「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第3章 動乱

48話 皇族の務め

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 目まぐるしい日々が過ぎ、気が付いたらガンプノスに滞在する最終日になってしまっていた。

 その日の朝は今までの忙しさが嘘のようにゆったりとしていた。しかし、それは直ぐに破られる。

「さぁ、これから外にお出かけしますよ!」
「姫様?」
「大丈夫ですか? 最近の忙しい公務で頭が少しやられてしまいましたか?」

 俺とウテナが姫様に聞き直す。ウテナは最近の忙しさで目を回していたからか、姫様の言葉にこめかみを引くつかせている。

 俺とウテナにロネ姫。ロネ姫の後ろにはメイドが控えている。部屋は当然彼女の部屋だ。

「そんな事ありません。折角なので3人で秘密のお出かけをしましょう」
「いやいや、今日の公務はどうするんですか。折角予定も立てたんですよ?」
「今日に割り当てられたお仕事はバック……無視しても構いません。それよりも外に行くことの方が大切です」
「姫様……流石にそれは……」
「何か理由があるのですか?」
「ウテナ?」
「姫様がそんな簡単に公務を放り出す訳ないだろう?」
「そう言われてみれば……」

 策を練ったりしていたはずだ。言われると確かに。

「当然でしょう。今回、これだけ忙しかったのはなぜだと思いますか?」
「襲撃があったからでしょう」
「では、襲撃を実行した相手についてのことは?」
「それが分かれば今頃首を取りに行っています」

 俺が答える。

「セ、セレットならやってくれると思っているわよ? でも、今回の事、色々と調べさせているけど、手がかりが何一つ手に入らない。強いて言えば貴方が持ってきてくれたこれだけ」

 ロネ姫は机の上に置かれている大きな黒い魔石をめんどくさそうに見る。

「しかし、手掛かりにはならなかった」
「ええ、ここの領地で取られた物かもしれない。といった程度で、決定的な証拠にはならない。それに、ここの領主やその周辺も調査したし、鎌もかけたけど一切謀反の意思はなし。お手上げよ」
「であるならばなぜ?」
「私が変装をして出かければ尻尾を出すかもしれない。少ない護衛であるならば余計にね。それに、女の子3人でいけばやれるかも。そう思うかもしれないでしょ?」
「女の子?」
「俺は遠くから見張っておくのか?」

 多少の距離なら出来るとは思うけど、正直気配を消すということにはあまり自信がない。

「いいえ、セレットにはいざという時の為に側にいて貰うわ」
「???」
「セレットの……その、あれを切り落とすということか?」
「ウテナ!?」

 俺は思わず股を押さえて後ずさる。なんと恐ろしい精神攻撃だろうか。

「いや! ち、違う!」
「違う?」
「違わないんだが……そのなあ?」
「なあで切り落とされるのは堪らないんだが……」

 いくら姫様のとウテナの頼みでも流石にそれは……。

「大丈夫ですわ。これを使ってください」
「姫様! それは!」
「?」

 ウテナが慌てていて、ロネ姫が右手につけた指輪を外している。

「それが何かあるのか?」
「これは幻影の指輪と呼ばれるアーティファクトです。使うことによって、事前に登録しておいた者の体の幻影を映すことが出来るの。今はオリーブの姿が登録してあるから、これを使って私の側で守って頂戴。あ、幻影を映すだけだから、身体能力には問題ないわ」
「それってかなり貴重なアーティファクトなんじゃ……」

 姿を変えれるなんてかなりの物に決まっている。もしかしたら皇族だけが持つ物かもしれない。

「そうよ。でも貴方はわたくしの騎士になったのだから、言わないのはおかしいでしょう?」
「そうかもしれませんが……」
「何か不満が?」
「当然です。流石に危険過ぎると思う」
「姫様。私も反対です。なぜそこまでしなければならないのですか」
「……」

 ロネ姫は難しい顔をしている。

「当然、わたくしが皇族だからよ。皇族であるなら、例え襲われたとて、敵の情報を持ち帰るためにはある程度のことはしなければなりません」
「そこまでなのか?」

 俺は幾らなんでもこんな少女にそこまでさせるのかと思ってしまう。

「そうです。これがカイン帝国に皇族として生まれた者の定め。それが嫌ならばサッサと他国にでも適当な政略の結婚相手として行くのが楽でしょうね」

 彼女が必死に自分のやるべきことをやろうとしている。ならば、俺がそれを邪魔するのは違うんじゃないのか。

「分かった。俺が出来ることはやろう」
「セレット」
「姫様がここまで言っているんだ。仕方ないじゃないか。それに、俺達がやるのは護衛だ。飛んでくる枯葉すら残さず止めよう」
「お2人もいいのですね?」

 ウテナはこのままだと分が悪いと感じたのか、ロネ姫の後ろにいた2人に聞いている。

「構いません」
「姫様の決めたことですから」

 2人は表情をピクリとも動かさずに言い放つ。それを聞いたウテナは、一つため息をついて答える。

「分かった。行くとしよう」
「それでは!」
「ただ、もしも危険があると判断した時や、引き返すと言った時には従って貰います。いいですね?」
「当然よ。ちゃんと従うわ!」
「それでは行きましょう」
「やった! それじゃあ早速準備をしてきて頂戴? わたくしも急いで準備するから!」
「遊びに行くんじゃないんですよね……?」
「も、勿論よ。こほん。さ、外に出ていて頂戴」
「分かりました」
「分かった」

 俺とウテナは部屋の外に出る。

「セレット。頼んだぞ?」
「ああ、当然だ」

 ウテナはそう言って普通の服に、以前グレンゴイルで買った服に着替えに行った。

 俺はこのままで大丈夫だ。指輪をつけるだけだしな。

「待たせた」
「お待たせしました」

 暫く待つと、同時タイミングで揃った。

「よし、行くか」
「はい、ですがその前に、この指輪をはめて魔力を注いで頂けますか?」
「分かりました」

 俺はロネ姫から指輪を受け取り、適当な指にはめる。そして、魔力を注いだ。

「おお?」

 俺の体が薄っすら光り、そのままの状態を維持している。

「どうだ? 成功か?」

 俺は2人を見ると、ちょっと驚いている。

「姿はばっちりですが……」
「オリーブから放たれるオーラとは思えんな」
「それは……こうすればどうですか?」

 魔力が漏れ出ないようにかなり調整した。護衛の際はある程度力を示しておいた方が雑魚は寄ってきにくいからな。すると、ウテナは満足そうに頷く。

「それなら大丈夫だろう」
「では行きましょう!」

 ロネ姫はもう高級な服です。という服装をして、帽子を被っただけだ。

 本当に姿を隠しているつもりなんだろうか。

「一度街の服屋に行ってみたかったんです」
「本格的に遊びたいんじゃないですよね?」
「何を言うのですか。直ぐに行きましょう」
「分かりました」

 説明になっていない気がするけど、ウテナは諦めたのか認めていた。

「これって、しゃべり声はどうなってるんだ?」
「オリーブと同じものになっていますよ」
「分かった。しゃべっても問題ないんだな」
「ええ、ですけど、余りに男らしい話し方だとバレてしまいますから気を付けてくださいね」
「勿論だ」

 俺達は街に繰り出した。
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