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18 アリサの決意
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珍しく怒りを隠そうともしないアリサが険しい顔でケネシスを睨みつけていた。
『お怒りのお姿も神々しい…。このようなお姿を見ることができた男が僕だけだということもまた喜びに耐えられない』
ブルリと震えたケネシスは本人こそ神々しい笑顔になりながら不謹慎なことを考えていた。
「ケネシス様。お伺いしたいことがございますの」
「アリサ嬢。なんなりと」
立ち上がってまるで主従関係のようなお辞儀をするケネシスにアリサは呆れたように嘆息し態度も言葉も和らげた。
「ケネシス様。もしやあの図書室での件でユノラド男爵令嬢様から執拗なお誘いを受けていらっしゃいますの?」
怒りを越えたアリサは心配そうに眉を寄せる。
「いえ。知人扱いをされそうな気配だったので回避しております」
「それで近頃は食堂にいらっしゃらなかったのですね」
「? どうしてそれを?」
アリサも食堂には行っていないはずであるのでケネシスは首を傾げた。
「先程ケネシス様のファンと思われる方々が噂をしておりましたから。久しぶりに貴方様のお姿をご覧になり興奮された様子でしたわ。
わたくしのせいで申し訳ございません」
「なぜアリサ嬢のせいになるのですか?」
「図書室でわたくしがユノラド男爵令嬢様とご一緒していたばかりにケネシス様にご迷惑をおかけすることになってしまいましたわ」
「あの図書室での一件を見るにアリサ嬢も『あれ』を避けたいと思っていらっしゃったのではないのですか?」
「あれ?」
「ぷっ」「ふふふ」「まあ、ふっ」
ケネシスを紳士だと思っていた三人はケネシスがご令嬢を『あれ』呼ばわりしたことに驚いたが笑ってしまう。
「ふふふ。そうなのですけど一人では避けきれずお友達の皆様やテッド様のご友人の皆様にもお助けいただいておりますの。今日のご様子ですとケネシス様もご助力いただいておりましたのね」
「僕は特に何も…」
アリサは悲しげに頭を振った。
「いえ。あの方がわたくしどもが食事を終える頃に食堂に現れたのはケネシス様を探しに行かれていたのでしょう。それほどケネシス様はここ数日あの方を翻弄し食堂から遠ざけてくださったに違いありません」
『ああ。なんて思慮深く聡明で他人を慮れるお人柄のお方なのだ』
ケネシスはアリサを愛おし気に見つめている。目を伏せ気味のアリサは気が付かないが友人二人はその様子にホッとしているようだ。
アリサがグッと表情を変えた。
「わたくし、決めました。これ以上お友達の皆様に御迷惑をおかけしたくありませんもの」
「アリサ嬢!」
「「アリサ様!」」
何を決めたのかはわからないがアリサが心配するほど迷惑をかけられたと思っていないしアリサを助けることは当たり前なことだと思っている三人は慌てた。
「迷惑だなどとはは思っておりませんよ」
「ええ。わたくしたちもですわ。ご一緒に考えましょう」
「アリサ様がお一人でお悩みになることではございませんわ」
アリサは二人のご令嬢の顔を見て涙ぐむ。
「お二人共。ありがとうございます。でも、パレシャさんとのお話を考慮しますと、おそらくお義姉様にも関わりそうですの」
アリサのメイロッテ好きは友人の間では有名である。
「もしわたくしがお二人にご理解いただけない行動をしましてもお友達でいていただけますか?」
「「もちろんですわ!」」
蚊帳の外になってしまったケネシスは苦笑いで三人の様子を見ていた。
翌日からパレシャはズバニールを誘って昼食をとることにしていた。
『テッドの手下たちがケネシスまで守るなんて思わなかったわ。とりあえずズバニールだけでもキープしておかなくちゃ! ズバニールとのことまでテッドの手下に邪魔されちゃたまんないっ。そいつらに見つからないようにしなくちゃ!』
壁際の柱の影になるテーブルを選んだパレシャは数日は無事にズバニールとのランチを熟した。もちろん貧乏でもないのに貧乏アピールをしてズバニールの庇護欲やら優越感やら下心やらを刺激することは忘れていない。
そこにアリサが二人の友人と一緒に現れたのだった。
『わたくしがこの方を避けていると他の方が困ることになるなど予想しておりませんでしたわ。
いいでしょう。ユノラド男爵令嬢様のご希望通りにしてさしあげますわ』
アリサは気合を入れて食堂に赴いていた。そして自分の昼食トレーを持ってパレシャの席へと向かう。
『まあ! なんて質素な昼食でしょう?! それほどまでに哀れなご自分を演じたいのかしら?』
アリサは呆れながらもその昼食に辛辣だが真実を述べ、ついでにズバニールにも苦言を呈してその場を辞した。
〰 〰 〰
誕生パーティーの会場ではズバニールにとってメイロッテより優位に立つべき事案を述べているにも関わらず平然としているメイロッテに苛立ちを感じていた。それはパレシャも同様であった。
『なんでメイロッテは同級生じゃないのよ。更には最優秀生徒として卒業だなんて今でも信じられない!』
パレシャは知らず知らずのうちに悔しさが滲み出てズバニールの胸元の襟をギュッと握っていた。
『でもあの時のズバニールもかっこよかったなあ』
パレシャは月光に照らされたズバニールのことを思い出しうっとりした目でズバニールを見上げた。
