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よん
しおりを挟む「…愛妻家でいらっしゃる」
「ーーユリス?どうしてここに?」
「王妃様に部屋を追い出されまして。二人で話したいことがあるんだそうですよ」
「ふーん…」
アイツ、マリア嬢襲ったりしてないかな。大丈夫か?大丈夫か、そこまで馬鹿じゃないだろう。
「王妃様の願いは何でも聞くと」
「何でも聞いているつもりはないが、まぁ、甘いかもな」
「…最近、視察が多いとか。それも夜に。…危ないですよ」
「何かあればフェロンが助けてくれるからな」
あれは宰相だが、元は護衛部隊の隊長だったのだ。
「信頼していらっしゃる」
「臣下を信用して、時には疑う。それが王だ」
「ーー婚姻の許可を頂いて、ありがとうございました」
「…反対する必要もないだろう?」
「そうですね」
胸が痛いのは多分、酒の飲みすぎ。そうに決まっている。
「貴方が何よりも大事なのは、王座だと思ったけれど違うようで」
何の話かな、とはぐらかす。
俺には大切なものが、大事なものが沢山あった。
守らなければならないものもあった。何を犠牲にしてでも、覆らせなければならないこともあった。
それゆえに、一番大切なものを失ってしまったが。
「…王妃様と仲がよろしいのですね」
「夫婦だからな」
「名前で呼ぶほど親しくなさっている。政略結婚とは思えないほど」
「キャロルはーー大切だ」
当たり前のことだ。
それは覆らない。
「へぇ。…そろそろマリアを迎えに行きます」
「そうか」
あ、そうだ。会うことがあれば言おうと思っていた。
「そういえば、ユリス。お前の提案した政策だが…あれは良かった。近いうちに採用させてもらう」
「ーーありがとう、ございます」
「また、たまには顔を出せ」
「…はい」
まぁ、きっと来ないだろうけれど。
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