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「なんということだ……暗黒の魔力とは。」
私の授かりしモノを判定してもらいに来たら………やっぱりというか名前からして物騒だった。
周りの反応から見てもヤバイやつなんだろうなぁ。
いや、薄々きづいてたよ。
だって、判定の日が近づくにつれ髪が金髪から黒に変わっていったんだもん。
きれいな金髪が黒に変わるなんて気づくでしょ!?
「おおおっ。なんて温かい光なんだ。プリット令嬢は神聖力を授かっておる。」
みんなが一斉に歓喜に満ちているのを横目に見ていた私に更なる過酷な宣言をしてきた。
「姉のラニア令嬢よ。ソナタの暗黒の魔力は底知れぬ巨大な力であるがゆえに身体が堪えきれなくなり魔力に蝕まれ死を迎えるであろう。」
はっ??何て言った??
私、授かったもので死んじゃうの?
まだ青春真っ只中なのに?
「プリット。凄いぞ。我がアニョテス公爵家の誇りだ。」
「ええ、素晴らしいですわ。さすが私の娘ね。」
二人ともプリットを囲んで満面の笑みだ。
娘達ではないんだ。
私の存在って消えてるんだ……プリットと双子で同じ娘なんだけどね。
もう一人の娘が余命宣告を受けてるってのに神聖力のプリットしか見えてないなんてそれでも親なの?
……もういい。
昔から甘え上手なプリットの方が可愛がられてたもんね。
私も本当は甘えたかったけど甘えようとすると「お姉ちゃんなんだから甘えるばかりじゃなく、まず将来の為に学ぶことをしなさい。」って突き放されてたな。
「……大丈夫かね?」
ほら、あまりにもプリットのことだけだから私に告げた方も気をつかってきたじゃない。
「大丈夫ですわ。まさか余命宣告を受けるとは思ってませんでしたが、これも私の運命。暗黒の魔力を受け入れます。」
淑女の笑みを浮かべお礼を込めた最高のカーテシーをしてその場から離れることにした。
「もし困ったことがあればいつでも訪ねてくるとよい。」
「………ありがとうございます。」
心優しい方。
「もう帰るのか?」
「はい。判定は出ましたし、私は不要ですわ。ノクス殿下もいらしていたのですね。」
王弟殿下のノクス殿下。
学園で一年だけ被ってた時は遠巻きでしか見れなかったのに、皇太后様からお茶によく誘ってもらったからその時にお逢いしてたんだよね。
最近は公務で忙しいのかなかなかお逢いできなかったから久し振りであえて嬉しい。
「アニョテス公爵も地に落ちたな。ラニアほど優秀な逸材を無下にするなど愚かだ。」
「わっ私はそんなノクス殿下に過大評価してもらうような人ではないですわ……いつも妹のプリットの方が人望があついから「いや、プリット嬢よりもラニアの方が素敵だよ。」
言葉を遮られたことよりも、私の頬をスリと触りながら透き通ったブルーの瞳で見つめられて顔に身体中の熱が一気に集まる。
言いたいのに言葉がうまく出てこない。
「それに、金髪も似合っていたが黒髪も似合うな。とても綺麗だ。」
頬から手を離すことなくずっとスリスリされて変な気分になってしまう。
「ほっほほほほ褒められて嬉しいでででです………がみみみみ皆さんこここここわ怖がってましたわ。」
普通に言ったつもりが動揺が隠せてない気がする。
「ははっ、動揺してるぞ?黒髪は珍しいが恐れるなんて馬鹿げてる、気にするな。」
「皆さんの事はいいいいいんです。どどど動揺してるのはノノノノノクス殿下に触られてるから……。」
自分で言ってしまうとなおさら意識してしまった。
からかってるとわかってるけど、私には心臓に悪いよ。
「そうだな、ラニアが呼び方を戻したら離すことを考えよう。」
ニヤリと不敵に笑うノクス殿下……ああ、本気だなこれは。
「公の場で出ないようにしてたのにノクスは意地悪です。」
「俺は逆に公の場でも言ってほしいくらいだ。呼び捨てと気軽に話すことを許した俺の唯一の存在だ。」
なになになに?キュンってきちゃったよ。
ノクスは私をどうしたいの!?
……時々ノクスから言われる言葉が甘く聞こえてくるのは私の気のせいかな?
