15 / 65
噂とか興味無いので耳に入れない
しおりを挟む
「閣下ーー!公爵閣下!」
「ええい、アタシとこのレッドちゃんの時間を邪魔してくれてんじゃないわよ馬鹿ラケル!!」
どたばたと走ってくるそこそこ大きな足音と共に、止まった瞬間あれ、と思う暇もなく、ラケルがバァン!とノックなしでドアを開けば今回の魔物討伐により届けられた魔物の核を手にしてニマニマと笑うシオンだが、今回の核の美しさには見惚れすぎて太陽光あててあれこれ角度チェックという名の堪能タイムを楽しんでいたというのに、また邪魔された!とご立腹。
追撃でもっと罵ってやろうか、と鼻息荒くしかけたところで、雰囲気が違うことにようやく気付いた。
「ん?…ちょっと、ラケル…」
恐らく聞かないとまずいだろう、と思ったが、何があった、と問う前にひと足早くラケルが叫んだ。
「王太子殿下が、あの、シェリアスルーツ家ご令嬢との婚約を破棄しやがったんですよ!」
「は?」
ぎょ、とシオンの目が見開かれた。
「え、よくそれあのババアが許したわね!」
「……閣下」
「何よラケ………あいたたたたたた!!いひゃい!!」
ふ、とラケルがシオンに手を伸ばしたかと思えば、むに、と頬をつまんで渾身の力でみちみちみち、とつまんだ頬を引っ張った。
シオンはそこまで頬が柔らかいわけでもなく、引っ張られると大変痛い。それはもうめっちゃ痛い。
ぎちぎち、と音が聞こえるのでは、というくらいに引っ張られてしまえば、さすがに涙目になってしまう。
「ははっひゃ!はなひひふはら!!(分かった!話聞くから!!)」
ばっしばしとラケルの腕を叩きながら必死に訴えかければ、ようやく手が離される。
引っ張られたところに指の痕でもついているのではなかろうか、とシオンがどこからともなく手鏡を出してくるとラケルはぎょっとする。
「その手鏡、どこから出てきました?!」
「え?ここから」
何もない空間に突然現れた虚空。
そこにシオンは何でもないように手をずぼ、と入れて手鏡を収納したり、他のものを取り出したり。
所謂、亜空間への収納魔法、というやつだが、どこに繋がっているとかはシオンは詳しく考えていないらしい。とりあえず今ここではない空間を作り出して、倉庫のように利用している。
なお、この魔法はほいほい誰でも使えるものでは無い。センスと空間維持のためにとてつもない魔力を消費するから、魔力の最大値も高くなければいけない。
ほえー、とラケルは感心したように魔法を使っているシオンを見つめる。
「…閣下、魔法の天才児って本当だったんですね」
「アンタ今まで何だと思ってたのよ」
「どうせ整理整頓が上手なだけのホラ吹きだとばかり。失礼しました」
「そのうちぶっ飛ばすわよ」
「ぶっ飛ばされたら俺の後釜候補探して選ぶのに苦労するの、閣下ですからね」
「あー!!何コイツ可愛くない!!」
「俺は可愛くなくていいんです!可愛い必要なんかないんですから!」
ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う。
廊下を通り過ぎるメイドたちは『今日も閣下はお元気ねー』『ラケル様もよくお声が通っていらっしゃるわぁ』とのほほんと話しているのだが、本人たちは知らない。
「んで…あのボンクラ、何で自分から言い出した婚約を勝手に破棄してんの。馬鹿なの?」
「ボンクラなのか馬鹿なのかどっちです?」
「両方よ」
「まぁそうなりますよね」
「んで、ボンクラ王太子のことが可愛くて大好きママは、どうせ婚約破棄したこともあっさり許したんでしょう?」
「いいえ」
「え」
間髪入れずにラケルが否定したから、今度こそシオンの目はまん丸へと変わった。
あの王妃が。
国王、もとい当時王太子だった兄に死んでほしくないからと、戦場へシオンを追いやるような言動を繰り返し、王太后と手を組んであれこれ根回ししたお陰で不名誉な二つ名までもらってしまった、あの諸悪の根源の一人が。
「許してないですってぇ?!」
「それどころか、王妃様が王太子殿下を叱りつけたとか」
「えー、やだちょっと何ソレー」
「閣下、下町のおばちゃんみたいな口調やめませんか。ちょっとムカつくんですけど」
「……ごほん」
ついうっかり、とシオンは咳払いをする。しかし楽しくて仕方ない事態になっているとは思いもせず、何がどうなってそうなったのか、あれこれ聞きたくなってしまった。
