5 / 65
大好きな姉妹ですもの
しおりを挟む
手配された馬車に乗り込み、レイラは帰路についた。だが、隣にちゃっかり座っているフリッツをまじまじと見つめる。
「ねぇフリッツ」
「なぁに、レイラ」
「どうしてあなたも馬車に?」
「レイラが暴走しないように、かなぁ。表向きは」
のほほんと言われた台詞だし、これを言われるとおそらく普通の人なら怒るに違いない。
レイラの場合、何回かやらかしているから『確かに』と納得してフリッツの肩にもたれかかった。
「うっかり暴走しかけたら、止めてくださいます?」
「もちろん。未来の義姉上のことも心配だしね」
「まぁ…!フローリアを心配してくれるなんて、フリッツは優しいわ!」
あはは、うふふ、と馬車の中でイチャコラする二人だが、これが通常運転。
フリッツとレイラ、家同士が定めた婚約者同士ではあるものの、波長が合うとでもいうのか大変に仲がいい上にラブラブである。
「多分、フローリア嬢のことだから大丈夫だとは思うんだけど…」
「そうね。だって、わたくしの大好きなフローリアだものね」
「レイラ、理由になってないよ?」
「だって…フリッツ、考えてみてくださらない?フローリアは次期ライラックとしてとても頑張っているの。王太子妃教育よりも当主教育の方が楽しそうなんだもの」
「確か、王太子妃候補になるよりも前から当主教育に取り掛かっているんだっけ」
「えぇそうよ!」
ふふん、とレイラはまるで自分の事のように誇らしげに、そして嬉しそうに微笑んだ。
「今思い出してもうっとりするわ……。小さい頃、フローリアったら、ドレスを思いきり捲り上げてイタズラをしてきた従兄弟のアイザックの頭に、華麗にかかと落としを決めたの!」
「…………」
確かそれ、六歳とかその辺だったような、とフリッツは思わずたらりと冷や汗を流す。
フローリアは父親、母親、そしてレイラとの手合わせを日課として行っており、体の柔軟性もそうだが格闘センスと武器の取り扱いに関して、群を抜いていた、と聞く。もちろん魔法のセンスもあるけれど、前述したものが群を抜いて秀でているそうだ。
それにしても、弱冠六歳でかかと落としかぁ…とは思うが、やった方も気絶せずに持ちこたえ、『お前何すんだよ!いってぇだろうが!』と貴族らしからぬ口調でフローリアにきゃんきゃんと噛み付いたが、フローリアは無表情で前ぶれなく手を伸ばし、がっちりと従兄弟の頭を掴んで、所謂アイアンクローを仕掛けたうえで、さらには足払いをかけつつ、思いきり、容赦なく床に叩きつけたらしい。
さすがにアルウィンから『フローリア、ちょっとやり過ぎだ』と叱られたが、『まぁお父様、アイザックのこのやり方、貴族としても如何なものかと思いますが、このままアイザックが成長して他のご令嬢にご迷惑をかけるような青年に成長しても良いとおっしゃるの?』と、のんびり口調は変わらず、しかし目の奥にとてつもない怒りを込めて睨みつけたそうだ。
「僕は今聞いてもフローリア嬢の容赦のなさに、こう…びっくりというか」
「あら、そう?」
「ドレスを捲った方がもちろん悪いんだけどね」
「そうね。アイザックのおばさまもおじさまも、最初はフローリアに対してとっても怒っていたけれど、『このまま成長して、ドレス捲りだけではなく婦女に無理強いするような野蛮な男になっても良いのですか?』って、淡々と聞かれてぐうの音も出なくなっちゃってたわ」
「あー…」
それはそうだろう。
身分をかさにきて、自分よりも身分が下の令嬢に対して脅迫をされでもしたら。
何かあるとしたら本人がどうのよりも、周りに迷惑をかけてしまう。
アイザックにはあれから妹が出来たので、万が一、いたずらっ子のままアイザックが成長して、うっかり女性に対しての手が早い男性へと成長してしまったら妹の将来に影響が出てしまうではないか、と。
