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61【最終話】薄紅色のドレス
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ゲラティル子爵家からエイダ母娘の送致監視を敢えて緩めたように見せるため近衛兵を撤退させ我が家ギャレット公爵家の兵の一人に平民服で追跡させた。
「エイダの足取りから情報屋がわかりました。貸金庫屋も営む者でした。
経営者の話では平民の少女の話を知っていたというのはハッタリだろうということです。オールポッド小侯爵の性対象が幼女であったことは知っていたようです」
「ずいぶんと肝のすわった女だな」
「ですが情報には疎く流行遅れのドレスや宝飾品を自慢気に身にまとっていると笑っていました」
「自慢の美しさもかなたしだな」
「例の噂の出処はその情報屋でした。エイダから金を受け取り噂を流す依頼を受けたそうです」
「理由は?」
「金を受け取れば理由など聞かないものだと言っておりました」
『近衛兵が言っていたようにオールポッド侯爵家に戻るためだろうな。
真実と嘘を織り交ぜながら話をして近衛兵さえも信じ込ませるとは恐ろしい女だ』
「国境門を越えましたので追跡は終了しましたがよろしかったでしょうか?」
「そこまで度胸があるならわざわざ危険を冒さずとも他国でも十分に生きられるだろう」
「はい。情報屋の話では数年は困らないだけの資産を持っているそうです。ただし男に貢がなければ」
「何?」
「ゲラティル子爵領で商いをする者に貢いでいるようで……その……」
私は兵の言葉を待った。私の視線を感じた兵は喉を一つ鳴らして息を吸う。
「情報屋はダリアナがその男の子供だと確信しておりました」
私は知らない仲ではない亡きオールポッド侯爵を思い出し額に手を当てる。優しき男で美しい妻と可愛い娘を自慢していたが妻が人見知りという理由で二人と会うことはできなかった。私より少々年上ではあったが心臓に持病があったようで病死したのだ。
「ダリアナがその男の子供であったためエイダは焦りオールポッド侯爵との間に子をもうけるため男性用の性行為促進剤を情報屋から購入していたそうです」
さすがに絶句した。それが心臓によくない薬であることはよく知られていることだ。
「現オールポッド侯爵様に聴取いたしますか?」
「いや。死んだ者は戻ってこないしエイダもこの国には戻るまい。現侯爵は長男の死に続き次男のことで憔悴なさっている。
それにそんな女との婚姻を決めたマクナイト伯爵を苦しめることにもなりかねない。お前と私、そして国王陛下だけの秘密とする」
「かしこまりました」
私は重い足取りで兄である国王陛下の元へ向かった。
〰 〰 〰
マクナイト伯爵様からエイダ様との離縁を聞いた。クララもいろいろなことを納得したという。
僕は以前より頻繁にクララに会いに来ていてクララと一緒に家庭教師との勉強もしている。
「クララ。学園に入るまで一緒にがんばろうね」
「ええ。学園で同じクラスになれると嬉しいわね」
「お二人がこのままお勉強なさればAクラス間違いなしですよ」
家庭教師のお墨付に僕たちは目を合わせて笑顔になった。
こうして一ヶ月後に僕は大きな箱を護衛に持ってもらってマクナイト伯爵邸へクララを訪ねた。
「クララ。開けてみて!」
玄関ホールに護衛が跪きクララが箱を開けやすくする。クララはそっと箱を開いた。
「まあ!!!」
クララの頬がみるみる紅色に染まる。髪のピンクと相まって花の妖精のようだ。
「これはクララのお母上様がクララのために作ってくれた最後のドレスでしょう?」
箱の中には薄紅色のドレスが入っている。
「ドレスの装飾はアレンジさせてもらったよ。僕の母上がデザインしてくれたのだけどどうかな?」
以前はダリアナ嬢を想像させる銀色のリボンレースがふんだんに使われたものであったがそれを金色のリボンレースに変えてある。
『金が僕の色だと気がついてくれると嬉しいけど…。でも気がついたら重いって言われるかもって妹から聞いたんだよな……』
僕は不安気にクララを見つめた。
クララはドレスを箱から取り出してじっくりと眺めてからギュッと抱きしめた。
「お母様とジルに大切にされていると思えてすごく嬉しいわ」
「クララ……」
僕は飛び上がりたいほど嬉しくなった。
「ボブバージル様。お顔が乱れております」
護衛の指摘に慌てて顔を引き締める。
クララがドレスを自分に充てがった。
「ジル。どうかしら?」
「とっても似合うよ。僕の花の天使さん」
「うふふ。ありがとう。では着替えてまいりますね」
メイドとともに部屋へ行ったクララは本当に花の天使になって戻ってきた。
『僕の天使はクララだけだ』
僕とクララは手をとってダンスホールへ向かった。今日はダンスのレッスンの日だ。
『この手をとるのは僕の特権だ』
僕はクララの手を離さないと決めた。
~ 幼少編 fin ~
「エイダの足取りから情報屋がわかりました。貸金庫屋も営む者でした。
経営者の話では平民の少女の話を知っていたというのはハッタリだろうということです。オールポッド小侯爵の性対象が幼女であったことは知っていたようです」
