公爵令嬢。
いや、だから勝ち負けの問題ではなく始めからなにも始まってないですから。

それよりもカルがこのことを知って行動する方が怖いことになりそうです。
たぶんそろそろ………

「何かあったか?」

カルとクラリスお兄様を見るなり野次馬の皆様が一斉に散らばっていきました。
行動が早いですね。
カルとクラリスお兄様に目をつけられると大変なことになるのでその方がいいでしょうね。
特に私絡みだと理性を失いそうなので。

「はい。先程ケリウナ公爵令嬢から話しかけられて……ここの皆様はお互いを思いあっているんですね。」

そう、誰かを陥れるのに一致団結してて素晴らしいですわ。
別のことに向ければもっと良さそうだけれども。

「…………そうか。リティ強がらないようにな。」

クラリスお兄様が私の頭を撫でてきた。
久し振りにクラリスお兄様から撫でられて最高ですわ。
さっきまでの暗い気持ちが明るくなります。
クラリスお兄様大好きです。

「いたっ。」

カルから不意に肩を触られて声が出てしまった。
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