後々それに気付いたアイザックの両親からは、フローリアに対してお礼状が届いたというが、本人はあっけらかんと『あぁ、あのドレスめくりのいたずらっ子』と笑っていた。
アイザックの家との付き合いは特に揉めるわけでもなく、普通に仲良くしており、アイザック自身もフローリアと仲違いはしていないそうだ。
「それに、大丈夫よ。アイザックもきちんと反省したみたいだし、いきなりドレス捲ったらろくなことにならない、って幼いうちに身をもって理解出来たでしょうから」
「そもそも失礼だしね」
「そうよ。あ、でもアイザックのうちと我が家、仲良しだから安心してね?」
フリッツの考えていたあれこれに対してフォローをするように、微笑んでレイラは告げる。
恐らくレイラの前だからこそだが、微妙な表情になっていたのかもしれないな、とフリッツは苦笑いを浮かべた。
「ふふ、お顔に全部出ていますわ」
「……相変わらず、シェリアスルーツ家の皆様は規格外だなぁ、って思ったんだよ」
「当家ですから」
くすくすとレイラは笑う。
普通、だなんて、そんな感覚ではシェリアスルーツ家の『普通』など語りきれるわけがない。
むしろ、普通でないからこそ成り立っている、といっても過言ではないが、時と場面をきっちり使い分けてはいる。
「フリッツ、フローリアに挨拶はしていくんでしょう?出発前にも聞いたけれど、一応確認させてちょうだいね」
「うん。それと、やっぱり気落ちしているかもしれないし、そうだったら少し言葉をかけてあげられたら、って」
「……絶対に気落ちなんかしていないわよ……」
「いいや、分からないよ。大丈夫だとは思っているけど、王太子妃教育まで無駄になってしまうことじゃないか」
「それはそうなんだけれど…」
馬車が到着し、何やらゲッソリした執事長のダドリーに出迎えられたレイラは目を丸くする。
「やだ、ダドリー。何があったというの?」
「レイラお嬢様…おかえりなさいませ…」
「もしかして、フローリアったらありえないと思っていたけれどショックを受けて……?!いやだ、フローリア早まったりしちゃダメよ!」
ダドリーが何か言う前にダッシュで邸宅へと走っていってしまったレイラを、ダドリーもフリッツも呆然と見送ってしまった。
「…えぇと、ダドリーさん…」
「いらっしゃいませフリッツ様…」
「一応聞いていいかな、フローリア嬢は…」
「落ち込むどころか、大変お元気でございます」
あぁ、うん。やっぱりね。
そうだとは思っていたし、レイラからも言われていたけれど、もしかしたら王太子妃教育が無駄になってしまったのでは、と嘆いている可能性もあるかな…と思っていたがそうではなかったらしい。
予想通りだったので普通に声掛けて帰ろう、と決めてから御者に少しだけ待っていてもらうようにフリッツはお願いした。
通い慣れたシェリアスルーツ家の邸宅に入ると、何やら呆然としているメイドが点々といる。
先程の様子からして、間違いなくレイラの暴走っぷりを見て、メイドたちが驚いてしまったに違いない。
フリッツが通り過ぎると慌てて『申し訳ございません、ご案内もせず!』と走ってきてくれたのだが、レイラの行先なんてわかっているのだから、『大丈夫だよ、ありがとう』と告げてそのまま歩いていく。
「本当に大丈夫なんでしょうねー!」
歩いていると、突然聞こえてきたレイラの絶叫。
「あ」
声の聞こえた方向に歩いていくと、案の定フローリアの部屋の方向から絶叫は聞こえてきたものだった。
さて、どんな風にレイラが暴走しているのだろうか、と少しだけ心配して、フローリアの部屋の扉をノックしようとしたところ、部屋の中から先に扉が開かれた。
「まぁ、フリッツ様。こんにちは」
「こ、こんにちは、フローリア嬢」
「ちょっとフローリア!わたくしのお話を聞いていらっしゃって?!」