魔物の核は盗難されないようにと、いそいそとケースにしまい鍵をかけ、収納魔法の中へと放り込んだ。
「え、それ中で荷物同士ってぶつかったりしません?壊れません?」
「壊れないわよ失礼ね!」
「へー…ほんとすごいですね、その魔法」
「で?!」
「はい?」
「事の詳細を教えなさい、つってんの!」
「えーと…まぁ、普通ならここまであまり噂って広がらないと思うんですけどね」
言われてみれば、とシオンは考え込んだ。
婚約破棄くらいなら別に、とは思うが王族の婚約破棄に関わることだから噂が届いたのだろうか。はたまた、他に理由があるのだろうか。
「何せ婚約破棄を言い渡したのが、卒業パーティーの予行練習の場だったそうで」
「ヤダ、馬鹿」
「しかもよりによって参加者が、卒業パーティーのフルメンバーに近い状況だったそうでして」
「えー…」
「ちなみにシェリアスルーツ侯爵令嬢は、そんなにダメージ負ってないどころか、心なし喜んでいたように見えたらしいです」
「何ソレ強っ」
アルウィンの娘か、とシオンはぼんやり考える。
だが、如何せん会ったのが相当前な上に最近はシオンが割と引きこもっていることもあり、成長したフローリアに会っていない。
そんなことよりも、確かあの婚約は、と必死に思い出そうとする。
そして思い出し、シオンは苦虫を噛み潰したような顔になる。
「……ねぇ」
「はい」
「確かさぁ、ボンクラとシェリアスルーツ侯爵令嬢の婚約って…ボンクラから無理やりじゃなかった?」
「そうですね。っていうか、王太子殿下をボンクラって連呼するのやめましょうよ」
「ボンクラはボンクラでしょ。ライラックを手放すなんて、馬鹿なことしたもんね」
「あれ?あの、閣下」
「何、どうしたのよ?」
はい、先生。と言わんばかりに挙手したラケルに、シオンは問い返す。
「アルウィン様もライラックですよね」
「そうよ?」
ラケルから質問が飛んできた内容に、今更何を聞いているんだ、と言わんばかりの表情になるシオン。
「シェリアスルーツ侯爵令嬢も…ライラック…?」
「…あらヤダ、知らない人いるのね」
「え?え?ちょっと、何ですか」
あらまぁ、とシオンはのんびり呟くが、『ライラック』が通り名だとはあまり知られていないことを、ここでシオンはようやく理解した。
シオンは勿論理由も知っているし、フルネームも把握している。
あくまで『ライラック』は、次代シェリアスルーツ侯爵となる者に対して使われる呼び名であるが、知らない人が聞くと混乱しか招かない。
しかし、知っている者だとしても正式なフルネームで紹介したところで、ライラックはライラックだろう、と返されてしまうことの方が多いくらいには浸透している。決して、本名を軽んじているわけではないが、代々続いた通り名があまりに浸透しすぎた結果、こうなってしまった。
アルウィンは一番最初に『此度、ライラックとしてシェリアスルーツ侯爵家当主となりました、アルウィンでございます!』とあちこちで伝えたから、大体の人は知っているけれど、それでも本名で呼ばれるのは半分くらいの割合だ。
フローリアに関しては幼い頃に『ライラック』となってしまったがために、あまりにも『ライラック』が浸透しすぎた。しかし本人が『お友達に名前を呼んでもらえないなんて嫌よ!』と言って、努力をしたからこそ仲のいい人たちには『フローリア』と呼ばれている。
しかし学園では、ほぼ100%『ライラック』呼び。だからこそフローリアは本名をきちんと呼んでくれている友人たちを、周囲の人を大切にする。
とはいえ、シオンはそこまで知らない。それよりも王弟たる己の従者が思ったより事情を理解していないのはよろしくないのでは、と思った。
「うーん…」
「え、あの閣下。怖いんですけど!」
「そうねぇ…巻き込まれることはないだろうけど、シェリアスルーツ侯爵家とは今後もお付き合いがあるだろうから、その辺みっちり教えこんであげるわ」
「はい?」
「なぁんかイマイチ理解できてないっぽいし。書類片付けてめんどい謁見済ませたら叩き込んであげるから覚悟なさい」
「こわっ」
「(巻き込まれるのだけは、ゴメンだけど)」
シオンは心の中で呟いて、デスクに整頓されて置かれていた書類を処理するべく一旦背を伸ばす。量としては多くない方だから、さほど時間もかからないだろう、と判断して気持ちを一旦切り替えてから目を通し始めた。
