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39 エイダの泣き演技
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私エイダに来たマクナイト伯爵様からの縁談の条件には白い結婚であることが含まれていたのだけどそんなものは後でどうにでもなるはずだと思っていたわ。だってそれほど私は男から見て魅力的なのだもの。
だけど結婚して一週間しても二週間しても旦那様は大きなベッドとはいえ同じベッドで寝ているにも関わらず私に手を出してこない。
私はオールポッド侯爵家でのことがあったから余計に男の子が産みたかった。この家を私の産んだ子供のものにしておいて私はバリーと一緒になってからもその子供に助けてもらうつもりだ。
シビレを切らして私から誘いをかけたけど完全に拒否されてそれでも三回ほど試したが全くダメだった。
その頃には使用人の半分が私の言うことを聞く者だったからいざとなったら例の薬でも飲ませるつもりだった。
『オールポッド侯爵家で実証済なんだから。マクナイト伯爵様はちょうどあの頃のオールポッド侯爵様と同じくらいのお年だけど使い方を気をつければ大丈夫でしょ』
私はゲラティル子爵領へ戻ってから友人にさりげなく妊娠しやすい時期について聞いておいた。オールポッド侯爵様の時のように毎日飲ませて腹上死ではたまったものじゃないから勉強したのよ。
旦那様が私に手をださないからちょっぴり不安だったけどもう一つの作戦ダリアナとボブバージルを結婚させることを成功させればいいからそんな不安も気にしないようにした。
それさえ気にしなければドレスや宝飾品なども決められた予算とはいえ購入できたし美味しいお料理も食べることができたし旦那様が王城でもお力があるらしくて社交は必要ないらしいから楽な生活だった。
『友達から前妻は社交界で人気だったって聞いていたから社交しなくていいのは助かったわ。それにしても美人でもないくせに人気ってどういうことよ。きっと知識をひけらかせて人気取りしていたのだわ。嫌な女!』
私は狭い方の応接室に飾られている前妻の絵に毒づいた。この部屋は時々しか使わないからほとんど目にはしない絵だけど私を迎え入れたのに残しておくことがすでにムカつく。
「私が妊娠するかダリアナとボブバージルが結婚したら捨ててやるわ」
私は扇を投げつけて狭い応接室を出る。
だけどダリアナとボブバージルが懇意にならないままボブバージルが凶行に走った。
ボブバージルがクラリッサの部屋へ入っていくのを見てから私も部屋に戻りメイドに風呂を入れさせ入念なマッサージをさせた。
『イライラしたらシワが増えちゃうじゃない! こういうときこそ美容が大事だわ』
私の世話をしているメイドの顔が青く見えるのは気のせいだろう。
美容タイムが終わりお茶をしているとメイドが旦那様の帰宅を知らせてきたのでソファーに倒れ込んで待つ。玄関に出迎えをしなかったのは初めてだったからすぐに部屋まで私の様子を見に来た。
「どうした? 具合でも悪いのか?」
『本当に優しい人。優しいだけの人』
男らしさも刺激もない旦那様が心配そうにソファーに横になる私の元までやってきて手を引いてくれる。
「ええ、そうなの。ボブバージル様がいらっしゃってね。大暴れなさったのよ。ギャレット公爵家の名前を出して脅されもしましたわ」
私は渾身の泣きの表情を見せる。それでグラつかない男はいない。
「バージルが……か?」
「そうよ……わ、私……」
ハンカチを握りしめた手を目元へ運び絶妙に俯く。
「バージルはどこだ? 帰ったのか?」
『ここまで見せてもボブバージルに嫌悪感を持たないの? 旦那様は優しすぎるのも考えものねっ』
儚げな演技は続行する。
「執事が報告に来ないからまだこの屋敷にいると思いますけど……」