三者三様とは恐らくこれか、とフリッツはちょっとだけ遠い目をしている。
ドアを開けてくれたフローリアはいつもの、のほほんとした柔らかな笑顔を浮かべてくれているが、腰にはべったりとレイラが引っ付いているという異様な光景。
レイラ、君ホントにフローリア嬢が大好きだね、と心の中でこっそり呟いてから、フリッツが苦笑いを浮かべているのに気付いたフローリアは、腰にべったり引っ付いていたレイラを容赦なく引き剥がした。
「レイラ、フリッツ様を放置して何しているの。めっ」
「え?」
「レイラ、また暴走したね?」
「う…」
口を少しだけ尖らせるレイラはとても可愛らしいが、引き剥がされたままなので、割と異様な光景なのは変わっていない。
両手首をがっちりフローリアに捕まれ、腰に抱き着かれていた状態からべり、と手を引き剥がしてほんの少しだけ筋力強化をしてレイラを持ち上げ、無理やり立たせている。
「大丈夫ですわ、フリッツ様。レイラのこれはいつものことですもの。フリッツ様こそ、ご心配いただきましたようで、誠にありがとうございます。とても嬉しいですわ」
「いえ、そんな!…でも、本当に良かったんですか?」
「そうよフローリア!でも一応聞かせて、王太子妃にならなくて良かったの?!」
「えぇ…」
珍しく嫌そうに顔を顰めたフローリアは、迷うことなくはっきりきっぱり、こう告げた。
「そもそもなりたくないんだもの。婚約破棄してくれてありがとうございます、とお礼状を書きたいくらいですわ!」
あー…、と呟くレイラとフリッツの声は綺麗にハモり、ついでにようやく駆け付けたダドリーは『あぁぁぁぁ夢だと仰ってください神様!』と何故か打ちひしがれている。
恐らく、古くからいる使用人だからこそ、フローリアの経歴に傷がついたことを嘆いてくれているのだろうが、本人はケロりとしている。
何ともまぁ、真逆な主従なのであった。
「ねぇフリッツ」
「なぁに、レイラ」
「どうしてあなたも馬車に?」
「レイラが暴走しないように、かなぁ。表向きは」
のほほんと言われた台詞だし、これを言われるとおそらく普通の人なら怒るに違いない。
レイラの場合、何回かやらかしているから『確かに』と納得してフリッツの肩にもたれかかった。
「うっかり暴走しかけたら、止めてくださいます?」
「もちろん。未来の義姉上のことも心配だしね」
「まぁ…!フローリアを心配してくれるなんて、フリッツは優しいわ!」
あはは、うふふ、と馬車の中でイチャコラする二人だが、これが通常運転。
フリッツとレイラ、家同士が定めた婚約者同士ではあるものの、波長が合うとでもいうのか大変に仲がいい上にラブラブである。
「多分、フローリア嬢のことだから大丈夫だとは思うんだけど…」
「そうね。だって、わたくしの大好きなフローリアだものね」
「レイラ、理由になってないよ?」
「だって…フリッツ、考えてみてくださらない?フローリアは次期ライラックとしてとても頑張っているの。王太子妃教育よりも当主教育の方が楽しそうなんだもの」
「確か、王太子妃候補になるよりも前から当主教育に取り掛かっているんだっけ」
「えぇそうよ!」
ふふん、とレイラはまるで自分の事のように誇らしげに、そして嬉しそうに微笑んだ。
「今思い出してもうっとりするわ……。小さい頃、フローリアったら、ドレスを思いきり捲り上げてイタズラをしてきた従兄弟のアイザックの頭に、華麗にかかと落としを決めたの!」
「…………」
確かそれ、六歳とかその辺だったような、とフリッツは思わずたらりと冷や汗を流す。
フローリアは父親、母親、そしてレイラとの手合わせを日課として行っており、体の柔軟性もそうだが格闘センスと武器の取り扱いに関して、群を抜いていた、と聞く。もちろん魔法のセンスもあるけれど、前述したものが群を抜いて秀でているそうだ。
