余命宣告を受けた暗黒令嬢は一途な想いを貫く

MAYY

文字の大きさ
2 / 3

2.

しおりを挟む

「いっ………たいです、お父様。」

帰ってくるなり私の頬を容赦なく叩いてきたお父様。
この親ないわ。
私の顔を見るなり暴力振るうとか一気に冷めたわ。

「アニョテス公爵家の恥さらしが。どれだけ私が恥ずかしかったか……それに判定で完全に真っ黒になりおって不気味で近寄るな。」

痛い痛い……髪を引っ張らないでよ。
もう、こんなに鷲掴みされたらハゲちゃうじゃない。

「ふふ。お怒りもわかりますがもうお父様ったらラニアお姉様が苦痛の表情ですわ。やめて差し上げて。」

「なんて優しいのプリットは。こんなラニアにまで優しくしなくてもいいのよ。」

なんの茶番を見せられてるのか。
プリット顔がニヤニヤしてまさに悪役令嬢のようだ。
絶対に家族以外の人の前ではしない顔だね。

双子のプリットと私は顔はパッと見は似ているが激似というわけではない。プリットはいつも愛想が良くニコニコしてるが、私は学ぶことに必死であまり笑わない子だった。
だから余計に周りからしたら可愛くないんだろうな。
どうでもいいけれど。

「プリットは神聖力を授かった。アニョテス公爵家の誇りだ。ラニア、お前は恐れられている暗黒の魔力だ。関わりたくないのが本音だが、それだと体裁が悪い。今の学園までは面倒を見てやるがそれからはどこでの垂れ死んでもいいようにしておけ。」

最低な親だ。
余命宣告をしっかり聞いてたんだあの状況で。
私のことを公爵家から切り離したいんだね。
このまま飛び出したいが荷造りの準備もまだ……今は仕方ない。

「わかりました。」





「あらあら、ラニアお姉様早速荷造りですか?そんな地味なドレスしか持ってないなんて可哀想だわ。見て、私を……ふふふ、とてもキラキラして綺麗でしょう?ラニアお姉様には似合わないですが……きゃはははっ。」

わざわざ私の部屋にきて自分のドレスを回りながら見せつけてきたプリットが超ご機嫌だ。
私が追い出されることがそんなに嬉しいんだ。
双子なのに結局わかりあえなかったな。

「私ね、もしかしたら皇太子妃になるかも~。神聖力だから王族も私を狙ってるみたい、ふふふ。皇太子様は金髪さらさらで金色の瞳の令嬢憧れナンバーワンだから私の相手に文句無しの相応しい人だわ。神聖力がなくても私の虜になってたでしょうけど、より私の皇太子妃が確実になったでしょうね。きゃはははは。……………はぁ、一言も話さないなんて陰気臭いったらないわ。同じ顔なんて本当に嫌だったけど、髪色が変わるだけでこうも変わるのね。これからは私と双子だと言いふらさないでね。ふふふ、今のラニアお姉様……いや、ラニアは真っ黒がお似合いだわ。」

ペラペラとしゃべるな~。
よっぽどお喋りしたいんだね。
私のことそんな風に思ってたんだ。
浮かれて気持ちが大きくなってるんだろうな~。
私は皇太子様のことなんとも思ってないから別にいいけど……否定することも別にしなくていいよね。

それに双子だと皆が知ってるのにわざわざ言いふらすなんてするわけないじゃん。
「双子なのに私のお姉様はいつも地味で性格も物静かで話しかけても返答がないんですの。双子としてお姉様のことが心配で心配で………。」といかにもお姉様を心配してますオーラを令息達にしてたらそりゃー噂にもなるわ。
お陰で知らない令息から幾度も「地味」だの「愛想無し」だの通りすがりに言われたものだ。
これってプリットが原因だよね~って気づいた時にはもう「引き立て役のラニア」なんて令嬢達にまで言われてたのは驚いた。
プリットの影響力は絶大だったな~。
もっと良い方向に社交すればいいのにもったいないな……なんて思ってたら、ここまで嫌われてたなんてね。
まあ、私が学園を出たら会うこともなくなるんだろうな~プリットだけじゃなく両親とも。
願ったり叶ったりだ。

「はあ、なにも言い返せないなんて情けないわ。まっ、私の美貌を前に何も言えないのはわかるわ。親に愛情を注がれてこんなに私は美しいんですもの。ラニアと比べるの可哀想なほどにね。きゃははは。学園にいる間は大人しくしてなさいよ。家の者の不祥事で私の皇太子妃がなくなったら困るから。」


「いっ………たっ。」


「私の引き立て役お疲れ様、ボロボロラ・ニ・ア。あははっ。」

私の髪を根本から握り締めて数本とれた髪を見つめて満足そうに去っていった。
似たもの親子だけど、さすがにハゲは見過ごせない。
急いで確認したら大丈夫だったからよかったものの、物理的攻撃はやめてほしい。


家族よりもノクスの方が私のことを人として見てくれてるよ。
私の命っていつまでなんだろ……ノクスに会いたい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

処理中です...