「ええい、アタシとこのレッドちゃんの時間を邪魔してくれてんじゃないわよ馬鹿ラケル!!」
どたばたと走ってくるそこそこ大きな足音と共に、止まった瞬間あれ、と思う暇もなく、ラケルがバァン!とノックなしでドアを開けば今回の魔物討伐により届けられた魔物の核を手にしてニマニマと笑うシオンだが、今回の核の美しさには見惚れすぎて太陽光あててあれこれ角度チェックという名の堪能タイムを楽しんでいたというのに、また邪魔された!とご立腹。
追撃でもっと罵ってやろうか、と鼻息荒くしかけたところで、雰囲気が違うことにようやく気付いた。
「ん?…ちょっと、ラケル…」
恐らく聞かないとまずいだろう、と思ったが、何があった、と問う前にひと足早くラケルが叫んだ。
「王太子殿下が、あの、シェリアスルーツ家ご令嬢との婚約を破棄しやがったんですよ!」
「は?」
ぎょ、とシオンの目が見開かれた。
「え、よくそれあのババアが許したわね!」
「……閣下」
「何よラケ………あいたたたたたた!!いひゃい!!」
ふ、とラケルがシオンに手を伸ばしたかと思えば、むに、と頬をつまんで渾身の力でみちみちみち、とつまんだ頬を引っ張った。
シオンはそこまで頬が柔らかいわけでもなく、引っ張られると大変痛い。それはもうめっちゃ痛い。
ぎちぎち、と音が聞こえるのでは、というくらいに引っ張られてしまえば、さすがに涙目になってしまう。
「ははっひゃ!はなひひふはら!!(分かった!話聞くから!!)」
ばっしばしとラケルの腕を叩きながら必死に訴えかければ、ようやく手が離される。
引っ張られたところに指の痕でもついているのではなかろうか、とシオンがどこからともなく手鏡を出してくるとラケルはぎょっとする。
「その手鏡、どこから出てきました?!」
「え?ここから」
何もない空間に突然現れた虚空。
そこにシオンは何でもないように手をずぼ、と入れて手鏡を収納したり、他のものを取り出したり。
所謂、亜空間への収納魔法、というやつだが、どこに繋がっているとかはシオンは詳しく考えていないらしい。とりあえず今ここではない空間を作り出して、倉庫のように利用している。
なお、この魔法はほいほい誰でも使えるものでは無い。センスと空間維持のためにとてつもない魔力を消費するから、魔力の最大値も高くなければいけない。
ほえー、とラケルは感心したように魔法を使っているシオンを見つめる。
「…閣下、魔法の天才児って本当だったんですね」
「アンタ今まで何だと思ってたのよ」
「どうせ整理整頓が上手なだけのホラ吹きだとばかり。失礼しました」
「そのうちぶっ飛ばすわよ」
「ぶっ飛ばされたら俺の後釜候補探して選ぶのに苦労するの、閣下ですからね」
「あー!!何コイツ可愛くない!!」
「俺は可愛くなくていいんです!可愛い必要なんかないんですから!」
ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う。
廊下を通り過ぎるメイドたちは『今日も閣下はお元気ねー』『ラケル様もよくお声が通っていらっしゃるわぁ』とのほほんと話しているのだが、本人たちは知らない。
「んで…あのボンクラ、何で自分から言い出した婚約を勝手に破棄してんの。馬鹿なの?」
「ボンクラなのか馬鹿なのかどっちです?」
「両方よ」
「まぁそうなりますよね」
「んで、ボンクラ王太子のことが可愛くて大好きママは、どうせ婚約破棄したこともあっさり許したんでしょう?」
「いいえ」
「え」
間髪入れずにラケルが否定したから、今度こそシオンの目はまん丸へと変わった。
あの王妃が。
国王、もとい当時王太子だった兄に死んでほしくないからと、戦場へシオンを追いやるような言動を繰り返し、王太后と手を組んであれこれ根回ししたお陰で不名誉な二つ名までもらってしまった、あの諸悪の根源の一人が。
「許してないですってぇ?!」
「それどころか、王妃様が王太子殿下を叱りつけたとか」
「えー、やだちょっと何ソレー」
「閣下、下町のおばちゃんみたいな口調やめませんか。ちょっとムカつくんですけど」
「……ごほん」
ついうっかり、とシオンは咳払いをする。しかし楽しくて仕方ない事態になっているとは思いもせず、何がどうなってそうなったのか、あれこれ聞きたくなってしまった。
魔物の核は盗難されないようにと、いそいそとケースにしまい鍵をかけ、収納魔法の中へと放り込んだ。