やっさしいなぁ。さっきの場を見て私を慰めてくれてるんだろうな。
「……もう、これだから……」
好き。
これから青春なのにこの恋も永遠に叶うことなく私は死ぬんだ。
こんなのってない。
私の授かりしモノを判定してもらいに来たら………やっぱりというか名前からして物騒だった。
周りの反応から見てもヤバイやつなんだろうなぁ。
いや、薄々きづいてたよ。
だって、判定の日が近づくにつれ髪が金髪から黒に変わっていったんだもん。
きれいな金髪が黒に変わるなんて気づくでしょ!?
「おおおっ。なんて温かい光なんだ。プリット令嬢は神聖力を授かっておる。」
みんなが一斉に歓喜に満ちているのを横目に見ていた私に更なる過酷な宣言をしてきた。
「姉のラニア令嬢よ。ソナタの暗黒の魔力は底知れぬ巨大な力であるがゆえに身体が堪えきれなくなり魔力に蝕まれ死を迎えるであろう。」
はっ??何て言った??
私、授かったもので死んじゃうの?
まだ青春真っ只中なのに?
「プリット。凄いぞ。我がアニョテス公爵家の誇りだ。」
「ええ、素晴らしいですわ。さすが私の娘ね。」
二人ともプリットを囲んで満面の笑みだ。
娘達ではないんだ。
私の存在って消えてるんだ……プリットと双子で同じ娘なんだけどね。
もう一人の娘が余命宣告を受けてるってのに神聖力のプリットしか見えてないなんてそれでも親なの?
……もういい。
昔から甘え上手なプリットの方が可愛がられてたもんね。
私も本当は甘えたかったけど甘えようとすると「お姉ちゃんなんだから甘えるばかりじゃなく、まず将来の為に学ぶことをしなさい。」って突き放されてたな。
「……大丈夫かね?」
ほら、あまりにもプリットのことだけだから私に告げた方も気をつかってきたじゃない。
「大丈夫ですわ。まさか余命宣告を受けるとは思ってませんでしたが、これも私の運命。暗黒の魔力を受け入れます。」
淑女の笑みを浮かべお礼を込めた最高のカーテシーをしてその場から離れることにした。
「もし困ったことがあればいつでも訪ねてくるとよい。」
「………ありがとうございます。」
心優しい方。
「もう帰るのか?」
「はい。判定は出ましたし、私は不要ですわ。ノクス殿下もいらしていたのですね。」
王弟殿下のノクス殿下。
学園で一年だけ被ってた時は遠巻きでしか見れなかったのに、皇太后様からお茶によく誘ってもらったからその時にお逢いしてたんだよね。
最近は公務で忙しいのかなかなかお逢いできなかったから久し振りであえて嬉しい。
「アニョテス公爵も地に落ちたな。ラニアほど優秀な逸材を無下にするなど愚かだ。」
「わっ私はそんなノクス殿下に過大評価してもらうような人ではないですわ……いつも妹のプリットの方が人望があついから「いや、プリット嬢よりもラニアの方が素敵だよ。」
言葉を遮られたことよりも、私の頬をスリと触りながら透き通ったブルーの瞳で見つめられて顔に身体中の熱が一気に集まる。
言いたいのに言葉がうまく出てこない。
「それに、金髪も似合っていたが黒髪も似合うな。とても綺麗だ。」
頬から手を離すことなくずっとスリスリされて変な気分になってしまう。
「ほっほほほほ褒められて嬉しいでででです………がみみみみ皆さんこここここわ怖がってましたわ。」
普通に言ったつもりが動揺が隠せてない気がする。
「ははっ、動揺してるぞ?黒髪は珍しいが恐れるなんて馬鹿げてる、気にするな。」
「皆さんの事はいいいいいんです。どどど動揺してるのはノノノノノクス殿下に触られてるから……。」
自分で言ってしまうとなおさら意識してしまった。
からかってるとわかってるけど、私には心臓に悪いよ。
「そうだな、ラニアが呼び方を戻したら離すことを考えよう。」
ニヤリと不敵に笑うノクス殿下……ああ、本気だなこれは。
「公の場で出ないようにしてたのにノクスは意地悪です。」
「俺は逆に公の場でも言ってほしいくらいだ。呼び捨てと気軽に話すことを許した俺の唯一の存在だ。」
なになになに?キュンってきちゃったよ。
ノクスは私をどうしたいの!?
……時々ノクスから言われる言葉が甘く聞こえてくるのは私の気のせいかな?
やっさしいなぁ。さっきの場を見て私を慰めてくれてるんだろうな。
「……もう、これだから……」
好き。
これから青春なのにこの恋も永遠に叶うことなく私は死ぬんだ。
こんなのってない。
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