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酔っ払いの発言の言質
しおりを挟む「煌ちゃん、兄さんとなに話してたの」
あからさまに煌をガン見する兄への嫉妬から、責めるような口調になってしまった。とはいえ、酔っ払いの煌には何をしても無駄だろう。
「んー、達也のこととかー」
「…俺?」
「そう。響也、達也に似てるよねーっていうハナシ」
…それ、兄さんの話じゃん。てか、兄さんが俺に似てるって…。反対だろ。
「それだけ?」
「あとは、仕事のこととか」
「ふーん………煌ちゃん、口、開けて」
「ん……」
キスをして、口の中に舌を這わせる。アルコールの味というか、なんというか。
「…なぁ、煌ちゃん。いつになったらエッチさせてくれんの?」
「……達也は、したいんだ?」
「当たり前だろ。好きな人に触れたいって思ってなにが悪いんだよ」
ていうか、なんだよその質問。まるで身体目当てで付き合ってるみたいだ。さすがに失礼だろう、酔っ払いだとしても、だ。
「…じゃあ、ご褒美」
「ご褒美?」
いきなりなんの話だ、と聞き直す。
「煌ちゃん、ご褒美ってなに?」
「次のテストで、全部満点だったらいーよー」
「…………えっ」
「俺のせいで成績下がるなら、別れる」
「え!?い、いや、それはダメだって!」
穏便ではない言葉に反対する。
「…つまり、次のテストでって、期末考査のことだよね?十二教科?満点で千二百点取れたら、いいの?」
「そー」
「言ったよ?酔っ払いの発言だからとか言わせないからね?」
「言わない言わない」
「じゃあ映像撮っていい?」
スマホをスタンバイさせて、言質を取る。
「絶対だよ?オール満点だったらいいんだよね?セックスさせてくれるんだよね?」
「そーだって言ってるー…」
「っ…しゃ…!」
次の期末考査まではまだ時間がたんまりとある。元々勉強はできる方だし、満点を取るなんて容易い。
それに、このままいつになったら出来るか分からないままでいるより、期末考査の結果が返ってきたら確実にデキる方が断然いい。
高校卒業するまでお預けされる覚悟だったのだから。
「…よし、叩き込むか…!」
酔ってスヤスヤと寝ている煌の隣で、達也は久しぶりに教科書を開いたのだった。
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