「え、それ中で荷物同士ってぶつかったりしません?壊れません?」
「壊れないわよ失礼ね!」
「へー…ほんとすごいですね、その魔法」
「で?!」
「はい?」
「事の詳細を教えなさい、つってんの!」
「えーと…まぁ、普通ならここまであまり噂って広がらないと思うんですけどね」
言われてみれば、とシオンは考え込んだ。
婚約破棄くらいなら別に、とは思うが王族の婚約破棄に関わることだから噂が届いたのだろうか。はたまた、他に理由があるのだろうか。
「何せ婚約破棄を言い渡したのが、卒業パーティーの予行練習の場だったそうで」
「ヤダ、馬鹿」
「しかもよりによって参加者が、卒業パーティーのフルメンバーに近い状況だったそうでして」
「えー…」
「ちなみにシェリアスルーツ侯爵令嬢は、そんなにダメージ負ってないどころか、心なし喜んでいたように見えたらしいです」
「何ソレ強っ」
アルウィンの娘か、とシオンはぼんやり考える。
だが、如何せん会ったのが相当前な上に最近はシオンが割と引きこもっていることもあり、成長したフローリアに会っていない。
そんなことよりも、確かあの婚約は、と必死に思い出そうとする。
そして思い出し、シオンは苦虫を噛み潰したような顔になる。
「……ねぇ」
「はい」
「確かさぁ、ボンクラとシェリアスルーツ侯爵令嬢の婚約って…ボンクラから無理やりじゃなかった?」
「そうですね。っていうか、王太子殿下をボンクラって連呼するのやめましょうよ」
「ボンクラはボンクラでしょ。ライラックを手放すなんて、馬鹿なことしたもんね」
「あれ?あの、閣下」
「何、どうしたのよ?」
はい、先生。と言わんばかりに挙手したラケルに、シオンは問い返す。
「アルウィン様もライラックですよね」
「そうよ?」
ラケルから質問が飛んできた内容に、今更何を聞いているんだ、と言わんばかりの表情になるシオン。
「シェリアスルーツ侯爵令嬢も…ライラック…?」
「…あらヤダ、知らない人いるのね」
「え?え?ちょっと、何ですか」
あらまぁ、とシオンはのんびり呟くが、『ライラック』が通り名だとはあまり知られていないことを、ここでシオンはようやく理解した。
シオンは勿論理由も知っているし、フルネームも把握している。
あくまで『ライラック』は、次代シェリアスルーツ侯爵となる者に対して使われる呼び名であるが、知らない人が聞くと混乱しか招かない。
しかし、知っている者だとしても正式なフルネームで紹介したところで、ライラックはライラックだろう、と返されてしまうことの方が多いくらいには浸透している。決して、本名を軽んじているわけではないが、代々続いた通り名があまりに浸透しすぎた結果、こうなってしまった。
アルウィンは一番最初に『此度、ライラックとしてシェリアスルーツ侯爵家当主となりました、アルウィンでございます!』とあちこちで伝えたから、大体の人は知っているけれど、それでも本名で呼ばれるのは半分くらいの割合だ。
フローリアに関しては幼い頃に『ライラック』となってしまったがために、あまりにも『ライラック』が浸透しすぎた。しかし本人が『お友達に名前を呼んでもらえないなんて嫌よ!』と言って、努力をしたからこそ仲のいい人たちには『フローリア』と呼ばれている。
しかし学園では、ほぼ100%『ライラック』呼び。だからこそフローリアは本名をきちんと呼んでくれている友人たちを、周囲の人を大切にする。
とはいえ、シオンはそこまで知らない。それよりも王弟たる己の従者が思ったより事情を理解していないのはよろしくないのでは、と思った。
「うーん…」
「え、あの閣下。怖いんですけど!」
「そうねぇ…巻き込まれることはないだろうけど、シェリアスルーツ侯爵家とは今後もお付き合いがあるだろうから、その辺みっちり教えこんであげるわ」
「はい?」
「なぁんかイマイチ理解できてないっぽいし。書類片付けてめんどい謁見済ませたら叩き込んであげるから覚悟なさい」
「こわっ」
「(巻き込まれるのだけは、ゴメンだけど)」
シオンは心の中で呟いて、デスクに整頓されて置かれていた書類を処理するべく一旦背を伸ばす。量としては多くない方だから、さほど時間もかからないだろう、と判断して気持ちを一旦切り替えてから目を通し始めた。
1,441
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる