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19 メイロッテの卒業
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アリサたちの一学年上となるメイロッテたちの卒業が間近になり教師たちが選ぶ優秀生徒十人が発表された。Aクラスの者が多いが、Bクラスからは武術に優れた者がCクラスから刺繍に優れた者がDクラスから美術に優れた者が選ばれていたので生徒たちのテンションは上がる。
生徒たちは一人一枚配られる投票用紙にその十人の中から一人を選び名前を書き投票箱に入れるのだ。卒業式の式典内で発表されるためその間は予想やら期待やらでその話でもちきりになる。
そうして迎えた卒業式。
「優秀生徒へ記念品贈呈」
司会の教師によって十人の名前が呼ばれ十人は壇上に上がり学園長から記念品を受け取った。そして会場の方へと向く。
「ではこの中からみなさんが選んだ最優秀生徒を発表します。
最優秀生徒は……メイロッテ・コンティ!」
割れんばかりの拍手と歓声にメイロッテは一つお辞儀をして手を振った。
『ふざけんな! あんな女の何がいいのよ!』
『メイロッテのやつ調子に乗りやがって!』
パレシャは美術が得意で美形の男子生徒に投票して図々しくも投票してやったと本人にアピールして冷たくあしらわれていたし、ズバニールにいたっては自分より優秀な者を認める心の広さは持ち合わせていないので無投票である。
そのような状況でのメイロッテたちの卒業パーティーではズバニールはメイロッテの入場エスコートをするとダンスもせずにとっとと帰ってしまい、卒業生からパートナーに選ばれるわけもないパレシャは参加もしていなかった。在校生は生徒会の生徒とボランティアでパーティーを手伝う生徒だけで二人は生徒会ではないしボランティアをするような者ではない。
ズバニールは講堂を抜け出すと月夜の明かりを頼りに中庭の噴水前に急いだ。
「夜に火の明かりもないのにこんなに明るいなんてさすがに乙女ゲームだよね。こんなに離れているのに音楽が聞こえるっていうのもありえなくない?」
ベンチに座るパレシャは月を見上げて独り言を呟いた。
「やっとイベントらしいイベントができそうだわ」
パレシャはグッと気合を入れた。『よるコン』では生徒会に入っているパレシャが休憩時間に中庭の噴水前で休んでいると一番好感度の高いキャラクターが現れてダンスをすることになっている。
「ズバニールも生徒会長じゃないし私も生徒会に入れなかったのにズバニールが会おうって言ってくれてびっくりしたよねぇ」
ゲーム内ではその学年各クラス二人選ばれる生徒会役員にCクラスからパレシャとテッドが選ばれるのだが現在Eクラスで浮いている状況のパレシャが選ばれるわけはない。
「待たせたな」
パレシャが物思いに耽っているところに後ろからズバニールが声をかけた。パレシャは笑顔で振り返る。
『うわぁ! かっこいい…』
緑の髪を後ろに撫でつけいつもにも増して凛々しくしているズバニールは銀のタキシードが似合っている。
「月の神様みたい…」
「それならば夜空を守る天使とダンスをする権利はあるかな?」
ズバニールはパレシャに手を差し出した。
「喜んで!」
飛び上がるように立ち上がったパレシャはその勢いのままズバニールに抱きついた。幼子ならともかく十七歳になって異性に抱きつくなど淑女らしからぬことだがここに咎める者はいない。驚いたズバニールであったがそっと抱きしめ返した。
二人はぎこちないステップを踏み始めたが二人きりなので気にするものはなにもなく互いの瞳には互いしか映らない。
「そのドレス、とても似合っている。本物の天使のようだ」
「プレゼントしてくれてありがとう。ズバニールとお揃いだなんてうれしい」
藍色の夜空に浮かぶ月は銀色に光り、そよ風が木々を優しく揺らしていた。
〰 〰 〰
ズバニールの誕生パーティーの場ではまだズバニールとメイロッテが対峙している。
メイロッテたちの卒業パーティーの日のダンスを思い出しよだれを流しそうになっているパレシャはさておき、パレシャに抱きつかれて愉悦に浸るズバニールはさらに鼻の穴を大きくしてメイロッテを言い負かす気満々であった。
「そのような暴言だけではないぞ。お前はアリサに酷い行いまでさせていたな!」
「具体的にはアリサはどのようなことをいたしましたの?」
「命じたお前が知らぬわけがあるまい! だがここに皆の前で詳らかにしてやろう!」
ズバニールはパレシャを抱く力を強めた。
「アリサはパレシャの文房具を取り上げたりノートを破ったり雨上がりの水たまりに突き飛ばしたりしたのだぞ!」
