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さん
しおりを挟む「ユリス・アルテミス、国王陛下にご挨拶申し上げます」
深々と頭を下げる男を玉座から見下ろす。
「マリア・レーミン、ご挨拶申し上げます」
「あら、マリア。久しぶりねぇ」
隣でキャロルがニコニコと笑う。それにつられて、確かに可愛らしいマリアがキャロルに笑う。
「王妃様、お久しぶりでございます」
「学園を卒業して以来かしら?ユリス殿と結婚するのね」
「…えぇ。王妃様、お元気でいらっしゃいましたか?」
「そうねぇ、まぁ、私は元気よ」
少し可哀想だと思うのは、キャロルとマリアが昔恋仲にあったと聞いていたからだ。仕方なくキャロルを止める。
「王妃、やめないか。マリア嬢が困っている」
「あらまぁ陛下、貴方も喜ばしいと思いますでしょう?だって陛下もユリス殿も、とても仲がよろしかったものねぇ」
こ の お ん な !!!
「…あ、あ、久しぶりだな、ユリス」
「…お久しぶりでございます」
「ーーまずは、婚姻おめでとう。式には出られないが、後で祝福の品を送ろう」
「見に余る光栄です」
「何か欲しいものはあるか?」
「…いえ。陛下からの賜り物でしたら、それだけで嬉しいですから」
よく言う。祝いものなんか、要らないと思っているくせに。
「そうだわ、私からもマリアに贈り物をしましょう!何がいいかしら?」
「お、王妃様…」
キャロルも鬼畜だな。
「とても喜ばしいことですもの!」
「…それはまた、後々決めればいいだろう。すまないがマリア嬢、キャロルのワガママに付き合ってやってくれるか?」
「は、はい…」
俺も八つ当たりしちゃおうっと。
「そうだわ。陛下、よければ私、二人と夕食を共にしたいわ」
「ーーキャロル」
お前、ワガママ多すぎだ。
「ユリス達にも予定があるんだ。お前の勝手な一存で…」
「私は構いませんが」
(は?)
いやいやいや、ユリス?何いっちゃってるの?
「マリアも、いいよな?」
「え、えぇ。もちろん」
「まぁ、よかったわ。陛下?いいですわよねぇ?」
ーー俺はとことん、コイツに甘い。
「…好きにしろ」
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