それにしても、弱冠六歳でかかと落としかぁ…とは思うが、やった方も気絶せずに持ちこたえ、『お前何すんだよ!いってぇだろうが!』と貴族らしからぬ口調でフローリアにきゃんきゃんと噛み付いたが、フローリアは無表情で前ぶれなく手を伸ばし、がっちりと従兄弟の頭を掴んで、所謂アイアンクローを仕掛けたうえで、さらには足払いをかけつつ、思いきり、容赦なく床に叩きつけたらしい。
さすがにアルウィンから『フローリア、ちょっとやり過ぎだ』と叱られたが、『まぁお父様、アイザックのこのやり方、貴族としても如何なものかと思いますが、このままアイザックが成長して他のご令嬢にご迷惑をかけるような青年に成長しても良いとおっしゃるの?』と、のんびり口調は変わらず、しかし目の奥にとてつもない怒りを込めて睨みつけたそうだ。
「僕は今聞いてもフローリア嬢の容赦のなさに、こう…びっくりというか」
「あら、そう?」
「ドレスを捲った方がもちろん悪いんだけどね」
「そうね。アイザックのおばさまもおじさまも、最初はフローリアに対してとっても怒っていたけれど、『このまま成長して、ドレス捲りだけではなく婦女に無理強いするような野蛮な男になっても良いのですか?』って、淡々と聞かれてぐうの音も出なくなっちゃってたわ」
「あー…」
それはそうだろう。
身分をかさにきて、自分よりも身分が下の令嬢に対して脅迫をされでもしたら。
何かあるとしたら本人がどうのよりも、周りに迷惑をかけてしまう。
アイザックにはあれから妹が出来たので、万が一、いたずらっ子のままアイザックが成長して、うっかり女性に対しての手が早い男性へと成長してしまったら妹の将来に影響が出てしまうではないか、と。
後々それに気付いたアイザックの両親からは、フローリアに対してお礼状が届いたというが、本人はあっけらかんと『あぁ、あのドレスめくりのいたずらっ子』と笑っていた。
アイザックの家との付き合いは特に揉めるわけでもなく、普通に仲良くしており、アイザック自身もフローリアと仲違いはしていないそうだ。
「それに、大丈夫よ。アイザックもきちんと反省したみたいだし、いきなりドレス捲ったらろくなことにならない、って幼いうちに身をもって理解出来たでしょうから」
「そもそも失礼だしね」
「そうよ。あ、でもアイザックのうちと我が家、仲良しだから安心してね?」
フリッツの考えていたあれこれに対してフォローをするように、微笑んでレイラは告げる。
恐らくレイラの前だからこそだが、微妙な表情になっていたのかもしれないな、とフリッツは苦笑いを浮かべた。
「ふふ、お顔に全部出ていますわ」
「……相変わらず、シェリアスルーツ家の皆様は規格外だなぁ、って思ったんだよ」
「当家ですから」
くすくすとレイラは笑う。
普通、だなんて、そんな感覚ではシェリアスルーツ家の『普通』など語りきれるわけがない。
むしろ、普通でないからこそ成り立っている、といっても過言ではないが、時と場面をきっちり使い分けてはいる。
「フリッツ、フローリアに挨拶はしていくんでしょう?出発前にも聞いたけれど、一応確認させてちょうだいね」
「うん。それと、やっぱり気落ちしているかもしれないし、そうだったら少し言葉をかけてあげられたら、って」
「……絶対に気落ちなんかしていないわよ……」
「いいや、分からないよ。大丈夫だとは思っているけど、王太子妃教育まで無駄になってしまうことじゃないか」
「それはそうなんだけれど…」
馬車が到着し、何やらゲッソリした執事長のダドリーに出迎えられたレイラは目を丸くする。
「やだ、ダドリー。何があったというの?」
「レイラお嬢様…おかえりなさいませ…」
「もしかして、フローリアったらありえないと思っていたけれどショックを受けて……?!いやだ、フローリア早まったりしちゃダメよ!」