パレシャはズバニールの胸に顔を埋め震えていた。当然演技で。
『あの震え方が演技ですか? 説明を受けていなかったらわたくしも信じてしまっていたでしょうね』
メイロッテはズバニールの言動よりパレシャの演技に関心を寄せていた。
生徒たちは一人一枚配られる投票用紙にその十人の中から一人を選び名前を書き投票箱に入れるのだ。卒業式の式典内で発表されるためその間は予想やら期待やらでその話でもちきりになる。
そうして迎えた卒業式。
「優秀生徒へ記念品贈呈」
司会の教師によって十人の名前が呼ばれ十人は壇上に上がり学園長から記念品を受け取った。そして会場の方へと向く。
「ではこの中からみなさんが選んだ最優秀生徒を発表します。
最優秀生徒は……メイロッテ・コンティ!」
割れんばかりの拍手と歓声にメイロッテは一つお辞儀をして手を振った。
『ふざけんな! あんな女の何がいいのよ!』
『メイロッテのやつ調子に乗りやがって!』
パレシャは美術が得意で美形の男子生徒に投票して図々しくも投票してやったと本人にアピールして冷たくあしらわれていたし、ズバニールにいたっては自分より優秀な者を認める心の広さは持ち合わせていないので無投票である。
そのような状況でのメイロッテたちの卒業パーティーではズバニールはメイロッテの入場エスコートをするとダンスもせずにとっとと帰ってしまい、卒業生からパートナーに選ばれるわけもないパレシャは参加もしていなかった。在校生は生徒会の生徒とボランティアでパーティーを手伝う生徒だけで二人は生徒会ではないしボランティアをするような者ではない。
ズバニールは講堂を抜け出すと月夜の明かりを頼りに中庭の噴水前に急いだ。
「夜に火の明かりもないのにこんなに明るいなんてさすがに乙女ゲームだよね。こんなに離れているのに音楽が聞こえるっていうのもありえなくない?」
ベンチに座るパレシャは月を見上げて独り言を呟いた。
「やっとイベントらしいイベントができそうだわ」
パレシャはグッと気合を入れた。『よるコン』では生徒会に入っているパレシャが休憩時間に中庭の噴水前で休んでいると一番好感度の高いキャラクターが現れてダンスをすることになっている。
「ズバニールも生徒会長じゃないし私も生徒会に入れなかったのにズバニールが会おうって言ってくれてびっくりしたよねぇ」
ゲーム内ではその学年各クラス二人選ばれる生徒会役員にCクラスからパレシャとテッドが選ばれるのだが現在Eクラスで浮いている状況のパレシャが選ばれるわけはない。
「待たせたな」
パレシャが物思いに耽っているところに後ろからズバニールが声をかけた。パレシャは笑顔で振り返る。
『うわぁ! かっこいい…』
緑の髪を後ろに撫でつけいつもにも増して凛々しくしているズバニールは銀のタキシードが似合っている。
「月の神様みたい…」
「それならば夜空を守る天使とダンスをする権利はあるかな?」
ズバニールはパレシャに手を差し出した。
「喜んで!」
飛び上がるように立ち上がったパレシャはその勢いのままズバニールに抱きついた。幼子ならともかく十七歳になって異性に抱きつくなど淑女らしからぬことだがここに咎める者はいない。驚いたズバニールであったがそっと抱きしめ返した。
二人はぎこちないステップを踏み始めたが二人きりなので気にするものはなにもなく互いの瞳には互いしか映らない。
「そのドレス、とても似合っている。本物の天使のようだ」
「プレゼントしてくれてありがとう。ズバニールとお揃いだなんてうれしい」
藍色の夜空に浮かぶ月は銀色に光り、そよ風が木々を優しく揺らしていた。
〰 〰 〰
ズバニールの誕生パーティーの場ではまだズバニールとメイロッテが対峙している。
メイロッテたちの卒業パーティーの日のダンスを思い出しよだれを流しそうになっているパレシャはさておき、パレシャに抱きつかれて愉悦に浸るズバニールはさらに鼻の穴を大きくしてメイロッテを言い負かす気満々であった。
「そのような暴言だけではないぞ。お前はアリサに酷い行いまでさせていたな!」
「具体的にはアリサはどのようなことをいたしましたの?」
「命じたお前が知らぬわけがあるまい! だがここに皆の前で詳らかにしてやろう!」
ズバニールはパレシャを抱く力を強めた。
「アリサはパレシャの文房具を取り上げたりノートを破ったり雨上がりの水たまりに突き飛ばしたりしたのだぞ!」
パレシャはズバニールの胸に顔を埋め震えていた。当然演技で。
『あの震え方が演技ですか? 説明を受けていなかったらわたくしも信じてしまっていたでしょうね』
メイロッテはズバニールの言動よりパレシャの演技に関心を寄せていた。
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