双甲伝2-SOUKOUDEN2-

野口てんぐ

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第13章 マメの村に到着、影の噂

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三匹はついに、マメの故郷である小さな村へたどり着いた。
襲われて日が浅いが、村は倒壊した家屋の復旧、
村人たちが村を少しずつ復興していた。
木々に囲まれた畑と、清らかな小川。
どこか懐かしい空気に包まれたその景色を見た瞬間、マメの目に涙が滲んだ。

「……帰ってきた」

村人たちが駆け寄り、マメを取り囲む。
「マメ! 本当に戻ってきたのか!」
「無事でよかった……!」

再会の喜びに包まれる中、ポンとミクも温かく迎えられた。
村人たちは食べ物を差し出し、民家の一つを宿として提供してくれた。
三匹は久々に温かな食事と布団で休むことができた。


---

だが、その夜。

村の長老が密かにポンたちを呼び寄せた。
「……耳を澄ませておると、不穏な噂が聞こえてくる」

ポンが目を細める。
「噂?」

長老は声を潜めた。
「兎一族の残党が、再び集まりつつあるという。そして――その背後にはイタチの頭領・**玄牙(げんが)**の姿があると」

ミクが息を呑む。
「やっぱり……イタチと兎は手を組んでいるのか」

長老はさらに続けた。
「残党を束ねるのは、かつて夜白に従っていた兎のひとり。名を**月影(つきかげ)**という」

マメは拳を握りしめた。
「月影……玄牙……。二人が一緒なら、この村も危ない!」

ポンは立ち上がり、力強い声で言った。
「ここで守りを固める。戦いは避けられない。だが、俺たちで必ず勝つ」
ミクも頷いた。マメも長老と目を合わせ頷く。

森の深く月明かりの差さぬ洞窟の奥。
しんと冷えた空気の中、二つの影が向かい合っていた。

一人は鋭い瞳を持つイタチの頭領、玄牙(げんが)。
漆黒の毛並みは闇と溶け合い、その存在はただそこにいるだけで威圧感を放っていた。

もう一人は白銀の毛を持つ兎、月影(つきかげ)。
かつて夜白に従った一族の残党にして、今はその理想を裏切った者。
その目には復讐の炎が宿っている。

「……マメの村が守りを固め始めたと聞いた」
月影が低く呟く。

玄牙は薄く笑った。
「守りなど、裂け目を見つければ崩れる。奴らはただ、恐怖を先延ばしにしているだけだ」

「しかし、甲羅の二匹がいる。ポンとミク……あの二人は侮れぬ」
月影は拳を握り、声を荒げた。
「夜白を倒した連中だ。必ず討たねばならぬ」

玄牙はその激情を冷ややかに受け止める。
「焦るな、月影。お前は復讐に囚われすぎだ」

「復讐こそが我が道だ!」
月影の叫びが洞窟に響く。
「夜白は敗れ、一族は散った……。ならば俺が、その恨みを晴らす!」

玄牙はしばし沈黙し、やがて牙を見せて笑った。
「よかろう。お前の復讐心を利用してやる。だが、忘れるな――戦は駒を動かす者が勝つ」

「……俺は駒ではない」
月影が低く言い返す。だが、その声には微かな迷いがあった。

二つの影は互いに利用し合い、互いを信用していなかった。
だが確かに、同じ獲物を狙っていた。

「近いうちに、村を炎で包む。甲羅どももろともな」
玄牙の言葉に、月影の目がぎらりと光る。
「ポン、ミク、そしてマメ……必ず、お前たちを屠る」

洞窟の奥で焚かれた火が揺れ、二つの影を不気味に映し出した。
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