今日の主役の一人であるズバニールは確かにかっこはいい。
『お怒りのお姿も神々しい…。このようなお姿を見ることができた男が僕だけだということもまた喜びに耐えられない』
ブルリと震えたケネシスは本人こそ神々しい笑顔になりながら不謹慎なことを考えていた。
「ケネシス様。お伺いしたいことがございますの」
「アリサ嬢。なんなりと」
立ち上がってまるで主従関係のようなお辞儀をするケネシスにアリサは呆れたように嘆息し態度も言葉も和らげた。
「ケネシス様。もしやあの図書室での件でユノラド男爵令嬢様から執拗なお誘いを受けていらっしゃいますの?」
怒りを越えたアリサは心配そうに眉を寄せる。
「いえ。知人扱いをされそうな気配だったので回避しております」
「それで近頃は食堂にいらっしゃらなかったのですね」
「? どうしてそれを?」
アリサも食堂には行っていないはずであるのでケネシスは首を傾げた。
「先程ケネシス様のファンと思われる方々が噂をしておりましたから。久しぶりに貴方様のお姿をご覧になり興奮された様子でしたわ。
わたくしのせいで申し訳ございません」
「なぜアリサ嬢のせいになるのですか?」
「図書室でわたくしがユノラド男爵令嬢様とご一緒していたばかりにケネシス様にご迷惑をおかけすることになってしまいましたわ」
「あの図書室での一件を見るにアリサ嬢も『あれ』を避けたいと思っていらっしゃったのではないのですか?」
「あれ?」
「ぷっ」「ふふふ」「まあ、ふっ」
ケネシスを紳士だと思っていた三人はケネシスがご令嬢を『あれ』呼ばわりしたことに驚いたが笑ってしまう。
「ふふふ。そうなのですけど一人では避けきれずお友達の皆様やテッド様のご友人の皆様にもお助けいただいておりますの。今日のご様子ですとケネシス様もご助力いただいておりましたのね」
「僕は特に何も…」
アリサは悲しげに頭を振った。
「いえ。あの方がわたくしどもが食事を終える頃に食堂に現れたのはケネシス様を探しに行かれていたのでしょう。それほどケネシス様はここ数日あの方を翻弄し食堂から遠ざけてくださったに違いありません」
『ああ。なんて思慮深く聡明で他人を慮れるお人柄のお方なのだ』
ケネシスはアリサを愛おし気に見つめている。目を伏せ気味のアリサは気が付かないが友人二人はその様子にホッとしているようだ。
アリサがグッと表情を変えた。
「わたくし、決めました。これ以上お友達の皆様に御迷惑をおかけしたくありませんもの」
「アリサ嬢!」
「「アリサ様!」」
何を決めたのかはわからないがアリサが心配するほど迷惑をかけられたと思っていないしアリサを助けることは当たり前なことだと思っている三人は慌てた。
「迷惑だなどとはは思っておりませんよ」
「ええ。わたくしたちもですわ。ご一緒に考えましょう」
「アリサ様がお一人でお悩みになることではございませんわ」
アリサは二人のご令嬢の顔を見て涙ぐむ。
「お二人共。ありがとうございます。でも、パレシャさんとのお話を考慮しますと、おそらくお義姉様にも関わりそうですの」
アリサのメイロッテ好きは友人の間では有名である。
「もしわたくしがお二人にご理解いただけない行動をしましてもお友達でいていただけますか?」
「「もちろんですわ!」」
蚊帳の外になってしまったケネシスは苦笑いで三人の様子を見ていた。
翌日からパレシャはズバニールを誘って昼食をとることにしていた。
『テッドの手下たちがケネシスまで守るなんて思わなかったわ。とりあえずズバニールだけでもキープしておかなくちゃ! ズバニールとのことまでテッドの手下に邪魔されちゃたまんないっ。そいつらに見つからないようにしなくちゃ!』
壁際の柱の影になるテーブルを選んだパレシャは数日は無事にズバニールとのランチを熟した。もちろん貧乏でもないのに貧乏アピールをしてズバニールの庇護欲やら優越感やら下心やらを刺激することは忘れていない。
そこにアリサが二人の友人と一緒に現れたのだった。
『わたくしがこの方を避けていると他の方が困ることになるなど予想しておりませんでしたわ。
いいでしょう。ユノラド男爵令嬢様のご希望通りにしてさしあげますわ』
アリサは気合を入れて食堂に赴いていた。そして自分の昼食トレーを持ってパレシャの席へと向かう。
『まあ! なんて質素な昼食でしょう?! それほどまでに哀れなご自分を演じたいのかしら?』
アリサは呆れながらもその昼食に辛辣だが真実を述べ、ついでにズバニールにも苦言を呈してその場を辞した。
〰 〰 〰
誕生パーティーの会場ではズバニールにとってメイロッテより優位に立つべき事案を述べているにも関わらず平然としているメイロッテに苛立ちを感じていた。それはパレシャも同様であった。
『なんでメイロッテは同級生じゃないのよ。更には最優秀生徒として卒業だなんて今でも信じられない!』
パレシャは知らず知らずのうちに悔しさが滲み出てズバニールの胸元の襟をギュッと握っていた。
『でもあの時のズバニールもかっこよかったなあ』
パレシャは月光に照らされたズバニールのことを思い出しうっとりした目でズバニールを見上げた。
今日の主役の一人であるズバニールは確かにかっこはいい。
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