双甲伝2-SOUKOUDEN2-

野口てんぐ

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第15章 村の攻防戦

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森を裂くように、黒い波が押し寄せてきた。
イタチと兎の軍勢。
その数は村の者たちの数倍にのぼり、鬨の声が空を震わせる。

村の入口に立つポンは、歯を食いしばりながら声を張り上げた。
「絶対に退くな! ここを守り抜くんだ!」

その言葉に応えるように、ミクが木の枝で描いた簡易地図を踏みしめ、仕掛けの準備を確認する。
村人たちの手が震えるのを見て、ミクは笑みを浮かべた。
「大丈夫だ。狭い道じゃ奴らは思うように動けねえ。僕たちの方が有利だ」

やがて――敵が飛び出した。
「いまだ! 仕掛けろ!」
ミクの叫びと同時に、村人たちが用意していた丸太が転がり落ちる。
狭い山道に雪崩のように丸太が転がり込み、先陣を切っていた兎たちが悲鳴を上げて転がった。

その混乱の中を、ポンが飛び出す。
「おおおおっ!」
甲羅を前に突き出し、全身で突進する。
衝撃は岩をも砕く勢いで、イタチの兵を数匹まとめて弾き飛ばした。
地面に転がる兵たちを越え、ポンはさらに踏み込む。

「やった! 押し返したぞ!」
村人たちが声を上げるが、マメは気を緩めなかった。
「まだだ! まだ本隊が控えてる!」

マメは小川のほとりに立ち、弓を構える。
避難する村人たちを振り返りながら叫んだ。
「みんな! 川沿いへ! 急げ!」
次の瞬間、矢が放たれ、迫る兎兵の足を正確に射抜いた。
その兵が倒れると、後続が躓き、隊列が乱れる。
マメの矢はまるで村を守る盾のように敵を寄せ付けなかった。

一方、ミクは鉄棒を両手に構え、前線で立ちはだかる。
「ここから先は通さねえ!」
敵の刃を受け止め、火花が散る。
次の瞬間、渾身の一撃を放ち、イタチの兵を横なぎに吹き飛ばした。
その豪腕は仲間の後衛を守る砦のごとし。

だが――。
敵の数は減るどころか、押し寄せる波はさらに厚みを増していった。
どれだけ倒しても、次から次へと新手が現れる。
村人たちの顔には、恐怖と疲労の色が浮かび始めていた。

そんな中、低い声が響き渡った。
「ははは……小細工で時間を稼ぐつもりか」

木々の間から現れたのは、漆黒の毛並みを持つイタチの頭領――玄牙(げんが)。
その眼光は氷のように冷たく、ただそこに立つだけで周囲の空気を支配する。

「だが、流れは止められん。潮の満ち引きのように、必ず押し潰される」

その隣に並ぶ影――白銀の毛を揺らす兎の戦士。
燃える瞳に憎悪を宿し、槍を構える。
「ポン! ミク!貴様らのせいで夜白は倒れ、一族は散った!
ここで血を流し、我が復讐の礎となれ!」
それは兎残党の中心核、月影(つきかげ)。

「やれるもんならやってみろ!」
ポンが叫び、甲羅を構えて突進する。
玄牙と月影、その二人へと真っ直ぐに。

その瞬間、森と村を切り裂くように激しい戦いが始まった――。
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