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お茶を飲みながら、リーンハルトに手紙を渡された。手紙は5通あり、封蝋の印が全て違っている。
「先王 王 王弟 前宰相 現宰相 の5通だ。」嫌な顔になったのは、許してください。
全て開封するが、要約すると。貴重なお酒をありがとう。凄く美味しかったです。そのお礼の品をどうぞ?だった。
「いらないから、持って帰ってください。」「テオからは、何が欲しいのか分からないので、一緒に出かけよう?だ。」死んだ目になる。「ロゼッタ嬢に何されるか分からないから、嫌です。お礼はいらないので、そっとして置いてください。」足に顔がつくくらいお辞儀する。「分かった。物はいらないんだな?何が欲しい?」「命が欲しい」・・・・・腹のそこからの低い声がする。「嬢ちゃん。誰のだ?」リーンハルトを見ると、目がもう笑っていない。獲物を狩る。捕食者の目だ。あまりの恐怖に床にへたり込んだ「私の。命が惜しいです。」も、怖いよ。此所の人たち。やだ。本当に 命のやりとりをするから、眼力も威圧も半端ないんです。「スズネは。言葉も頭もたらないニャ。」と言われてしまった。「物は返却されても困る。受け取っておけ。また来る」と言われた。

態度が少しおかしいので、大丈夫か聞こうとしたら、サッサと帰られた。笑ってる2人を見ると、
「ありゃ。困ってんだろう。」「スズネも罪作りね」と二人に話されたが、分からない?から首をかしげておく。


「スズネ。ひまニャ。庭掃除して来るニャ。」と麻袋を渡されたので、庭の草むしりをしにお外に出て行く。

「あれ。リーンハルトもかニャ?」「無意識の給餌行動で、困惑していたわね」「あいつ自身、今頃 悩んでるだろう。だが これで手が出しづらくなるな。一石二鳥だ。」3人ともうなずく、面白くなりそうだ。

ーーーーーーーーーーーリーンハルトーーーーーーーー
馬車に乗り込み。先程の行動に、考え込む。自分でも、信じられなかった・・・
嬢ちゃんがスプーンを差し出した時には、無意識に口に運んでいた。それが 嫌だとか、不快とは思わなかった。今までも遊びでも、給餌行動などしなかったし させなかった。俺には嬢ちゃんの芳香もしない 共鳴もない、だが給餌行動は・・・・・悩んでいると、城に着いた。

先に王に謁見を申し出る。
王がいる執務室には、兄の宰相 にテオもいた。騎士の礼をし、発言の許可を貰う。
「スズネ様から、贈り物をありがとうございます。でも、欲しいものも今は無いので、出来ればそっとして置いてください。と話されました。」テオは明らかにがっかりしている。御前を離れる伺いを立て、いつもと変わった様子は無いつもりだが、兄に止められた。
「リーンハルト?」「よい。父と母も待ってるであろう。」「御意」その場を、サッサと離れる。

この後父達にも、嬢ちゃんの反応を話さなくってはならない。先王 先王妃の東の離宮に父と母もいるだろう、少し頭を冷やさないと、自分でも動揺しているのが分かる。些細なことだが、王 兄 テオ、3人は見抜いたのだろう。
こんなにも、動揺するのか?番が見付かれば、共鳴と芳香ですぐ分かるから、気にもとめなかった。いつか分かるからそれまでは、捨て置いた。だがその2つも分からないとなると・・・・自分でも、嬢ちゃんの絆を見てみたいが・・・俺の絆には変化が無い。テオは明らかに変化し始めている。だがそれすらも前例が無いため、箝口令が引かれている。

文献を調べているが、サリュー族に対しては言伝でしか無い物もある。いっそ人族まで遡って見てるが、人族など遠い昔に滅んだ種族。人族は 弱者故にほとんどが、強者の番に選ばれている。サリュー族は、その人族の血を濃く受け継いでる種族故に、似てるところがあるのではと言われているが・・・・全て、言い伝えと少しの文献のみになる。その中で調べていても、だろう かもしれないで、調べることが確実でない。ここまで、芳香も 絆も共鳴もしない種族、全てがまれになり、こちらも慎重になるしかない。儀式まで、番かわからないまま過ごすことになるのか・・自分でも苛立ちを隠せない。

離宮に着くと、先ぶれが出ていたので待たずに部屋に入る。ここでも嬢ちゃんの、贈り物の礼を話す。
だが少しの変化も見逃さない、父母達に、質問攻めにされるとは、思ってもいなかった。舌打ちしたくなる。

明らかに 面白がってる、父母達に嫌気がさす。昼ご飯を食べていないだろう?と言われて。軽めの軽食が運ばれてきた。食べたいとも思わないので、先ほど氷河で食べてきたことを話す。お茶を飲みながら、父母の質問に答える。

「「「「で何があった?の」」」」眉間に皺がよる。

舌打ちが、でてしまう。「何もありません。」
ニヤニヤしてる、父と先王の横顔に腹が立つ。
「母上。父上がスズネ様からいただいた、貴重なお菓子をコッソリ食していましたよ。」とニッコリ笑って話してやる。
母上から、笑顔が消えた。扇で口元を隠しているが、額の青筋が浮かび上がってる。先王も先王妃を、見ているがこちらも心当たりがあるらしく、顔から笑みが消えた。・・・昨日は 男性陣は、後で譲って貰った酒を飲んでる。
母上達はお酒は男性陣に、数が少ない貴重な菓子は自分達にと話したのに、酔いに任せ食べた二人が悪い。

母上達が皆を下がらせたので、自分も退出する。後は知らん。父達が助けを求めて来たが、無視をして部屋を後にする。


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