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じゅーよん
しおりを挟むリゼの機嫌の悪さはその日、人生最高級だった。
懐かしい夢はとても胸糞悪い物だった。
「…いねぇし」
隣にいたはずのユリスはおらず、そこにあったはずの温もりは消えている。
「最悪の気分だ…」
本当は分かっている。ユリスは自分の目に映るものが他のものになることを極端に嫌う。
(遊びなら他を当たればいい…)
疲れてしまった。気持ちのいいことが、いつの間にか気持ちの悪いことに変わっている。居心地の良かったはずのこのベッドが、今では吐きそうなほど居心地が悪い。
ユリスがマリアと住むために買った家で、こんなことをしている。マリアは何とも言わないのだろうか。
しばらく考えていると、トントンと扉がノックされ、開いた。
「誰だ?」
「旦那様が、貴方に食事を届けるようにと」
「……あれ?」
ワゴンを運んだ男を見て、首を傾げる。どこかで見たことーーそう、数週間前まで遊び相手だった男。この男、料理人だったのか。
「…リゼ?」
「やっぱり、ロースだよなぁ」
「え、旦那様の客人ってリゼだったのか!?てかお前貴族なの!?」
「…あー、いや、違う。貴族ではない」
王族だ。貴族ではない、嘘ではない。うん。
「え、なんでここに?」
「…なんでだろうね」
そんなの知るか、なんて思いながらふと考える。
「ちょっとお願いあるんだけど」
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