47 / 67
第3章 動乱
47話 ロネ
しおりを挟む
ガチャ。
部屋の中から2人のメイドが出て来て、俺に向かう。
「セレット様。後のことはよろしくお願い致します」
「姫様のわがままは無視して頂いて問題ありませんので」
「ああ、しっかり休んでくれ」
「ありがとうございます」
「失礼します」
そう言って2人はおぼつかない足取りで自分の部屋に帰っていった。
「入るぞ」
「どうぞ」
「それ……なんて服装をしてるんだ!?」
「?」
彼女の服装は素肌が透けそうな程のシルクの寝巻を着ているだけで、それ以外は一切何も身につけていない。
廊下部屋の中は既に明かりが消えていて、ギリギリ彼女の大事な部分などは見えないけど、正直心臓に悪い。
「この格好で無いと寝れなくて。わたくしの様なお子様の体には興味はないでしょう? アイシャさんやその秘書の方と仲がよろしいと伺っていますわ」
「そ、そういう関係ではないんだが……」
「ふーん。でしたらこちらに来て頂いてもいいんですよ?」
「俺は護衛なんだ。そんなことに誘わないでくれ」
「畏まりました。それではおやすみなさい」
「ああ、お休み」
俺は後ろ手に扉を閉めて周囲の警戒に勤める。この街に入ってから危険な目には遭っていないけど、だからこそ気になるといった方がいいのかもしれない。
暫くの間、じっと周囲の警戒をしていると、声がかけられた。
「ねぇ」
「なんだ?」
「折角なのです。こちらに来て少しお話してくださいませんか?」
「ダメだ。ロネ様も疲れているんだろう? あれだけ働いたら疲れないわけがない。今はしっかりと寝て体を休めるんだ」
姫様の我がままは無視していいと言われていたし、ここはきつめに言ってでも休んで貰わねば。
「……セレット、少し前に話した時の事を忘れたのですか?」
「? なんの事で……」
俺は言いかけて、電撃が走ったかのように少し前の、ロネ姫に2人きりの時には様はつけないと言われた事を思い出した。
(あれはその場のノリ的な奴じゃなかったのか……!)
「ロ、ロネさん」
「他人行儀過ぎますわ」
「ロ、ロネちゃ……ん?」
「その様な可愛らしさは要りませんわ」
「ロネ……」
全ての逃げ道を塞がれてそう言わざるを得なくなる。
「ふふ、そう呼ばれることもほぼありません。一人位はそう呼んでくださる人がいてもいいじゃない」
そういう彼女の声色は嬉しそうだ。
「ウテナやあのメイド達ではダメなのですか?」
「……ええ、メイドは貴族の生まれです。わたくしと共にいた時間は長く信頼していますが、それでも皇女としての扱いは絶対に破りません。それはウテナも一緒。親しく呼んでくださる方はいないんですよ」
「皇女なのに寂しいんだな……」
「そう思うのならセレット、側で昔話をして下さらない?」
「しかし……」
「寂しい皇女ですから。いいでしょう?」
俺は迷う。彼女の側に行ってもいいのか。良くないのか。
ウォータードラゴンを倒した夜の記憶が再び蘇る。こんな少女が弱音を吐くことも出来ずにいる。そんな彼女に、少し昔話をしてあげるだけならばいいんじゃないのか。
「……少しだけですよ?」
「ふふ、ありがとう。セレット、貴方は優しいのね」
「普通ですよ」
俺はゆっくりと彼女の側に近づき、元々この部屋に備え付けてあったイスにそっと腰をおろす。当然、警戒は緩めない。
「あれは俺が始めて龍脈衆として城に仕えた時の話です。当時は……」
それから、ロネ姫に俺の過去話をした。そして、10分も経たない内に彼女からの反応は鈍くなる。
「ということがあったんです」
「セレット……」
「はい?」
「一緒に寝ますか?」
「え? ダメですよ」
彼女はそう言ってきている布団を少し持ち上げている。夜目に慣れているから見えてしまいそうだ。何とは言わないが……。
「冗談ですよ。でも、もし何かいたずらされても誰も文句は言いません……よ?」
そういう彼女は意識も朧気で本気で言っているようには見えない。
「お休み、また明日」
「すぅーすぅー」
俺は立ち上がり、彼女の頭を一撫でしてから入り口に戻った。
その日は、朝にメイドの2人が来るまで護衛を続けた。
部屋の中から2人のメイドが出て来て、俺に向かう。