「とにかくバージルから話を聞いてみるよ。しばらく休んでいなさい」
旦那様が部屋を出た。私はボブバージルに仕返しできるだろうとほくそ笑んだ。なんと言っても私と旦那様は家族なんだから。
だけど結婚して一週間しても二週間しても旦那様は大きなベッドとはいえ同じベッドで寝ているにも関わらず私に手を出してこない。
私はオールポッド侯爵家でのことがあったから余計に男の子が産みたかった。この家を私の産んだ子供のものにしておいて私はバリーと一緒になってからもその子供に助けてもらうつもりだ。
シビレを切らして私から誘いをかけたけど完全に拒否されてそれでも三回ほど試したが全くダメだった。
その頃には使用人の半分が私の言うことを聞く者だったからいざとなったら例の薬でも飲ませるつもりだった。
『オールポッド侯爵家で実証済なんだから。マクナイト伯爵様はちょうどあの頃のオールポッド侯爵様と同じくらいのお年だけど使い方を気をつければ大丈夫でしょ』
私はゲラティル子爵領へ戻ってから友人にさりげなく妊娠しやすい時期について聞いておいた。オールポッド侯爵様の時のように毎日飲ませて腹上死ではたまったものじゃないから勉強したのよ。
旦那様が私に手をださないからちょっぴり不安だったけどもう一つの作戦ダリアナとボブバージルを結婚させることを成功させればいいからそんな不安も気にしないようにした。
それさえ気にしなければドレスや宝飾品なども決められた予算とはいえ購入できたし美味しいお料理も食べることができたし旦那様が王城でもお力があるらしくて社交は必要ないらしいから楽な生活だった。
『友達から前妻は社交界で人気だったって聞いていたから社交しなくていいのは助かったわ。それにしても美人でもないくせに人気ってどういうことよ。きっと知識をひけらかせて人気取りしていたのだわ。嫌な女!』
私は狭い方の応接室に飾られている前妻の絵に毒づいた。この部屋は時々しか使わないからほとんど目にはしない絵だけど私を迎え入れたのに残しておくことがすでにムカつく。
「私が妊娠するかダリアナとボブバージルが結婚したら捨ててやるわ」
私は扇を投げつけて狭い応接室を出る。
だけどダリアナとボブバージルが懇意にならないままボブバージルが凶行に走った。
ボブバージルがクラリッサの部屋へ入っていくのを見てから私も部屋に戻りメイドに風呂を入れさせ入念なマッサージをさせた。
『イライラしたらシワが増えちゃうじゃない! こういうときこそ美容が大事だわ』
私の世話をしているメイドの顔が青く見えるのは気のせいだろう。
美容タイムが終わりお茶をしているとメイドが旦那様の帰宅を知らせてきたのでソファーに倒れ込んで待つ。玄関に出迎えをしなかったのは初めてだったからすぐに部屋まで私の様子を見に来た。
「どうした? 具合でも悪いのか?」
『本当に優しい人。優しいだけの人』
男らしさも刺激もない旦那様が心配そうにソファーに横になる私の元までやってきて手を引いてくれる。
「ええ、そうなの。ボブバージル様がいらっしゃってね。大暴れなさったのよ。ギャレット公爵家の名前を出して脅されもしましたわ」
私は渾身の泣きの表情を見せる。それでグラつかない男はいない。
「バージルが……か?」
「そうよ……わ、私……」
ハンカチを握りしめた手を目元へ運び絶妙に俯く。
「バージルはどこだ? 帰ったのか?」
『ここまで見せてもボブバージルに嫌悪感を持たないの? 旦那様は優しすぎるのも考えものねっ』
儚げな演技は続行する。
「執事が報告に来ないからまだこの屋敷にいると思いますけど……」
「とにかくバージルから話を聞いてみるよ。しばらく休んでいなさい」
旦那様が部屋を出た。私はボブバージルに仕返しできるだろうとほくそ笑んだ。なんと言っても私と旦那様は家族なんだから。
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