「ずいぶんと肝のすわった女だな」
「ですが情報には疎く流行遅れのドレスや宝飾品を自慢気に身にまとっていると笑っていました」
「自慢の美しさもかなたしだな」
「例の噂の出処はその情報屋でした。エイダから金を受け取り噂を流す依頼を受けたそうです」
「理由は?」
「金を受け取れば理由など聞かないものだと言っておりました」
『近衛兵が言っていたようにオールポッド侯爵家に戻るためだろうな。
真実と嘘を織り交ぜながら話をして近衛兵さえも信じ込ませるとは恐ろしい女だ』
「国境門を越えましたので追跡は終了しましたがよろしかったでしょうか?」
「そこまで度胸があるならわざわざ危険を冒さずとも他国でも十分に生きられるだろう」
「はい。情報屋の話では数年は困らないだけの資産を持っているそうです。ただし男に貢がなければ」
「何?」
「ゲラティル子爵領で商いをする者に貢いでいるようで……その……」
私は兵の言葉を待った。私の視線を感じた兵は喉を一つ鳴らして息を吸う。
「情報屋はダリアナがその男の子供だと確信しておりました」
私は知らない仲ではない亡きオールポッド侯爵を思い出し額に手を当てる。優しき男で美しい妻と可愛い娘を自慢していたが妻が人見知りという理由で二人と会うことはできなかった。私より少々年上ではあったが心臓に持病があったようで病死したのだ。
「ダリアナがその男の子供であったためエイダは焦りオールポッド侯爵との間に子をもうけるため男性用の性行為促進剤を情報屋から購入していたそうです」
さすがに絶句した。それが心臓によくない薬であることはよく知られていることだ。
「現オールポッド侯爵様に聴取いたしますか?」
「いや。死んだ者は戻ってこないしエイダもこの国には戻るまい。現侯爵は長男の死に続き次男のことで憔悴なさっている。
それにそんな女との婚姻を決めたマクナイト伯爵を苦しめることにもなりかねない。お前と私、そして国王陛下だけの秘密とする」
「かしこまりました」
私は重い足取りで兄である国王陛下の元へ向かった。
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マクナイト伯爵様からエイダ様との離縁を聞いた。クララもいろいろなことを納得したという。
僕は以前より頻繁にクララに会いに来ていてクララと一緒に家庭教師との勉強もしている。
「クララ。学園に入るまで一緒にがんばろうね」
「ええ。学園で同じクラスになれると嬉しいわね」
「お二人がこのままお勉強なさればAクラス間違いなしですよ」
家庭教師のお墨付に僕たちは目を合わせて笑顔になった。
こうして一ヶ月後に僕は大きな箱を護衛に持ってもらってマクナイト伯爵邸へクララを訪ねた。
「クララ。開けてみて!」
玄関ホールに護衛が跪きクララが箱を開けやすくする。クララはそっと箱を開いた。
「まあ!!!」
クララの頬がみるみる紅色に染まる。髪のピンクと相まって花の妖精のようだ。
「これはクララのお母上様がクララのために作ってくれた最後のドレスでしょう?」
箱の中には薄紅色のドレスが入っている。
「ドレスの装飾はアレンジさせてもらったよ。僕の母上がデザインしてくれたのだけどどうかな?」
以前はダリアナ嬢を想像させる銀色のリボンレースがふんだんに使われたものであったがそれを金色のリボンレースに変えてある。
『金が僕の色だと気がついてくれると嬉しいけど…。でも気がついたら重いって言われるかもって妹から聞いたんだよな……』
僕は不安気にクララを見つめた。
クララはドレスを箱から取り出してじっくりと眺めてからギュッと抱きしめた。
「お母様とジルに大切にされていると思えてすごく嬉しいわ」
「クララ……」
僕は飛び上がりたいほど嬉しくなった。
「ボブバージル様。お顔が乱れております」
護衛の指摘に慌てて顔を引き締める。
クララがドレスを自分に充てがった。
「ジル。どうかしら?」
「とっても似合うよ。僕の花の天使さん」
「うふふ。ありがとう。では着替えてまいりますね」
メイドとともに部屋へ行ったクララは本当に花の天使になって戻ってきた。
『僕の天使はクララだけだ』
僕とクララは手をとってダンスホールへ向かった。今日はダンスのレッスンの日だ。
『この手をとるのは僕の特権だ』
僕はクララの手を離さないと決めた。
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55話
事件にもならなっかたため私のところに → ならなかった
国王陛下のご最もな判断である。 → ご尤もな
いつもありがとうございます!
さっそく訂正いたします。
今後ともよろしくお願い致します。
ご感想いただきましてありがとうございます!
父親の迂闊さは……まあ、それがないと物語にならないのでwww
際立たて過ぎてお好みが分かれるところだと思いますが試行錯誤して書いてまいりたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
ご感想いただきましてありがとうございます!
はい!その通りです!やばすぎるので早々に追い出します!www
今後ともよろしくお願いします。