【完結】お義姉様が悪役令嬢?わたくしがヒロインの親友?そんなお話は存じあげません

宇水涼麻

文字の大きさ
57 / 57

57 最終話 つう?

しおりを挟む
 どうしてもその国を選んだことがアリサには納得できない。

「本当に変わった娘だったな。「ルナセイラが落とせないならつうの攻略をすればいいんだ。あの国へ行かなくちゃ」とか言っていたようだ」

「つうの攻略?」

 首を傾げるアリサにカイザーは首肯する。

「ルナセイラがその言葉を聞き逃さず、旅費をルナセイラの金から半額持つから送り出せと言ったのだ。メイロッテのためにもズバニールのためにもあの娘はこの国にいない方が良かろうとワシも判断した」

「そうですわね……」

「「今度こそ逆ハーがある世界だ」とかなんとか言っていたようだぞ。意味がわからん」

「まあ! それはまた……」
 
 アリサの中で繋がった。

『やっぱり、パレシャさんはズバニールたちとのことをゲームか物語だと思っていて、メイロッテお義姉様おねえさまを悪役令嬢にしたてあげるつもりでしたのね。
そして二国向こうの国を舞台にしてつうがあるようですわ』

 アリサは『よるこん』を知らない。だが前世での知識とパレシャの態度からあたりは付けていた。

つうの世界などわたくしには関係ありませんわ。バイタリティはありそうですから本当に男主人公たちと恋ができるかもしれませんね。でも現実として逆ハーレムは絶対に無理だと思いますけど……。気が付いてくれることを願うだけですわ』

「ご本人のご希望を尊重して差し上げたのでしたら一番良いことだと思いますわ」

易易やすやすと帰ってこれはしないから安心できる。ズバニールもホッとしていたようだ」

 アリサも今生の別れとなったことに安堵したのだった。

 〰 〰 〰

「おい。下船だ。支度しな」

 桶に真っ青な顔を突っ込んでいた少女に声がかけられた。

「やっと……やっと着いたのね」

「荷物はこれだな」

 父親ほどの年齢の船員は大きなトランク二つを軽々と持って部屋を出た。少女はフラフラとそれに続く。

 甲板に出た少女は目を見開いてワナワナと震えながら遠くを指差した。

「どこが着いたのよっ! まだあんなに遠いじゃないっ!」

 顔色を青から赤へ変えた少女の傲慢な態度にも船旅で慣れた船員は咎めることもなく答える。

「この船が入れる港が無いんだよ。こいつがあんたをおぶって降りてやるから心配すんな」

 呼びに来た船員よりガタイのいい船員が頷く。

「え?! 嫌よそんなの! おぶわれるって超密着じゃん!」

「なら、この縄梯子を降りれるのか?」

 船から降ろされた縄梯子の先に小さな小舟が用意されていて少女の荷物はすでにロープで降ろされていた。その高さに再び顔を青くする。

「あんたは軽いから荷物のように降ろしてもいいぞ。ああ! その方が安全かもしれないな」

 船員は名案が浮かんだと手をポンと叩いてニヤニヤと意地悪を成功させた子供のように笑った。

「いいわよっ! おぶわれてあげるわっ! でもちゃんとしばってよねっ!」

「もちろんだ。こっちもあんたに暴れられたらたまらんからな」

 なんとか無事に降りた少女を乗せた小舟は小さな港に到着した。

「なあ、パレシャ。悪いことは言わねえ。隣の国まで戻るからそっちにしたらどうだ? 生きていくならそっちの方が楽だぞ」

 長い船旅で娘のような情が湧いている船員は心配そうに呟いた。

「私の王子様が待ってるのにここで戻るなんて嫌よ」

「そこまで言うならいいけどよ。ちょっと待ってな。お前たちは買い出しを頼んだぞ」

「「へいっ」」

 他の二人の船員は市場へ向かう。しばらくして気の良さそうな女性を連れて戻ってきた。

「今から王都へ向かうそうだ。便乗させてくれるってよ」

 船員が荷物を持って二人は女性に付いて行く。

「金は払ったけど待遇はアテにするなよ。ここまでのあんたがラッキーだったんだぞ」

「どこがラッキーだったのよっ! 私はこれからなのっ!」

「はいはい。王子様を捕まえるんだよな。まあ、頑張りな」

 女性が指定したところに荷物を載せパレシャも乗り込むと馬車はすぐに出立した。

 途中途中で商売や買い出しをしながらの旅なので二週間かけて王都へ到着するのだが、そこでパレシャはパッカリと口を開けることになる。

 王都を囲む塀は建設途中だった……。

「え? 挿し絵と違い過ぎるんたけど……」

 パレシャは覚えていなかったのだ。つうの舞台は百年後であったことを……。

「うそでしょう!!!!」

 空に向かって悲痛な声で叫んだ。

 そして百年後、悪役令嬢が売られたのは伝説のスーパーオーナーパーシーが設立させた娼館であった。

「悪い噂が付き纏う貴族令嬢が売られてきたら親身になってあげて。きっと根は悪い子じゃないから」

 教えを守った後継者のおかげで悪役令嬢だった女性は店のナンバーワンになった。

 ~fin~

 ここまでお付き合いいただきありがとうございました。元気なパレシャは長寿を全うしたと作者は考えております。
 次作も是非よろしくお願いします。
 
しおりを挟む
感想 13

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(13件)

秋桜
2023.12.01 秋桜
ネタバレ含む
2023.12.02 宇水涼麻

いつも応援嬉しいです。
ざまぁではなく自爆の自覚がありますwwwたぶん
たくましい女の子なので大丈夫でしょう

今後ともよろしくお願いします

解除
猫3号
2023.12.01 猫3号
ネタバレ含む
2023.12.01 宇水涼麻

www忠告を聞ける子ならこうはなりませんwww

お直しありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

解除
猫3号
2023.11.20 猫3号

49話が50話になったということで、前回の49話の誤字報告を50話に適用願います。

2023.11.20 宇水涼麻

りょーかーい!😉

解除

あなたにおすすめの小説

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

王太子妃が我慢しなさい ~姉妹差別を受けていた姉がもっとひどい兄弟差別を受けていた王太子に嫁ぎました~

玄未マオ
ファンタジー
メディア王家に伝わる古い呪いで第一王子は家族からも畏怖されていた。 その王子の元に姉妹差別を受けていたメルが嫁ぐことになるが、その事情とは? ヒロインは姉妹差別され育っていますが、言いたいことはきっちりいう子です。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

【完結】婚約破棄はいいですよ?ただ…貴方達に言いたいことがある方々がおられるみたいなので、それをしっかり聞いて下さいね?

水江 蓮
ファンタジー
「ここまでの悪事を働いたアリア・ウィンター公爵令嬢との婚約を破棄し、国外追放とする!!」 ここは裁判所。 今日は沢山の傍聴人が来てくださってます。 さて、罪状について私は全く関係しておりませんが折角なのでしっかり話し合いしましょう? 私はここに裁かれる為に来た訳ではないのです。 本当に裁かれるべき人達? 試してお待ちください…。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。