ダドリーが何か言う前にダッシュで邸宅へと走っていってしまったレイラを、ダドリーもフリッツも呆然と見送ってしまった。
「…えぇと、ダドリーさん…」
「いらっしゃいませフリッツ様…」
「一応聞いていいかな、フローリア嬢は…」
「落ち込むどころか、大変お元気でございます」
あぁ、うん。やっぱりね。
そうだとは思っていたし、レイラからも言われていたけれど、もしかしたら王太子妃教育が無駄になってしまったのでは、と嘆いている可能性もあるかな…と思っていたがそうではなかったらしい。
予想通りだったので普通に声掛けて帰ろう、と決めてから御者に少しだけ待っていてもらうようにフリッツはお願いした。
通い慣れたシェリアスルーツ家の邸宅に入ると、何やら呆然としているメイドが点々といる。
先程の様子からして、間違いなくレイラの暴走っぷりを見て、メイドたちが驚いてしまったに違いない。
フリッツが通り過ぎると慌てて『申し訳ございません、ご案内もせず!』と走ってきてくれたのだが、レイラの行先なんてわかっているのだから、『大丈夫だよ、ありがとう』と告げてそのまま歩いていく。
「本当に大丈夫なんでしょうねー!」
歩いていると、突然聞こえてきたレイラの絶叫。
「あ」
声の聞こえた方向に歩いていくと、案の定フローリアの部屋の方向から絶叫は聞こえてきたものだった。
さて、どんな風にレイラが暴走しているのだろうか、と少しだけ心配して、フローリアの部屋の扉をノックしようとしたところ、部屋の中から先に扉が開かれた。
「まぁ、フリッツ様。こんにちは」
「こ、こんにちは、フローリア嬢」
「ちょっとフローリア!わたくしのお話を聞いていらっしゃって?!」
三者三様とは恐らくこれか、とフリッツはちょっとだけ遠い目をしている。
ドアを開けてくれたフローリアはいつもの、のほほんとした柔らかな笑顔を浮かべてくれているが、腰にはべったりとレイラが引っ付いているという異様な光景。
レイラ、君ホントにフローリア嬢が大好きだね、と心の中でこっそり呟いてから、フリッツが苦笑いを浮かべているのに気付いたフローリアは、腰にべったり引っ付いていたレイラを容赦なく引き剥がした。
「レイラ、フリッツ様を放置して何しているの。めっ」
「え?」
「レイラ、また暴走したね?」
「う…」
口を少しだけ尖らせるレイラはとても可愛らしいが、引き剥がされたままなので、割と異様な光景なのは変わっていない。
両手首をがっちりフローリアに捕まれ、腰に抱き着かれていた状態からべり、と手を引き剥がしてほんの少しだけ筋力強化をしてレイラを持ち上げ、無理やり立たせている。
「大丈夫ですわ、フリッツ様。レイラのこれはいつものことですもの。フリッツ様こそ、ご心配いただきましたようで、誠にありがとうございます。とても嬉しいですわ」
「いえ、そんな!…でも、本当に良かったんですか?」
「そうよフローリア!でも一応聞かせて、王太子妃にならなくて良かったの?!」
「えぇ…」
珍しく嫌そうに顔を顰めたフローリアは、迷うことなくはっきりきっぱり、こう告げた。
「そもそもなりたくないんだもの。婚約破棄してくれてありがとうございます、とお礼状を書きたいくらいですわ!」
あー…、と呟くレイラとフリッツの声は綺麗にハモり、ついでにようやく駆け付けたダドリーは『あぁぁぁぁ夢だと仰ってください神様!』と何故か打ちひしがれている。
恐らく、古くからいる使用人だからこそ、フローリアの経歴に傷がついたことを嘆いてくれているのだろうが、本人はケロりとしている。
何ともまぁ、真逆な主従なのであった。
1,337
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる