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じゅーごー
しおりを挟むロースに頼み、悩んだ末にキャロルに手紙を書くことにした。
「これを、誰か人に頼んで、宮殿の裏口の門番に渡してもらって。リゼからっていえば伝わるから」
「い、いいけど。これを宮殿に?」
「いいから、頼んだよ」
それから、なんて考える。…最近、ユリスとマンネリ化してるんだよね。ちょっと他の男の刺激が欲しいっていうか。
「…ね、楽しいことしない?」
「は?いま!?」
「いま。…俺のこと、虐めたいでしょ?」
この男は色んな意味でヤバい。男なのに孕まされるってくらいにクドい。
「でも、旦那様が」
「大丈夫、まだ帰ってこないから…ね?」
自ら首に巻きつき、キスをする。
「ちょっとだけ、だよ」
そう、ちょっとだけ。まぁロースがあまりにもクドかったら、長引いてーータイミング悪く、ユリスが帰って来ちゃうかもね?
「リゼ、リゼっ……」
「は、あっ…ん、もっと…」
虐められるのは好きだけれど、たまにはこうやってベタベタに甘やかされたい。
ユリスにそれを求めることは出来ないが。
「もっと、奥まで、ちょーだい?」
訳がわからなくなるよりも多少の理性が残っていた方が、いいに決まっている。
なんて考えてまたまたタイミング良いのか悪いのか。扉がガチャリと開く。ノックもなしか、なんて思いながら俺は扉の方を見る。
一瞬茫然として、頭を押さえて、それからこちらを睨み詰め寄り、ロースを殴る。
「何やってんだよ!!!」
「だ、旦那様!!?」
「お前、っ…ふざけんな…!」
怒りを露わにするユリスに醜い笑いをかける。
「俺から誘ったんだけど?」
「…は?」
「…じゃあ、そろそろ俺は帰るとしようかな」
起き上がって服を着始めたリゼの肩を、ユリスが強く掴む。
「…どこに帰るって?」
「もちろん、キャロルの所に決まっているだろう?」
「ふざけんなよ、お前ッ!!!」
ベッドの上に押し倒された辺りで、ロースが慌てて部屋を出て行く。
「…なにが?」
「お前、なんでっ…!」
「元から俺はお前のものじゃない」
ーーなんでそんな顔するんだよ。お前が俺を振ったくせに。
この家は俺の家ではない。この男の隣は俺の居場所ではない。
元の生活に戻るのだ。
「…放せ」
「リゼ!!!」
「お前、誰に向かって口を聞いている?」
「…っ」
「余はこの国の王だ。…お前如きが、許可なく余に触れるでない」
あぁ、疲れた。頭がガンガンと痛む。
廊下に佇んでいたメイドに出口まで案内させると、門の向こうに王室の馬車があった。聞けばキャロルの使いだという。
俺はそれに乗り込み、自分の居場所へ帰った。痛む胸に気付かないフリをしながら。
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