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にー
しおりを挟む「リゼ、起きてくださいませ」
「…ん?」
パチリと目を開けると、目の前には嫁がいた。俺は同性愛者であり、それはこの国の王妃であるキャロルも知っている。というか彼女も同性愛者なので、お互いが理解しているのだ。
なら何故、妻などめとったのか。それは国王で在るゆえだ。国王がいるのに王妃のいない国などない。この国で王妃の座に誰も座らないなど、そんな歴史はなかった。
王妃のキャロルは隣国の姫だが、一応幼馴染みだ。
「ほら、着替えて」
「…やだ…眠い……」
「また夜遊び?好きにすればいいけれど、朝は揃って朝食を摂るわよ。でなければ、仲睦まじく見えないでしょう」
「あー…眠い……」
同じ部屋、同じ寝台。けれどそこでヤることはない。お互いがそういう対象ではないからだ。
「……そういえば、昨日はベロンベロンでしたわね」
「そうか?あー、でも酒は飲んだな」
「…そんな風になるのなら、ユリス殿を繋ぎ止めればよかったのに」
夫婦とは思えない会話だが、キャロルの言うことも一理ある、が。
「俺はお前みたいにタフじゃないからな、フラれて尚も諦められないほど馬鹿じゃない」
「あらそう、お好きになさったら?陛下」
それは、合図。『仲睦まじい夫婦』を演じるための、大切な合図だ。
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