「セレット様。後のことはよろしくお願い致します」
「姫様のわがままは無視して頂いて問題ありませんので」
「ああ、しっかり休んでくれ」
「ありがとうございます」
「失礼します」
そう言って2人はおぼつかない足取りで自分の部屋に帰っていった。
「入るぞ」
「どうぞ」
「それ……なんて服装をしてるんだ!?」
「?」
彼女の服装は素肌が透けそうな程のシルクの寝巻を着ているだけで、それ以外は一切何も身につけていない。
廊下部屋の中は既に明かりが消えていて、ギリギリ彼女の大事な部分などは見えないけど、正直心臓に悪い。
「この格好で無いと寝れなくて。わたくしの様なお子様の体には興味はないでしょう? アイシャさんやその秘書の方と仲がよろしいと伺っていますわ」
「そ、そういう関係ではないんだが……」
「ふーん。でしたらこちらに来て頂いてもいいんですよ?」
「俺は護衛なんだ。そんなことに誘わないでくれ」
「畏まりました。それではおやすみなさい」
「ああ、お休み」
俺は後ろ手に扉を閉めて周囲の警戒に勤める。この街に入ってから危険な目には遭っていないけど、だからこそ気になるといった方がいいのかもしれない。
暫くの間、じっと周囲の警戒をしていると、声がかけられた。
「ねぇ」
「なんだ?」
「折角なのです。こちらに来て少しお話してくださいませんか?」
「ダメだ。ロネ様も疲れているんだろう? あれだけ働いたら疲れないわけがない。今はしっかりと寝て体を休めるんだ」
姫様の我がままは無視していいと言われていたし、ここはきつめに言ってでも休んで貰わねば。
「……セレット、少し前に話した時の事を忘れたのですか?」
「? なんの事で……」
俺は言いかけて、電撃が走ったかのように少し前の、ロネ姫に2人きりの時には様はつけないと言われた事を思い出した。
(あれはその場のノリ的な奴じゃなかったのか……!)
「ロ、ロネさん」
「他人行儀過ぎますわ」
「ロ、ロネちゃ……ん?」
「その様な可愛らしさは要りませんわ」
「ロネ……」
全ての逃げ道を塞がれてそう言わざるを得なくなる。
「ふふ、そう呼ばれることもほぼありません。一人位はそう呼んでくださる人がいてもいいじゃない」
そういう彼女の声色は嬉しそうだ。
「ウテナやあのメイド達ではダメなのですか?」
「……ええ、メイドは貴族の生まれです。わたくしと共にいた時間は長く信頼していますが、それでも皇女としての扱いは絶対に破りません。それはウテナも一緒。親しく呼んでくださる方はいないんですよ」
「皇女なのに寂しいんだな……」
「そう思うのならセレット、側で昔話をして下さらない?」
「しかし……」
「寂しい皇女ですから。いいでしょう?」
俺は迷う。彼女の側に行ってもいいのか。良くないのか。
ウォータードラゴンを倒した夜の記憶が再び蘇る。こんな少女が弱音を吐くことも出来ずにいる。そんな彼女に、少し昔話をしてあげるだけならばいいんじゃないのか。
「……少しだけですよ?」
「ふふ、ありがとう。セレット、貴方は優しいのね」
「普通ですよ」
俺はゆっくりと彼女の側に近づき、元々この部屋に備え付けてあったイスにそっと腰をおろす。当然、警戒は緩めない。
「あれは俺が始めて龍脈衆として城に仕えた時の話です。当時は……」
それから、ロネ姫に俺の過去話をした。そして、10分も経たない内に彼女からの反応は鈍くなる。
「ということがあったんです」
「セレット……」
「はい?」
「一緒に寝ますか?」
「え? ダメですよ」
彼女はそう言ってきている布団を少し持ち上げている。夜目に慣れているから見えてしまいそうだ。何とは言わないが……。
「冗談ですよ。でも、もし何かいたずらされても誰も文句は言いません……よ?」
そういう彼女は意識も朧気で本気で言っているようには見えない。
「お休み、また明日」
「すぅーすぅー」
俺は立ち上がり、彼女の頭を一撫でしてから入り口に戻った。
その日は、朝にメイドの2人が来るまで護衛を続けた。
1
あなたにおすすめの小説
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる